7月7日 感じる思い

その1ヶ月後俺は病院を退院し、リハビリという名目で隔週に1回のペースで病院に通っていた。

それはもう学校の勉強よりも熱心に通っていたと思う。

その理由はなんてこともない。


「正くん、こんにちは!」

「…相変わらず元気やな、柚は。」

柚に会いに来る口実にもなったから。


柚は俺と同じ高校3年で、少し前からこの病院に入院をしているらしい。

なんで入院しているとかはプライバシーかと思い、聞いてはないけれど柚はどこか悪いところなどないようにいつもニコニコしていた。

「今日も暑いねー。」

「こんな暑いのに外に出てて怒られへんの?」

「もう慣れっこやし。それにここに来たら正くんに会えるやろ?」

「え、それって…。」

「同年代の友達なんて滅多にできへんもん。仲良くしてな。」

そう言って嬉しそうに笑う柚を見て俺は肩を落とした。


友達、という響きに少しキリッと痛んだ胸を隠すようにオレは話題を変えた。

「そういえば今日七夕やな。柚何か願い事したんか?」

「願い事かー…。」

柚はふっと空を見上げた。

その顔が少し悲しげに見えた気がした。

その様子はすぐに変わり、柚はまたニコニコしながら俺の方を見た。

「正くんとずっと仲良くできたらええなってお願いする!」

「…は?」

「は?って嬉しくないん?」

「…別に。」

「もう、正くんは素直じゃないけん。」

「うるせえ。」

そう言うと柚はまたちょっかいが成功したように嬉しそうに笑った。


あの頃から俺は柚を好きだった。

柚の抱えていたものも知らずに、ただ純粋に笑う柚の事が好きだった。

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