幕間2 編入生


「何の用だろ?」


 それはとある休日。

 ヴィグナリア教官に呼ばれた俺は、教官のいる職員室へと向かっていた。


 何か呼ばれるようなことしたっけ?


 心当たることは……たくさんあった。

 ひとつは、見上げれば女子のスカートの中が覗ける魔法の階段下。

 なぜかその場所が風紀委員に露見された。そして先日検挙されてしまった。

 俺も風紀委員たちに同行されてしまったのだ。

 なぜ俺が!? この品行方正な俺が捕まらなければいけないんだ!?

 ただその場にいただけなのに! 偶然空を見上げていただけなのに!


 ……ごめんなさい。しっかりと女子たちのスカートの中を見てしまいました。

 あぁ、あのトウカの虫を見るような蔑んだ目が脳裏から離れない。もはや新しい扉が開いてしまったのかもしれない。


 と、そんな呼ばれる心当たりがありまくりな事を自覚しながら、教官の元へと向かうのだった。


「ヴィグナリア教官、来ましたよ?」

「おう、ユウか」


 職員室のドアを開け、声を掛けると、すぐに教官に気づいてもらえた。


「こっちに来い」


 そう言われ教官の元へと向かう。

 すると教官の傍に立つ女の子に気づいた。

 その女の子に見覚えがあった。

 いや、見覚えあるどころか……。


「え? マーニャ!?」

「にゃにゃにゃ! 旦那様!」


 こちらに気づいたマーニャが、俺の胸元へ向かって飛びかかって来る。

 ぎゅっと抱きつかれる体。


 ぎゃぁあああああ! おっぱいが! マーニャの大きなおっぱいが俺の体に押し付けられる!?


 突然の事に頭が付いて来れず、放心した状態でマーニャに抱き着かれていると──。


「あぁー、こほんこほん」


 教官が咳払いをする。

 

「そういうのは学校外でやってくれ。ここはあくまで学び舎なだけだから、な?」

「な? じゃありませんよ! 俺達別にそんな関係じゃないんですから!」

「あー、分かってる」


「吸血鬼の習慣というのも大変だな」と言い、教官は頭をぽりぽり掻きながらため息を吐く。

 そしてこちらを一瞥し、口を開く。


「お前を呼んだのは他でもない。ここにいるマーニャだが、今日からこの学園に編入することになった」

「え? 編入?」


 初耳だった。まさかマーニャが編入することになるとは。


「ちなみに学年はお前の一つ上の三年になる」

「え!? マーニャって先輩なの!?」


 というか学生だったのかよ。いつも街でぶらついていたから、無職の何もしていない人かと思っていたよ。


「そう言うわけで、マーニャの世話をお前に任せた」

「はっ!? 俺!?」


 なんで俺が!?


