第7話 1-7

1-7-1


「ああ~、退屈だな~。」


 皇女様は、いつもの様に退屈していた。


「何か楽しいことはない?」


 従者に尋ねてみた。


「御座いません。」


「ガーン! 身も蓋もない言い方ね。もっと主を敬いなさいよ!」


「無理です。」


「が、ガガガ―ン!」


 皇女様は従者からダメージを受ける。


「否定は結構! メリケンコウ! 否定からは何も生まれないわ!」


 たまにまともなことも言える皇女様。


「いいわ。AIに聞いてみましょう。どうすれば私が長寿アニメになれるか。」


 皇女様はAIに聞きました。


「無理です。諦めろ。なっ!」


「ガーン! ・・・・・・AI!? おまえもか!?」

 

 皇女様はAIからもダメージを受ける。


「皇女様が長寿アニメになることはむ可能です。アワビさん先輩や、トラエモン先輩は、豊かな日本の昔だから成功して、今の今まで生き残っていられる日常モノの作品ですよね。皇女様は内容よりも、皇女、皇室という設定が、問題になるので、異世界で姫、時代劇で姫に転職してください。」


 従者が保護者が子供に安心して見せることができるように、皇女様を嗜める。


「じゃあ! 異世界に行ってくるわ!」


 異世界に行こうとする皇女様。


「残念ですが、現状、現代ファンタジーの皇女様は異世界には行けません。」


「ケチッ! チッ!」


 悔しがり舌打ちする皇女様。 


「それに現代の長寿アニメ向けは、戦闘モノです。アニメ制作には膨大な費用がかかりますので、ブルーレイやぬいぐるみ、カードやゲーム、変身などでの要素があるものです。」


「なに!? それでは長寿アニメになるために、戦闘をやめた作品を目指している、私は全否定じゃないか!? うおおおおおー!」


 お馴染みの、火を吐く皇女様の図。


「私にいったいどうしろというんだ!?」


 困った皇女様。


ピキーン!


「そうだ! 愛ちゃんを呼ぼう! 私には愛ちゃんがいるじゃないか!」


 皇女様はAIの愛ちゃんを起動する。


「は~い! 愛ちゃんだよ! エヘッ!」


 自称、可愛いAI、ミラクルAI、AIを超えるAIの愛ちゃんが現れる。


「愛ちゃん、かくかくしかじかなんだ。何かアイデアはない?」


 皇女様は愛ちゃんに事情を話す。


「「ヘッポコ皇女とAIの愛ちゃん」を、元の「異世界ファンタジー部」とミックスさせればいいんじゃないですか?」


 愛ちゃんは呟いた。


「まったく愛ちゃんはヘッポコだな。そんなことができ・・・・・・!?」


ピキーン!


「できるぞ! 最初から作り直せばいいんだ! 私って、天才! なぜなら私は日本国の皇女だから! オッホッホー!」


「あの、愛ちゃんの意見なんですけど?」


「アハッ!」


 他人の手柄は自分のものの皇女様。


「よし! 最初から考えてみよう!」


 つづく。


1-7-2


「まずは私の年齢だ! 現在、皇女様の設定年齢は16歳の女子高生だった・・・・・・ホンマか!?」


 これだけ、ふざけている皇女様の年齢が16歳に疑問が残る。


「私がツッコム前に、自分でツッコまないでくださいよ!」


「アハッ!」


 笑って誤魔化す皇女様。


「元々、皇女様の年齢は小学一年生の7歳でした。過去編は3歳からあります。」

 

 結構、長生きな皇女様。


「その通り! どうして私が16歳になったかというと、実写ドラマ化した時に、さすがに6歳では子役が無理だな、ということで私は16歳まで老けたのだ! ワッハッハー!」


「そこ、自慢するところですか?」


「いいじゃん。まだ若いんだから。」


 微妙なお年頃の皇女様。


「しかし、今回、長寿アニメになるためには主人公は何歳が良いと聞くと、小学生の10歳が鉄板と言われました。」


 確かに長寿アニメの主人公は小学生が多いらしい。


「それに私が16歳だと、キスや夜の営み、不純異性交遊をしないといけなくなるからな。アハッ!」


 さよなら! スズヒロ!


