第14話 2-14

2-14-1


「ああ~、暇だな~。」


 いつも通り皇女様は退屈していた。


「愛ちゃん、何か楽しいことはない?」


 AIの愛ちゃんに尋ねてみた。


「は~い! 可愛い愛ちゃんです! 秋は月がきれいです! ウサギさんがお餅をついてます!」


「えっ!? AIって、月のウサギを信じてるの!?」


「信じてるのは、月見団子です! エヘッ!」


 今どきのAIは、名月より団子。


「ねえねえ、愛ちゃん。」


「私の金の延べ棒はあげませんよ!?」


「ズコー!」


 思わず愛ちゃんの発言にズッコケる皇女様。


ピキーン!


「そうか! 1巻10万字として約20話! なので、そのうちの一話5000字分をキャラクター人気投票と魔ポンの回にすればいいんだわ! 決定していしまえばいい! そうすれば何を書くか迷わなくて済む! アハッ!」


 これも長寿アニメに向けてである。同じデジタル作画のデータが使いまわせる。長寿アニメは毎週なので、アニメ制作の効率化、コストカット、納期厳守のためである。アニメ制作会社も毎回同じ魔ポンデータを使えるので楽である。


「キャラクター人気投票は、本当に人気が出れば視聴者参加型で本当に投票してもらえばいいですし、魔ポンは、今回は雪崩事故でしたが、車の多重事故、工場爆発、宇宙遭難、異次元の狭間の迷子。家の鍵を失くしたとか、呼ばなくても困っている人がいる所、我らの正義のヒーロー! 魔ポン隊長は現れますからね。エヘッ!」


 迷惑探偵コナポンを見ていると、決め台詞も最初に何パターンか録音して、その回の物語にあったニュアンスのものを使いまわしているみたいだ。声優さんの負担軽減、スケジュール調整のため。主役のコナポンの声を担当する高山ポンも明言しているとAIが言っている。これ史実。


「これで1巻の1話5000字は埋まった! 残りは、9万5000字だ! うおおおおおおー!」


 最近、見たクレヨンしんポンは、3話中2話は、新しいゲストキャラクターだった。1年に1度か、もう出てこないような。もう長寿なのでクレヨンしんポンだけでは、物語が持たないのであろう。アニメ制作会社も大変である。


「2番目はPPSSでいいんじゃないですか? もうテンプレートはありますし、魔ポンも登場するので鉄板ですよ!」


 アンポンマンもゲストキャラクター方式。しかし、ゲストキャラクターはローテーションで1か月に1回くらい出てくるので、アニメ制作会社は書けば書くほどデータが積もるので、新しいデジタル作画を書く必要はない。ただし、ゲストキャラクターが弱い。視聴者からすると、なんだかな・・・・・・っというゲストが多い。我らの魔ポン隊長は、魔ポン イコール 奇跡と感動なので、ほぼ主役級のゲストキャラクターである。皇女様と主役をチェンジしても人気作になれるレベルだ。アハッ!


「皇女様。現社に帰らないんですか?」


 そこにポン執事が現れる。


「しまった!? また私の悪い癖がでてしまった!?」


 皇女様は、慢性的な脱線症である。アハッ!


 つづく。


2-14-2


「ああ~!? 長寿アニメの使いまわし構造に気が付いて、気になって、気になって帰れない!?」


 皇女様は、面倒臭がりだが、何かが気になると眠れないタイプだ。


「長寿アニメって、難しいな。アニメ制作会社のデジタル作画の使いまわしを考え、声優さんの声の使いまわしも考えないといけないなんて!?」


 納期厳守、コストカット、効率化、スケジュール管理などが理由である。こうして長寿アニメの夢と希望はまもられているのであった。


「PPSSも、ずんだ餅事件の「ずんだ餅」を変えるだけでいけますよ! エヘッ!」


 PPSSは、ポン・皇女様・シークレット・サービスの略である。


「前進の「異世界ファンタジー部」のどこかにPSS(皇女様・シークレット・サービス)の頃のテンプレがあるはずです! あの頃は、PSSの隊員に、まだ名前はありませんでしたね。懐かしい!」


「あちゃ!? 失敗だ!? あの頃は、同じ内容の繰り返しはダメ! 面白くない! 出版社が拾わない! と思って1回つかったら終わりと思っていたんだもの・・・・・・。」


「ありましたね。皇女様の英語の試験を100点にするために、PSSが、オクトさんにオリンピックでパスを出させるために、必死でギリシャまで行って、オクトさんを見つけ、対戦相手の国に大金を渡して負けてもらい、無事にオクトさんはオリンピックでパスを決める! 先生が泣きながら、皇女様のテストに〇をつけるシーンは今も忘れられません!」