「本人の希望だ」

「にゃにゃにゃ」


 マーニャが満面の笑みを浮かべながら、こちらを見つめてくる。


「はぁ……」


 俺はため息を吐いた。



〇 〇 〇


 マーニャの奴、本当に先輩だった。

 話を聞けば、年齢も俺より一つ年上だと言う。姫様と同じ年齢だ。

 びっくりだ。年下かと思っていたら、俺より年上なのかよ。


「それで、マーニャはどこから通っているのか?」

「どこから、にゃ?」

「家があるだろ? どこから通うんだ?」


 マーニャは都市の外から来たから道も分からないだろうし、場合によっては通学路も教えてやらないといけない。


「あぁ、それなら寮に住むことに決まったにゃ」


「そうか」となんとなしに頷いたのだが──。


「旦那様の部屋に住むにゃ」

「はぁっ!?」


 聞き捨てならない言葉を聞いた。


「俺の部屋!?」

「そうにゃ」


 それに慌てて首を横に振る。


「駄目駄目! うちには同居人もいるし、空きはないぞ!」

「同居人には申し訳ないけど、追い出すにゃ」

「そんな理不尽な!」

「にゃにゃにゃ、後輩は先輩に逆らうことが出来ないにゃ」

「そんなわけあるか!」


 ふと俺たちの会話に別の声が上がった。

 振り返りと、そこにはマーニャを睨む姫様の姿があった。



〇 〇 〇


「お前の部屋はここだ」


 姫様が俺とマーニャを連れてきたのは、姫様自身の寮部屋だった。


「なんでにゃ! みゃーは旦那様の部屋が良いにゃ!」

「駄目に決まっているだろ!」


 ぎゃーぎゃーとそんなやり取りが聞こえる

 しかし俺はそれを諫めるどころでは無かった。


「こ、ここが姫様の部屋……」


 ゴクンと固唾を飲む。

 初めて入る姫様の寮部屋にどぎまぎしていた。


 綺麗に整えられている姫様の部屋。

 昔、城の姫様の部屋に入った時は、たくさんのぬいぐるみに溢れていたのだが、この部屋にはどこにも飾られていない。

 姫様はこう見えて、ぬいぐるみが好きというファンシーな趣味をお持ちである。俺が知っている限りは、同じぬいぐるみを毎晩抱いて寝ていたのだが……あれ? 見当たらないな?


 ──あぁ、もう姫様のぬいぐるみを抱いて寝るのは卒業したんだな。


「ユウ様……」


 コソっと背後から声が聞こえた。


「ミリィ姉さん……?」

「はい、ミリエラでございます」


 いつの間に俺の背後にいた? この部屋に来た時には俺と姫様、マーニャの三人しかいなかったはずなのに?


「それよりもあそこのタンスをご覧くださいませ」


 ふと指されたタンスを見る。

 半開きのタンス。中からボロボロのぬいぐるみが顔を覗かせていた。

 あれは、マロンちゃん!?

 姫様のお気に入りのぬいぐるみで、小さい頃はいつも抱いて寝ていた、姫様のお友だちだ。


「姫様は今でもたまにマロンちゃんを抱いて寝ております」


 マジか、と苦笑いしてしまった。



 数分で引っ越し作業を済ませたマーニャ。

 それを見て、姫様は驚いた顔を浮かべる。


「マーニャ、お前荷物が全然少ないな」


 あてがわれた机に置いたのは、これから使う教科書だけ。

 女の子らしい雑貨どころか、クローゼットに掛ける服すらも持ち合わせていない。

 様々な私物が置いてある姫様の箇所と比べると、マーニャの所はこれっぽっちも生活感が無いように見える。


「なんだかみゃーの所が寂しいにゃ……」


 そうぼやくマーニャに、姫様が提案する。


「それじゃあ、街に出て買い出しにでも行くか」



〇 〇 〇


 俺とマーニャ、姫様と共に街に買い出しに出ていた。

 さっき一瞬だけ現れたミリィ姉さんは、またいつの間にかいなくなっていた。本当に神出鬼没だな、あの人は。

 俺と姫様の前を歩くマーニャ。すごく機嫌が良いのか、やけに張り切っている。


「どこ行くにゃ、どこ行くにゃ!」


 と、こちらを振り返っては、様々な話を振って来る。

 俺はそんなマーニャと話しながら、内心ドキドキしていた。

 だ、だって! 姫様が俺の隣を歩いているんだぜ!? 先日ぶりに姫様と一緒に出掛けているんだぜ!

 あぁ、歩くたびに姫様の大きなおっぱいがゆさゆさと揺れるぜ! たまらねぇ!


「ん? なにをそんなにはぁはぁしているのにゃ、旦那様?」

「え?」

「顔が真っ赤なのにゃ。熱でもあるのかにゃ?」


 俺の顔を見ながら心配そうな顔を浮かべるマーニャ。


「なに? ユウ、風邪引いたのか?」


 姫様が俺の顔を覗く。顔と顔の距離がかなり近い。

 近い近い近い近い! 姫様のお顔が近い!?

