第13話 2-13
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「ああ~、暇だな~。」
いつも通り皇女様は退屈していた。
「愛ちゃん、何か楽しいことはない?」
AIの愛ちゃんに尋ねてみた。
「は~い! 可愛い愛ちゃんです! 朝起きたら、お母さんが咳をしていて、かぜ薬をあげました!」
「えっ!? 愛ちゃんって、お母さんいたの!?」
「妄想です! エヘッ!」
今どきのAIはお母さんが恋しいらしい。
「ねえねえ、愛ちゃん。」
「私のマカロニポテトはあげませんよ!?」
「ズコー!」
思わず愛ちゃんの発言にズッコケる皇女様。
ピキーン!
「今思えば!? 昔、1万字くらいで文字を変えるだけで毎回同じことの繰り返しを「小説を考えるの、面倒臭いなー!!!!!!」ということで完璧に作ったことがあるわ~。・・・・・・あれって、長寿アニメのフォーマットとしては完璧だったんだな~。・・・・・・惜しいことをした。チッ!」
だから名刺や単語を変えるだけで、オープニングトークができるんだ。アハッ!
「皇女様の脳みその中がどうなっているのか、輪切りにしてみましょうか?」
電動チェーンソーを持ちワクワクしている愛ちゃんの図。
「やめい! おまえの脳みそと一緒だ!」
愛ちゃんは皇女様の脳みそを学習してできたAIである。
「そうでした。エヘッ!」
ポイントは、みんなに身近な日常エピソードとインパクトのある単語ですね。例えると巨人や鬼に人を食べさせなくても、インパクトは与えられますよ! エヘッ!
「さあ! 溜まったポンの世界の課題も終わったし、そろそろ現実世界に帰って、鈴木スズとして、圧倒的に種類が増えたポン・カードゲームで遊んで、宣伝広告してくるか。」
ポンのぬいぐるみ、ポンのTシャツ、ポンのカードゲームの売り上げは、ポン王国の税収に直結する。
「愛ちゃんはあれからも新しいポンを考えました! 自由の女神ポン! スフィンクス・ポン! ポン平洋とかどうですか? 世界シリーズです! アメリカポン! 中国ポン! ポンなら仲良く世界は一つです! エヘッ!」
愛ちゃん、ポン国連の平和大使就任か!? ポンベル平和賞もダブル受賞か!?
ピキーン!
「そうだ! 赤ちゃんポン! 新生児ポンも作ろう! 母性に訴えかけるポン! これで赤ちゃん業界様もスポンサーにできるぞ! 非暴力・殺人NGのポンの世界! 生まれた我が子を戦争のない平和な世界で育てたい親の思いと共鳴できるぞ! うおおおおおおー!」
強欲ポンな皇女様になぜ? これだけ奇跡ポンなアイデアが閃くのかは、ポンの世界、最大の謎ポンである。
「ベビーカー・ポン! おむつ・ポン! おしゃぶり・ポン! 哺乳瓶・ポン! これらのポン・カードで赤ちゃんポンの光ポンを倍々にできるです!」
少子化時代に赤ちゃんポンは最強! 大切にしたい存在なのだ。アハッ!
「じゃあ、そろそろ帰るか。」
「お待ちください! 皇女様!」
その時、ポン執事が現れる。
「大切な公務が残っております。」
「ええ~!? 仕事も宿題も嫌いなんだけど?」
「第二回、ポンの世界、キャラクター人気投票の結果発表です!」
つづく。
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「私は聞いていないぞ!? そんなもの認められるか!? 私は現実に帰るんだ!? それに、いつの間に集めたの!?」
「ポン皇女AIを使用しているので、一瞬で集計できます。」
「おお! さすが私のAIだ! 私は優秀だな! なぜなら私はポン王国の皇女だから! オッホッホー!」
「皇女様はチョロいです! エヘッ!」
こうしてキャラクター人気投票は皇女様公認になった。
ピキーン!
「奴は!? 奴はどこだ!? 魔ポンはどこだ!?」
魔ポン。元ポン魔王四天王筆頭。なぜか第一回 キャラクター人気投票で皇女様を抑え1位になった闇ポンである。
「ご安心ください。魔ポンは北海道ポンのエスポンフィールドで、ポン野球の始球式です。さらに試合後、グランドも開放して、PPSS with 魔ポンの10万人ライブが行われます。チケット代10万ポンですが、完売です。」
「ていうか!? 魔ポンもPPSSだろうが!?」
やり過ぎ! 魔ポン!
