失恋して真っ暗だった僕を救ってくれたのは、隣の家の女の子でした 〜2nd Season〜
藍色の星 みり
第一章 / 記憶の果てに
1. 新学年
高校三年生。それはこの先の人生の進路を考えることにおいて、自分の道筋を大きく決めることになる、試練の年であり…
「みり〜、今日から新学年だよ〜、学校行かなきゃ〜」
青春を謳歌出来る、高校最後の年だ。勉学に励み、くだらない話で笑い合って、放課後に寄り道して…そして、恋人と、何気ない日々を笑い合って。
これは、失恋してから隣の家の女の子、宵闇あるまに救われて、やっと前を向けるようになった自分たちの、進級した後の物語だ。
「にしても、春休み短かったなー」
「春休みは短いものだからね〜、その代わりに宿題も少ないんだから良いんじゃない?、私はそう思うよ〜」
それもそうか。というか夏休みが長すぎるんだよな普通に。まぁ…あれは夏が暑いから、その時期に登校して熱中症の人が続出してしまうことを防ぐために、長期間の休みが与えられているわけだ。
「でも休みが短いからこそ、休み明けの今日の気だるさがマシになってるとも言える」
「それはそうかもね」
一緒に歩くのは、宵闇あるま。さっきも言ったが、俺の彼女だ。ちょっとヤンデレ味を感じるところもあるが、一生懸命で、俺のために色々やってくれる、健気な彼女。そんな彼女の気持ちに応えたいと、自分を変えていって、今では自分という存在に自信を持てている。だからこど、俺は彼女を必要としているんだ…もっとも、俺が離れたいと言おうものなら俺の命はそれまでになる可能性があるのだが…。
「お友達と同じクラスになるといいな〜、離れちゃうと寂しいもん、とっても」
「同じになるといいな」
学校に着いた時には、もうかなりの人が来ていて、靴箱の近くにクラスの振り分けが書かれた紙が掲示されている…うーむ、後ろからじゃよく見えない…。
「あ!、今年も一緒だ!、やったー!」
あるまは友達と今年もクラスが一緒だったようだ。
「良かったな、さて俺の方は…」
柊は別のクラスだな…言っても隣だから話す頻度は変わらないだろうが、月乃は今年も同じクラス。他はぼちぼちってところだな。
「知ってる人がいるのはそれだけで安心するな、居ないとどう過ごせば良いのかわかんなくなるし…ん?、見慣れない名前がある?」
この名簿に、一人だけ見慣れない名前があった。
「
誰なんだろうか、少なくとも、俺の記憶の限りではあるが、こんな人は居なかった。じゃあ転校生?、珍しいな、高三になって転校してくる人がいるのは。
「よぉ!、今年は別々のクラスになっちまったな!、それでも隣のクラスなわけだし、暇だったら話しかけに行くからな!」
「モテ男に暇な時間なんてあるのか?、柊」
「ずっと人だかりが出来ているわけでもないのでな」
暇だったら行く、というよりただ話したいだけだろ。まぁこっちとしてはありがたい限りだから何も言わないが、
「あ、一つ聞きたいんだが…この人、知ってる?」
俺はそう言って、名簿の"黒百合 美波"のところを指さして聞いてみた。
「この名前は見たことがないな、転校生かな?」
「やっぱり見たことないよな」
俺より人の名前を覚えてる柊がそういうのだからきっとそうなのだろう。
「まぁ、仲良くできるようなら仲良くするよ、一年間同じクラスとしてやっていくわけだからさ」
「まぁそれでいいと思う」
指定された教室に行こうと思っていたら、
「みり〜!、私はみりの教室のちょうど一階下!、階段もそこまで遠くないから、お昼ご飯の時間になったらすぐに行くね!」
「良いじゃん、友達も一緒のクラスだったみたいだし、目一杯クラスでも楽しめるといいな」
「みりもね〜、今日は始業式とかでお昼で終わりだし、また後でね〜!」
ずっと眩しくて元気だな、あるまはやっぱり。
「先輩、私もあるまちゃん達と同じクラスでした」
「おぉ、よかったじゃん」
「なんだか反応が薄くないですか?」
「これ以上に何を言えというんだ」
あるまが教室に行ったところで、雨笠が話しかけてきた。
「あるまちゃんと同じクラスってことは、先輩にとっても、クラスがそこまで遠くないってことなんですから、あと去年より図書館にも近いですし、私としても良いクラスだなって」
「ならいいじゃん」
「…また図書館で話しましょう」
あ、行ってしまった。何か言いたげだったが…また今度会ったときに話せばいいだろう。時間にもそこまで余裕がなくなって来たことだし。自分もクラスに向かうことにするか〜
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後書き
当作品は、こちらの作品の続作となっております。話の流れなどを理解されてから読むことを推奨いたします。
↓
『失恋して真っ暗だった僕を救ってくれたのは、隣の家の女の子でした』
https://kakuyomu.jp/works/16818093089608468618
今日から連載始まります!、どうぞよろしくお願いします!!!
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