 心配そうにこちらを覗く姫様は、俺のおでこに手を当てた。


「熱は……むむ? 無いではないか?」


 無いよ! 姫様のおっぱいを見て興奮してただけだよ! ごめんなさい!

 姫様は熱のない俺に、がっかりするように肩を落としていた。

 なぜそこで肩を落とす?


「むぅ、熱があればユウを看病することが出来たのに」


 あぁ、看病したかったのね。

 それは本当に熱が出た時にお願いします。


「にゃにゃにゃ! 旦那様もみんなと歩けてはしゃいでいるのにゃ?」

「そんなマーニャもなんだか楽しそうだな?」

「そうにゃ! みんなで歩く街はひと味違うのにゃ! ひとりぼっちで歩いていた時とは違うにゃ」


 そこで気づいてしまう。

 マーニャはいつもひとりだった。ひとりで街を彷徨っていた。ひとりで半グレのアジトを襲撃していた。

 こんなに元気たっぷりで明るいマーニャがひとりっきりでいる姿を思い、なんだか切なくなってくる。


 すると姫様が「ふん」と息を漏らす。そしてマーニャに向かいボソッと言う。


「これから出かけるなら私を誘ってもいいんだぞ? 道案内ぐらいならしてやってもいい」


 その素直ではない物言いに、なんだか微笑んでしまう。

 だけどそんな姫様に、マーニャは目を丸くし、そしてクシャっと笑顔になる。


「お前、良い奴なのにゃ……」


 そんな姫様の言葉に、マーニャは素直に言う。

 そんなことを言われた姫様は、顔を真っ赤にさせる。

 あぁ、姫様、すっかり照れちゃっているな、とは口にはしない。


「それなら遠慮なく姫に道案内を頼むにゃ」

「ふ、ふん、頼めるなら頼むがいい……」

「旦那様も一緒にゃ」


 それだと今日と変わらないだろうに、と思う。

 

 

「にゃー」


 ふと猫とすれ違う。

 そして猫は立ち止まり、こちらを見つめてくる。


「にゃー」


 まるで俺に何かを言うかのように、鳴き声を上げる。

 

 なんだ? 俺に何か用でもあるのか?


 見つめる猫に、俺も見つめ返す。

 すると頭の中で声がした。


「付いてきな、坊や」


 え!?


 俺は周りを見渡した。

 今の声は……。

 姫様やマーニャの声では無かった。

 だいぶしわがれた、老人のような声。


「にゃー」


 猫がこちらを見ながら鳴き声を上げる。

 そして踵を返して、歩き出した。


「ちょっ!」


 呼び止めようとするも、猫はどんどん向こうへと行ってしまう。

 ふとこちらへ振り向く猫。


「付いて来るのか、来ないのか、どっちなんだい?」


 また声が聞こえた。

 もしかして、この声、あの猫から発せられているのか?