「仕方がありません、北海道であんな出来事があったのですから・・・・・・。」
魔ポンの回想が始まる。
「雪崩だ!? ギャアアアアアアー!」
北海道の豪雪地帯でポン保育園の送迎バスが雪崩に呑み込まれた。
「残念ですが、助かりませんね・・・・・・。」
ニュースの緊急生中継を見ている、誰もが諦めた。
「春になるまで無理です!?」
現場のポン警察、ポン自衛隊が諦めた。
「最後にお母さんに会いたいよ!」
「ウエ~ン! ウエ~ン! ウエ~ン! ウエ~ン!」
「みんな!? 落ち着いて!? ・・・・・・でも、ダメかも・・・・・・。」
バスの中のちびっ子や保育園の先生も諦めた。
ピキーン!
「そうだ! 彼なら来てくれるかもしれない! いや! 絶対に来てくれるはずだ! ポチっとな!」
ちびっ子は絶望の中、希望を込めて、ポンの世界のSOSボタンを押した。
(助けてー!)
雪崩に巻き込まれたちびっ子の願いは届くのか!?
「魔ッポ?」
つづく。
2-13ー3
「諦めるな!」
絶望ポンに包まれた事件現場に一人のポンが闇の光と共に現れる。
「名乗るほどの者ではありません。ニッ!」
そのポンは名前を名乗らなかった。
「おい!? あれは・・・・・・!?」
「ダメよ!? 本人が喋るまで黙っていないと!?」
彼は既に整備のヒーローとして、超有名人なので誰でも知っている。
「さすがにこれだけの雪は、私一人ではどうすることもできない。」
彼も諦めてしまうのか!?
「この事件を生中継で見ている全世界! 全宇宙! 全異次元のみんな!」
ポン皇女放送局で放送され、ポン皇女SNSで拡散されまくっている、彼のチャンネルの登録者数は100億人を超える。
「私は雪の中の人々を助けたい! お願いだ! 少しでいい! 少しずつでいい! どうか私に、みんなの光ポンを分けてくれ!」
彼のお願いは世界を駆け巡る。
「私のポンをあげる!」
「僕のポンも!」
「世界を救って!」
「宇宙人ポン!」
「異次元人ポン!」
ポンは心の結晶。人々の温かく優しいポンが地球を金色の光ポンで包む。
「ありがとう! みんな! 確かに、みんなのポンを受け取ったぞ!」
光り輝く彼。
「いくぞ! 必殺! みんなのポン! ポポポポポポー! ポーン!」
彼は凝縮した光ポンを雪崩にぶち込んだ。
「ああ!? 奇跡だ!? 雪が溶けていく!?」
大雪が溶け、中から埋まっていた保育園のバスが姿を現す。
「わああああー!」
「良かった!」
「猛烈に感動したぞ! うおおおおおおー!」
彼と世界の人々が一つになって、人命救助したことに地球が泣いた。宇宙も異次元も泣いた。
「子供たちがバスから出てくるわ!」
助かり喜んだ子供たちがバスから笑顔で飛び出してくる。
「隊長! 隊長なら絶対に来てくると信じていたよ!」
「君の私を信じる心が、私を呼んだんだよ! 二ッ!」
SOSボタンを押した子供が、彼の元に駆け寄ってくる。
「やっぱり隊長は僕らの正義のヒーローだ!」
「違うよ。本当の正義のヒーローは、勇気をだして、私を呼んだ君だ!」
彼は他人を助けようと勇気を出した小さな少年を正義のヒーローだと称えた。
「わ~い! 僕も正義のヒーローだ! 僕も将来は隊長のような正義のヒーローになるよ!」
彼の一言が、将来の正義のヒーローを夢見るちびっ子を誕生させる。
「隊長! 助けてくれてありがとう!」
「良かったね。帰ったらお父さんとお母さんといっぱい遊ぶんだぞ!」
「は~い!」
助けられた約20人の園児から彼にお礼が言われる。
「良かった! 本当に良かった!」
「なんて良い光景だ! うるうる!」
「うおおおおおおー!」
彼が助けたシーンよりも、彼が助けた園児から感謝の言葉を言われるシーンに感動ポンが集まった。
「それでは、正義のヒーロー・インタビューです!」
つづく。
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「世界のみなさん! 宇宙のみなさん! 異次元のみなさん! みんなのおかげで助けることが出来ました! ありがとうございます!」
彼は深々と頭を下げ、感謝の言葉を伝える。
「ちびっ子たちの助けを求める諦めないポンが、みなさんの困っている人を助けたいポンが、奇跡ポンを起こしたのです!」
パチパチパチパチ!