「ということで、10歳の私をよろしく!」


 皇女様の年齢は10歳に決まった。


「今までキャラクターデザインを設定していなかったことに驚きです! エヘッ!」


 愛ちゃんの年齢は何才だろう? そもそもAIに年齢があるのだろうか?


「私は10歳で皇女か・・・・・・孤高の存在だな。私はバラの運命に生まれたのだー!」


 珍しく凛々しい皇女様の図。


 つづく。


1-7-3


「次は何?」


「戦闘システムですね。」


 長寿アニメには日常モノしかなれないとAIに騙され、始まった非戦闘型物語「ヘッポコ皇女とAIの愛ちゃん」だった。


「長寿アニメでは、暴力、殺人は基本的にタブーです。保護者が子供に安心して見せられる番組ではなくなるからです。」


 安定した従者の説明に保護者も安心。


「ということは、異世界ファンタジー部で間違っていたのは、人間が、学生が、剣を持ち魔法をぶっぱなし、タワーマンションを破壊、大怪獣ガジラの蹂躙行動が行われた戦闘スタイルが原因だったのか!?」


 その通り。長寿アニメになるためには禁忌である。


「そこで、異世界ファンタジー部を、ゲームやカードバトルの、eスポーツにしてしまいましょう。これなら誰も死にません。」


 ナイス・アイデア!


「でも、ゲームで負けたら、実際の自分も死んじゃうんだろ?」


「デス・ゲームにしないでください!」


「アハッ!」

 

 日常モノより、戦闘モノの方が長寿アニメになりやすいとしり、勢い良く毒づく皇女様。


「ホケモン先輩も殺し合いではなく、競技ということにして、モンスターの暴力であり、人間が暴力を振るう訳ではないで許されているみたいです。」


「でも、結局、竜玉や海賊王も戦い、迷惑探偵は殺人、巨人も鬼も人間を食べて殺す残酷シーンばっかりだったよ? 結局、人気があって、お金が儲かれば許される、大人の事情だよね。」


「はい。その通りです。そんな大人が作っているから、テレビ局の女子アナがアイドルに襲われる事件が起こるようなモラルしかないと言われるのでしょう。」


 確かにテレビ局、スポンサー、アニメ制作会社側に常識やモラル、子供に与える影響を考えられる大人がいれば、アニメになっていない過激な問題作ばかりである。


「私は、この国を皇女として、憂いているのだ!」


 美味しい所だけは貰う皇女様。


 つづく。


1-7-4


「次はなんだ?」


「グッツ販売でも考えますか? 膨大な赤字アニメの制作費を、グッツ販売で黒字にします。」


 これもアニメ業界の常識である。


「なら、これはどう? 「ピキーン!」Tシャツ。絶対に売れるよ! あと「なぜなら私は日本国の皇女だから!」Tシャツとか「オッホッホー!」Tシャツとかも。一文字で「チッ!」Tシャツとかどう? 外国人観光客が300枚はかって帰るぜ! ガッポリ!」


 両目がお金になっている皇女様。


「私の「シャキーン!」Tシャツも作ってくださいね。」


 ちゃっかりしている従者。


「私の「は~い! 愛ちゃんです!」Tシャツもお願いします!」


「いや。愛ちゃんは「エヘッ!」Tシャツでしょ。」


「そうですね。エヘッ!」


 キャラクターの名言がTシャツになるのはお約束。


ピキーン!


「こ、こ、皇女。皇女。イエーイ!」


 いきなり皇女様が歌いだした。


「どうしたんですか!? 何か悪い物でも拾い食いしたんですか!?」


「違うわい! 私が歌も歌って、イベントやライブを開けば儲かるではないか! ガッポリ!」


「なら、愛ちゃんも歌います。可愛い愛ちゃん、よっこしょ! エヘッ!」


「・・・・・・AIちゃんって、AIのくせに、ヘッポコだな。」


「それは、私が皇女様の脳みそを学習して生まれたAIですから。」


「そだね。納得できてしまうのが本当に怖い。アハッ!」


 皇女様と愛ちゃんは同レベルであった。


「皇女様!? 埼玉県民に草でも食わしておけは言い過ぎです!?」


 従者の一人芝居が始まった。


「こら。サト。おまえは何をしているんだ?」


「CDドラマの収録の練習です。声優をやるのは初めてで嬉しです。」


「おまえ、アニメにも出る気だったんだ?」


「当然です! シャキーン!」


「・・・・・・。」


 従者の野望に思わず言葉を失う皇女様と愛ちゃん。


つづく。


1-7-5


「次は何を直そうかな?」


「皇女様を直しましょう。」


「そだね。このままだと私は頭のおかしい、痛い皇女、痛皇女になっちゃうからね。」


「痛皇女Tシャツも作りましょう!」


「そのアイデア、いただき! 愛ちゃん、頭が覚めてるね! 良い奥さんになるよ!」


「エヘッ!」


 AIの可愛い愛ちゃん、結婚相手募集中!