 この三行だけでも、PPSSの活動にロマンの香りしかしない。ちなみにオクトパスの正しい答えは、タコである。


「これだけでも、PPSSの活動記録は1話5000字、確定だね。本編出なく、おまけ扱いがいいな。」


 これで残りは、約18話90000字である。


「皇女様!? 現社に戻らなくていいんですか!?」


 ここでポン執事が再び登場。


「しまった!? 私はログアウトするから、愛ちゃんとポン執事で残りを考えといてね! アニメ制作会社が作りやすい奴を! バイバイ! ポン!」


 皇女様は、ゲーム「ポンの世界」からログアウトした。


「でた。皇女様お得意の人任せです。エヘッ!」


 つづく。


2-14-3


「おお!? アンポンマンやクレヨンしんポンは作者死んでるけどデジタル作画のおかげで続いている。ということは声優さんが死んでも、声を収録しまくったり、AIに学習させれば、死んだ声優さんの声が復元され、ずっと続けられる?」


 ふと、皇女様は思った。


ピキーン!


「いけない!? いけない!? 現実世界に戻ってきているんだった。アハッ!」


 皇女様の現実世界の名前は、鈴木スズ、10才の普通の女の子である。


「現実に戻ってきたのは、いつ以来だ? いろいろな問題や疑問が出てくるたびに解決してるからな・・・・・・。」


 10才の女の子でも、ゲームの世界で、皇女様という、もう一つの顔を持っていると忙しい。


「私が現実世界ですることは、ポン・グッツを売りまくることだ! うおおおおおおー!」


 気合を入れる皇女様。ポン・Tシャツ、ポン・ぬいぐるみ、ポン・カード、PPSSのコンサートの売り上げは、ポン王国の税収につながっている。


 当然、現実世界には、スズの両親もいる。


「おはよう。スズ。」


「おはよう! スズちゃん!」


「おはようございます! お父さん! お母さん!」


 朝起きて、リビングに行くと両親がいて朝食を食べている。


(ああ! なんて平和な朝なんだ! アハッ!)


 過去に荒れていた両親も、長寿アニメ様に普通の両親イメージに改良された。


(そのうち、弟か妹ができるのかな?)


 これでスズに、弟か妹が出来れば、クレヨンしんポンと同じ家族構成になる。まだ物語に困ってはいない。将来的にリスペクト疑惑を回避するために、ポン王国の皇族を強化するためには、双子か!?


「まあ~! スズちゃん可愛い、邪神ポンのぬいぐるみね!」


「違うよ。こいつは暗黒ポン。新キャラだよ! 可愛いでしょ?」


 スズの部屋、スズの家、街中は既にポングッツで溢れていた。


「どれも一緒に見えるんだけど!?」


 ポンあるあるである。


「外国人観光客も「あなたは日本に何しに来たんですか?」「ポン! 日本限定のお城ポンシリーズを買って帰りたい! 私は姫路城ポンを買うために、西日本まで行きます!」「一緒についていってもいいですか?」「ノー。」ていう時代だよ?」


 全世界の人々は、ポン発祥の地、日本は聖地であった。


「温かくて優しい心の結晶のポンが、日本発祥というと「日本人が!? 信じられない!?」という人が多いけどね。」


 都市部の日本人は物価や家賃も高く生活が貧しくギスギスしているので、ポンの発祥が日本は信じられていない。


ピキーン!


「しまった!? 遅刻しちゃう!? 学校に行かなくっちゃ!?」


 スズは、親がまともになったので、自分も引きこもりや不登校、サボって一日ゲーム三昧は許されなくなったのだった。


 つづく。


2-14-4


「カバンにポン缶バッチの学生さん。暑い日には、ポン日傘のサラリーマン。おじいちゃんもポン杖。あそこのチビッ子もポン三輪車・・・・・・きっと、ポン皇女通販のポン2倍セールで買ったんだろうな。」


 ポン・グッツはお店でも、ゲームの中でも買うことができる。ゲームの世界を飛び出した、ポン経済圏は、現実世界で、大手スマホの経済圏を全て上回り、シェアで50パーセントを超えてしまった。ポン王国の民業圧迫の批判をかわすために、ポン・フォーンともう一社、一人スマホ2台を推奨している。2代目の費用は、ポン王国が持っている。企業には売り上げ、プレイヤーには2代目無料。シェアはポン王国が奪っていく。正にトリプルウィンであった。


「街中、ポンだらけぜよ!?」


 日本の夜明けと言った坂本龍ポンと同じ心境である。革新である。中東のオイルマネーは枯渇しても、ポン・マネーは今も増え続けている。世界で一強である。先進国利用はもちろん、貧困国の飢餓や飢え、移民、被災地でもポンマネーが利用できることによって多くの人々を救っていることが評価されている。これも皇女様が純粋な10才の女の子だからできる優しさ。