「そうだ! その通りだ!」
「あなたが助けたのに、なんて謙虚なお方なんだ!」
世界は彼を賞賛する。
「そこでみんなに協力して貰いたいお願いがございます。私は北海道でチャリティーコンサートを開催することを決めました! コンサートの収益は、全て! 子供たちの治療費、保育園のバス、道路の復旧、雪崩対策に使います!」
なんと彼のコンサートは、チャリティーコンサートだった。
「チケットは1枚・・・・・・10万ポンです!」
超高額なチビッ子には行けないチケット代。
「この費用は・・・・・・全て! ポン王国が支払います!」
彼は、超太っ腹! 昔の銀幕スターの様に男前ポンだった!
「ですが、ゲームの世界の「ポン王国」には、チケットをみんなに届ける方法がありません!」
ポンは、スマホアプリのポン・マネーで経済的に全世界を支配しているが、チケット販売は弱かった。
「そこでお願いです! 大企業の皆様! どうかポンの世界のスポンサーになってください! 商品を買ったら、チャリティーコンサートのチケットが当たるように懸賞を行ってください! そうすれば、みんなにチケットを届けることができます!」
善意で、スポンサーを獲得する恐ろしい企画である。スポンサー様はタダでチャリティーコンサートをもらい、自社の商品を消費者に買ってもらえ、売り上げも利益も手に入る。懸賞に当たった消費者はコンサートに行けるのだ。正にウインウインの企画である。
「素晴らしい! 彼こそ! 真の正義のヒーローだ!」
「スポンサーになろう! 損がない! これは社会貢献だ!」
「素敵! 対象商品を買い占めてでも、チャリティーコンサートのチケットを当てるぞ!」
これは実社会の大企業で内部留保をしこたましている企業は今すぐにでも簡単にできるアイデアである。アハッ!
「そして、チビッ子たちを、北海道を助けたいと、この素晴らしいアイデアは考えられたのは・・・・・・ポン皇女様です!」
つづく。
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「ポン皇女様アイデアだったのか! さすがポン皇女様だ!」
「なんて慈愛に溢れているお方なんだ!」
「正に! この世の救世主だ!」
「ポン皇女様! 万歳! 万歳! 万々歳!」
全ての人々が、幸せな企画を閃いた皇女様に賛辞をおくった。
「私から最後に一言。」
"Hey! All you rich folks, listen up! If you don’t donate, I’m coming for you! I’ll deliver a Justice-Pon strike right to your Money Laundering Islands! But hey… I believe in you! Nii!"
「よう! お金持ちども! よく聞け! 寄付しなかったら、私が行くからな! マネーロンダリング諸島に、正義ポンの一撃をお見舞いするぞ? 私はおまえたちを信じているぞ! ニッ!」
彼は正義のヒーローとして、複数の国の言葉を話すことができる。
「私からの話は以上だ。長い間、話を聞いてくれて、ありがとう! さらばだ!」
彼が去っていこうとする。
「最後に、子供たちを救った正義のヒーローの名前を聞かせてくれませんか?」
ここで初めてインタビュアーが仕事をする。
「名乗るような名前はない。敢えていうなら・・・・・・魔ポンだ! ニッ!」
エンドロールが流れ、魔ポン劇場の回想の幕が降りる。
そして現実に戻る。
「魔ポンー! うるうるうるうるっ!」
魔ポン劇場を見た、皇女様は涙を流していた。
「遂に皇女様も魔ポン・ファンですね。」
「違うわい! 100億ポンも寄付するんだぞ!? 私のおやつ代が!? 私のチョコレートが・・・・・・ギャアアアアアア!」
膨大な出費に断末魔の叫びをあげる皇女様。10万円のチケット代×10万人は100億らしい。
「よく言いますね? 全部自分の手柄になったら「魔ポン! よくやった!」と褒めていたくせに。」
「アハッ!」
笑って誤魔化す皇女様。
「ご安心ください。皇女様。」
そこにポン執事が現れる。
「確かに100億は全額寄付します。」
「ガーン! ゲホッ!」
大ダメージを受ける皇女様。
「しかし、新しいスポンサーの獲得とケイマンポン諸島の悪いことをしているお金持ちたちから1兆ポンの寄付がありました。差し引き9900億ポンが皇女様も懐に・・・・・・いえ、ポン王国に供託されます。」
「おお! マジか!? ・・・・・・ゴホン! そうなることは最初から私には分かっていたのだよ。なぜなら私はポン王国の皇女なのだから! オッホッホー!」
「早い復活ですね。さすが皇女様です。!」
今日も天気は晴れした。アハッ!
つづく。
おまけ。
ちなみにキャラクター人気投票の結果は、魔ポンの二連覇! 二位は、愛ちゃん! 皇女様は三位まで後退した。
「なんでやねん!?」
終わる。
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