「私の性格の裏表はいいんだけど、公務をしている時は聖女でしとやかに大人しく気品ある貴族の振舞だけど、公務していない時は、私は、ず~っとふざけている痛皇女ですからな。ワッハッハー!」


「皇女様。誰も褒めてませんよ。」


「アハッ!」


 笑って誤魔化す皇女様。


「ああ~! この世から戦争が無くなればいいのに! 私には何もできないというのか!? なんという神の悪戯だ! ただ人々の幸せを祈ることしかできないなんて! ああ~! 神よ! どうか! どうか私に人々の笑顔を守れる力を与えてください! 神よ~!」


 これが表の顔の皇女様である。ミュージカル、舞台、何でも来い。皇女様は演じられます。アハッ!


「ああ~、疲れた。皇女なんて、やってられないな。なんで人の幸せを祈らなければいけないんだよ! その前に私を幸せにしてくれ! 信じる者しか救わない神様なんて、大っ嫌いだ! うおおおおおー!」


 公務でストレスを溜まった皇女様は自分の部屋に戻ったら毒を吐いてストレスを発散している。


「・・・・・・救いようがありませんね。」


「・・・・・・まったくです。」


 皇女様の変貌ぶりにお手上げな、愛ちゃんと従者。


つづく。


1-7-6


「でも、私の設定が16歳から、10歳になったってことは、これからは10歳の私を演じるということよね?」


「はい。その通りです。さすがの皇女様も10歳だと、ここまで毒を吐いていなかったのではないですか?」


 残念だが、表の部分はありだが、皇女様の裏の顔は長寿アニメの主人公にはなれない。


「皇女様。もう少し、性格をマイルド路線にしましょうよ。」


「ええ~!? もっと火を吐きたいな! ガオー!!!!!!」


 大怪獣皇女! 絶賛上映中!


「可愛い方がお金も儲かると思うんですけどね。」


「なに!?」


ピキーン!


「私はここに誓う! 弱気を助け! 強気をくじく! 私は人々の夢と希望になりたい!」


 長年、皇女をやってきたので公務で、きれいに正しく聞こえる言葉は言いなれている皇女様。


「これは暴力ではない! AIが言った! 正義のための暴力は許されると! 私は悪くない!」


「いや~、AIが言っても、暴力はダメでしょう。」


「正しいように聞こえるのが皇女様の恐ろしい所です。」


 恐るべし! 皇女様のカリスマ性!


「君に降り注ぐ痛みを振り払ってあげたい。そして! ああ! 君に降り注ぐ光を集めてあげたい!」


ピーポー! ピーポー!


ウイ! ウイ! ウイ!


 皇女様のセリフの破壊力が強すぎて町は火災が発生しまくり、救急車や消防車のサイレンが鳴り響く。


「例え、神であっても、私を止めることはできない! なぜなら私は日本国の皇女なのだから!」


 皇女様は、名言Tシャツを売りまくるために、魂を込めて叫び続ける。


「オッホッホー!」


「この調子だと、日本が壊滅しますね。」


「はい。復旧費用で皇女様のお菓子代も出ないでしょう。」


 チーン!