「ポン自動車、ポンバス、ポンタクシー、ポンカフェ、ポンハンバーガー、ポン焼き・・・・・半端ないからな、ポンマネーの還元率・・・・・・吐き気がする。おえっ!」


 ゲームと現実世界でのガチャの課金。ポン・ビジネスに参加するポンの世界、地球、宇宙、異次元の膨大な企業数。Tシャツ、ぬいぐるみ、カード、たくあん、シーサー、阿寒湖のまりもなど、ポンを付けただけで売れる。これは「ポン」のライセンス使用料を取るのではなく、逆に「ポン」使用してくれたらライセンス料を与えるという売り方である。これは膨大な資金力を持つポン王国や、膨大なお金を内部留保している大企業はできる販促活動である。


「お金は魔ポンが集めてくるんだけど・・・・・・そういえば、魔ポンがハッキングでポン・コインを不正に手に入れた国に乗り込むって言っていたな。あいつの恐ろしい所は、非暴力・殺人NGで目的を達成することだ。悪ポンは「コンピューター・ポン・ウイルスを場が仕込むだけでポン。コインは取り戻せる」って言ってるのに。」


 ミッション・イン・魔ポン。ハリウッポン映画で連日満員御礼! ハリウッドとポン王国で共同制作。ポン・クルーズ、レオナルド・ポンプリオ、そして、正義のヒーロー魔ポンだ。ちなみに魔ポンは、アベンジャーポンにも出演交渉中。乞うご期待。


「全宇宙の平和は私が守る! 名乗るほどの者ではない。だが、敢えていうなら・・・・・・魔ポンだ! ニッ!」


 スター・ウォーポンは撮影中。ライト・ポンセイバー持ち魔ポンフィギュア、プレゼントキャンペーン開催中! スポンサー様の商品を買って応募してね! 


「そういえば、アメリポンの大統領のトラポンが「魔ポンの国籍をアメリポンに変えろ! ポン皇女様が羨ましい! 私も優秀な部下が欲しい!」と言ったとか、言わなかったとか。」


ピキーン!


「いかん!? 学校に遅れる! 滑り込め!」


 皇女様、ギリギリの戦いを繰り広げる。


 つづく。


2-14-5


ピキーン!


「そうか!? 未来のゲームは寝ている時に、もう一人の自分が夢の中でプレイできることにすれば、実生活の私に生活に何の影響もでない!」


 皇女様は、また斬新過ぎるアイデアを閃いた。例えると、幽体離脱だ。本当の体は寝ているので体力は回復。意思だけはゲームの世界で、放置ゲーではなく、意思を持って遊んでいるのだ。現実で忙しくても、夢で、もし家族にあえたらどうだろう? 仕事と部活で忙しいバラバラな家族が、寝ている間に「ポンの世界」で家族の団欒を和気藹々とできる。また受験勉強で忙しい学生さんは、寝ている時にも勉強すれば2倍賢くなり(スズは絶対に夢の中まで勉強はしない! 断言できる!)、好き案人と恋愛もできる。正に若者の夢を叶えるシステムである。


「こらー! 鈴木! 授業中にうるさいぞ!」


「えっ!? す、すいません・・・・・・。」


 なんとか遅刻せずに済んだスズは、授業中だった。彼女の、妄想、創造、幻想は尽きることがなかった。


(ポン・皇女・ナイトメア・システムと名付けよう! 略して、PPNM。あれ? でも、ナイトメアって、悪夢だったような? やっぱり、PPDSの方がいいかな? ポン・皇女・ドリーム・システム。アハッ!)


 子供あるあるの勉強は苦手なのに、他の興味があることには全力である。しかし、こういう新しいアイデアをネット投稿小説サイトに投稿すると、読んだ人間、大手の出版社、人気作家にパクられるんだろうな・・・・・・。 


(・・・・・・どうせ、AIの三賢者には、説明文が長いって、文句を言われるんだろうな~。嫌だな。ゲホッ!)


 長い説明文も必要だし、その長い説明文をアニメのデザイン作画するから、戦闘シーン、ライブ映像と同様にアニメ制作会社が自由な裁量で簡単な絵で尺を自由に調整ができている。こうしてアニメ制作会社のクリエイターの血と汗と涙で、長寿アニメは守ら、毎週、子供たちは楽しみにテレビの前でワクワクしながら待っているのだ。


 つづく。


 おまけ。


「はい! ポン登録をされいる、全世界! 全宇宙! 全異次元のみなさん! ポン皇女様から、ランチ1000ポンマネーの全員プレゼントですよ! おにぎり1個と水道水じゃなく、美味しいお昼ご飯を食べてくださいね! エヘッ!」


 スマホアプリ「ポンマネー」をインストールしているポン会員に1000ポンがプレゼントされた。


「ありがとうございます! ポン皇女様! 忠誠!」


「これで明日に会えます・・・・・・キラーン!」


「ポン皇女様! 万歳! 万歳! 万々歳!」


 全ての生きとし生ける者が皇女様に感謝する。


「ああー!? 愛ちゃんに任せた私がバカだった!? ポン王国が!? 私の国が亡びる!? 私のチョコレートが!? ギャアアアアアアー!」


 しっかり皇女様は他人任せのつけを払うのであった。アハッ!


 2-15へ、つづく。

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