 そして猫は再度歩き始めた。


「マーニャ、姫様、ちょっと先に行っててくれ」

「にゃ?」

「おい、ユウ!?」


 呼び止める声を振り切って、俺は猫を追いかけた。



〇 〇 〇


 猫を追いかけて、広場へとやって来た。

 たくさんの猫がいる。たくさんの種類がいる。

 まるで猫たちの集会、もしくは井戸端会議に鉢合ったかのようだ。

 すると俺が追いかけていた猫が立ち止まり、こちらへと振り向いた。


 黒い綺麗な毛並みの猫。

 こちらを向いて「にゃー」と鳴く。

 するとまた声が聞こえた。


「みんな、連れてきたよ」

「おぉ、この者が!」

「守護者!」


 たくさんの声が頭の中で響いた。


「さて、今代の守護者がどんな子か見させてもらうかね」


 猫がじっとこちらを見る。

 うぅ、なんか観察されているようで、落ち着かない。


「なんだい、これが今代の守護者かい? なんだか締まらない子だね?」

「し、締まらないってなんだよ!」


 いきなり悪口を言われ、つい言い返してしまった。


「まぁまぁ、そう怒りなさんな、坊や」


 ニヤニヤと笑みを浮かべる猫。周りの猫もどこか笑っているようで、嫌な気分だ。


「吸血鬼の番の役割を知っているかい?」

「全然?」

「カッカッカ! 素直な坊やだ! いいかい、吸血鬼の番というのはね、いつでも血を提供することと、子作りさ」

「子作り!?」


 それを聞いて、慌てふためく。

 こ、子作りって……。


「おや? 坊やはマーニャを抱きたくないのかい?」

「抱くって……」

「いいんだよ、あの大きな乳を思いっきり揉みながら、子作りに励んでも」

「あの大きな胸を……」


 想像してしまう。あの大きなおっぱいを揉みながら、俺はマーニャに……──。

 駄目だ駄目だ! 俺には姫様がいるんだ! まずやるなら姫様が初めての相手だ!


「かっかっか! 顔を真っ赤にさせて。まだ若いのに相手には困らないって感じだね」


 豪快に笑う猫。

 くぅぅ……なんだか考えていたことが見透かされたような気がして、恥ずかしいぜ。


「いいかい? 現代の吸血鬼にとって、種の存続こそが一番の最重要だ。期待しているよ、喰らいし者」



〇 〇 〇


 どこか腑に落ちない感じで姫様たちの元へと戻る。

 なんだったんだ、あの猫たちは? 吸血鬼と何か関係があるのか?

 よく分からない猫の集会に駆り出されたもんだ。


「このガキ! なにしやがる!」


 すると男の怒鳴り声が聞こえてきた。

 その声に身体がビクッと震えた。

 キョロキョロと周りを見渡す。すると人だかりができているのが見えた。


「うるさいにゃ!」


 すると人だかりの中から聞き覚えのある声も聞こえた。

 なんだか嫌な予感がした。

 俺は人だかりの方へと急いで向かう。


 人だかりの中、その中心で案の定、男とマーニャが怒鳴りあっている光景が見えた。

 その近くで姫様が泣いている女の子を抱きしめている。


「このガキ! よくも俺のズボンにアイスをぶちまけたな!」


 それを聞いて泣き声を上げる女の子。


「女の子だってわざとじゃないのにゃ! だからそんな大声で怒鳴るのはよすにゃ! 女の子が怖がって泣いているにゃ!」

「うるせぇ! 俺が『負け犬の遠吠え団』の幹部だという事を知ってて言っているのか!」


 それを聞いてざわめく周囲。


「負け犬の遠吠え団って、この辺で騒ぎを起こしている半グレ集団じゃない?」

「あぁ、幸せそうなリア充たちを見つけてはモテない自分たちの鬱憤を晴らすという卑怯な奴らだ」


 なんだよ、ただリア充を目の敵にしているだけだろ!

 それに負け犬の遠吠えって、なんつーネーミングセンスだ。


 すると男を睨みつけていたマーニャが声を上げた。


「何が負け犬の遠吠えにゃ! 犬は犬らしく小屋で大人しくして、首輪でも舐めて磨いてろにゃ!」


 うわぁ、マーニャの奴、なんつー挑発をするんだ。そんな事を言えば、相手の男は──。


「ぐぐぐぐっ!」


 思っていた通り、男の顔は怒りで真っ赤な顔をさせていた。

 すると男は無言でマーニャに向かって拳を振り上げて──。


 あぶない!?


 そして俺は男とマーニャの間に向かって駆け寄る。


 ドゴッ!