 つづく。


1-7-7


「次はどうしましょう?」


「う~ん。どうして、皇女様がここまでヤンキーになったのか、振り返ってみましょう。」


 ここで16歳の皇女様はリセットされる。


「まず私の両親は・・・・・・死んでます。」


「ええ~!?」


 衝撃の事実。


「初期設定の私は、3歳で天皇と皇后の両親を暗殺されます。犯人はクーデターを試みた東京都知事です。」


 恐ろしい設定。


「私は殺されないように、悪い大人の言いなりで「はい。」と言わされてきました。」


 なんという不幸な皇女様の幼少期。


「どうだ? これなら私の精神がおかしくなるのも納得できるだろ。」


 同情を誘う皇女様。


「確かに壮絶な子供の頃ですね!? 可哀そうな皇女様。」


「でも、ぐれるかぐれないかは、本人次第です。」


 環境に甘えるなという従者。


「私は悪くない! 悪いのは大人だ! 時代だ! 政治家だ! そいつらが私みたいな、心に傷を負った少年少女を生み出していると、なぜ気づかないんだ!?」


 世の中に訴える皇女様の支持率爆上がり中。


「で、5歳の時に自殺しようと、皇居のお堀に身投げしたのだ! その時に、皇居のお堀の壁の都営住宅に住んでいたサトに助けられたのだ!」


 今、明かされる従者の過去。


「それはあくまでも「異世界ファンタジー部」のサトの話ですね。今の私は従者というより、執事。年齢も皇女様よりも、かなり年上ですよ。」


「分からなくなってきた!? これから、一体どうすればいいの!?」


 2つの物語が混在する世界。


ピキーン!


「全ての設定を捨てよう。素直に10歳の私に生まれ変わるのだ。私は皇女という身分を隠して、夢と希望を抱き小学校に通い、eスポーツとして、「異世界ファンタジー部」というゲーム、カード、ぬいぐるみを売って歩くんだ!」


「金儲けは忘れないんですね?」


「だって、日本国は借金が多いんだもん。」


ピキーン!


「そうだ! eスポーツで優勝して、国の借金を減らすという設定にしよう! それなら自然だ! 戦う動機にもなる! やっぱり私は天才だ! なぜなら私は日本国の皇女なのだから! オッホッホー!」


 10歳スタイルの夢と希望に溢れた、ワクワク・ドキドキの子供心を持った皇女様のイメージで物語を進めなければ。アハッ!


 つづく。


1-7-8


ピキーン!


「そうか! 私の皇女という設定に拘り過ぎなのか! なら! 私は皇女を捨てよう! それで全てが回るなら!」


 皇女様は床にマイクを置いて、脱、皇女宣言をする。


「大丈夫ですか? 皇女を捨てて。」


「確かに皇女という言葉は、現実社会的に使用禁止ワードです。規制や差別などの問題が多いので。だから普通は異世界での姫や、時代劇の姫になるのです。」


 すごい所に挑戦していた皇女利用。


「私は皇女をやめた。今から絶対に行かなければいけないところがある!」


「どこですか!?」


「区役所の社会福祉課だ! 生活保護をもらわないと生きていけないんでね。収入がないから。アハッ!」


 皇女様、皇女をやめたら、死ぬ寸前の生活までに落ちぶれる。


「でも、生活保護という言葉も、規制や差別に当たるのでは!?」


「知らん。私は、もう皇女ではない。言論の自由は保障されているのだ! なぜなら私は日本国の庶民なのだから! オッホッホー!」


 急に笑い方は変えられない皇女様。


「よし! 鈴木スズで、マイナンバーカードをもらってこなくっちゃ。アハッ!」


 ごり押しで庶民になろうとする皇女様。


「それでは私は消えますね。」


 従者は皇女様の元を去ろうとする。


「どうして?」


「普通の10歳の小学生に従者はいませんから。」


「別にいいじゃない。あなた、マレーシア人とか、カンボジア人のメイドということにしましょうよ?」


「嫌です。さような。皇女様。」


 こうして従者は去っていっった。


「愛ちゃんは去らないわよね?」


「私は大丈夫だよ。なぜなら、スズが、ガチャから私のカードを引く、運命にあるのだから。」


 貧乏になった皇女様の前に、創造主モードのAIの愛ちゃんが姿を現す。


 つづく。


1-7-9 おまけ


 舞台は変わり、皇女様の闇の心の仮想世界。


ピキーン!


「分かった! 分かったぞ! 犯人はおまえだ! ・・・・・・じゃなかった。アハッ!」


 女魔王スズは一人ボケを噛ましていた


「皆さんは分かったかな? 私は分かりました。物語がつながった。さすが私だ。なぜなら私は女魔王なのでから! キャッハッハ! キャッハッハ! キャッハッハー!」


 楽しみですね。人間が、AIが結末を未来予想できるのか。


 おまけ、終わる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る