第11話 最後のメッセージ

手紙の最後のページには、ワシへの一番大切なメッセージが書かれとった。


『あんたは私の前世が桃太郎で、鬼の子を育てたことを知った。でも本当に伝えたいのはこれからじゃ』という文字を読んでワシは手紙を大切に持った。


『私は遅すぎた。でもあんたは、まだ間に合う』という行を読んでワシの胸がドキドキした。


間に合う?何に間に合うんじゃろう。


『あんたも分かっているじゃろう?普通は、あんたを守ってくれなかった』という文字を読んでワシは頷いた。


確かにそうじゃ。普通の道を選んだけれど、本当の自分を守ることはできんかった。


『続けるあんたも、やめたあんたも、どちらも私の息子じゃ』という行を読んだ時、ワシの目に涙が溢れた。


お父さんはどちらを選んでも愛してくれる。ピアノを続けても、やめても。


『あんたも知っているはずじゃ。あんたの中の"鬼"を』という文字を読んでワシは震えた。


ワシの中の鬼?


『震える心、諦めきれない音、それがあんたの真実じゃ』という行を読んだ時、ワシは自分の胸に手を当てた。


確かにある。音楽への想い、ピアノへの愛しさ。それをワシは「現実的じゃない」と言って押し殺してきた。


『あんたにお願いがある。退治ではなく抱きしめてやってくれ』という文字を読んでワシは泣いてしまった。


お父さんは、ワシの中の音楽への愛を退治するんじゃなく、抱きしめてほしいと言ってくれとる。


『あんたは、あんたの選択を抱きしめていい』という行を読んで、ワシは手紙を胸に強く抱いた。


ワシの選択を抱きしめていい。ピアノをやめた選択も、今から何かを始める選択も。


『私が前世で学んだことは、本当の敵は外にいるんじゃないということじゃった』という文字を読んでワシは頷いた。


『本当の敵は、自分を殺してしまう心じゃ。期待に応えることばかり考えて、本当の自分を見失ってしまう心じゃ』という行を読んでワシは深く理解した。


お父さんも、ワシも、同じ敵と戦っとったんじゃ。


『でもあんたには私と違う道を歩んでほしい。あんたの中の"鬼"を愛してほしい』という文字を読んだ時、ワシは決意を感じた。


お父さんは、ワシに本当の自分を愛してほしいと願ってくれとる。


『最後に伝えたい。あんたを息子に持てて、私は幸せじゃった』という行を読んでワシは声を出して泣いた。


お父さんも幸せじゃった。ワシを愛することで。


『あんたが私に教えてくれた。愛することの大切さを。救うことの喜びを』という文字を読んで、ワシはお父さんへの愛おしさでいっぱいになった。


『これからもあんたの父として、あんたを見守っとる。あんたが選ぶどんな道も、私は応援しとる』という最後の行を読んで、ワシは手紙を胸に抱いて泣いた。


お父さんは今もワシを愛してくれとる。どんな道を選んでも。


手紙を読み終えて、ワシは静かに立ち上がった。お父さんの愛を受け取った。そして今度は、ワシが自分の中の「鬼」を愛する番じゃった。

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