「ぐぅっ!?」


 そして頭に大きな衝撃を受けた。


「ユウ!?」

「旦那様!?」


 俺に駆け寄るマーニャと姫様。


「大丈夫にゃ、旦那様!?」


 マーニャが俺に回復魔法を掛ける。

 あぁ、温かい。マーニャの回復魔法が温かいよぉ……。


「俺は大丈夫だから。何とかこの場を収めて、ここから離れよう──あれ?」


 ふと立ち上がろうとすると、頭が回って、ふらふらとよろめいた。

 男の拳を頭に喰らったからだろうか、脳震盪を起こしたのかもしれない。


「「許さない!」」


 マーニャと姫様の声が重なった。

 二人からメラメラと闘気を燃え上がっていた。


「な、なんだよ……」


 それを見て怯む男。


「おい、どうした?」

「こんな場所で何やってんだよ」


 すると複数の男たちが駆けつけてきた。

 それを見てニヤつく男。


「ふはははは! 俺の仲間がやって来たぜ!」


 怯んでいたはずの男は、仲間が来たことで余裕を取り戻す。

 応援が来ていい気になり出す男。


「可哀そうになぁ、お前らは地獄行きだぜ? 男は半殺しで、女は楽しんだ後、娼館にでも売り飛ばすぜ」


 俺たちを囲む男たち。見物していた人たちは蜘蛛の子を散らすかのように逃げて行った。

 そんな男たちに向かって、マーニャと姫様たちはさらに一層、闘気を燃やしていた。


「この手のバカは少し痛い目を見ないといけないのにゃ!」

「あぁ、この都市で騒動を起こせばどうなるのか、この王族の私自らが思い知らせてやろう!」



〇 〇 〇


「んー……」

「にゃにゃにゃ」


 どうしてこうなった?


 マーニャと姫様が半グレたちをぶちのめした後、俺はマーニャの膝の上に頭を乗っけさせられていた。つまりは膝枕だ。


「にゃにゃにゃ。どうにゃ? 美少女の膝枕は?」


 ……たまりません。


 俺の目の前、マーニャの大きなおっぱいがゆさゆさと揺れる。

 その光景を、俺はガン見していた。

 素晴らしい光景だ! 絶景百選に数えられるだろう。


 ちなみに姫様は薬局へ行って、湿布を買いに行っている。俺が男に殴られた際の頬が大きく腫れてしまったからだ。

 くそっ。あの攻撃で歯が一本欠けてしまった。

 回復魔法でも欠けた歯は再生しない。


「大丈夫、お兄ちゃん?」


 俺の顔を覗く影。さっき泣いていた女の子だ。

 女の子が心配そうに俺の顔を見ている。


「あぁ、大丈夫だよ」


 じっと俺の顔を見る女の子に、どこか気恥ずかしさを覚え、目を反らす。


「まったく、旦那様はいつも無茶するにゃ」


 マーニャはため息を吐きながら、俺の頬に優しく触れる。


「まぁ、マーニャが痛い目に遭わなくてよかったよ」

「何を言ってるにゃ。みゃーは強いからあんな攻撃避けることが出来たにゃ」


 あぁ、やっぱり俺は出しゃばってしまったんだろうな。無駄に痛い目を見てしまった。


「だけど、庇ってくれて、嬉しかったにゃ」


 顔を真っ赤にさせるマーニャ。


 ……やばい。なんだか急に甘い雰囲気になってしまった。

 とても気まずいぞ。

 女の子は「ドキドキ」と目を輝かせながら、俺らを見ているし……。

 どうしよう、これ。


「何をしている」


 すると途端に聞き覚えのある、低い不機嫌そうな声が聞こえてきた。

 声のした方を見る。そこにはビニール袋を持った姫様の姿があった。


「なに私のユウに膝枕をしているんだ、貴様!」

「にゃにゃにゃ。姫はみゃーと旦那様のラブラブチックを指を咥えながら大人しく見守ると良いにゃ」


 どうやらマーニャが俺を膝枕しているのが気にくわないのか、持っていたビニール袋を握りつぶし、大層お怒りのようだった。


「この駄猫! 飼い主が誰なのか思い知らせてやる!」

「やって見ろにゃ、この愚姫!」

「お姉ちゃんたち負けるな!」


 あぁ、頭が痛くなってきた。



 ちなみに欠けた歯は、保険医のマニラ先生の再生魔法で元通りになった。

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