第10話 再会の午後
ある春の日、俊介は図書館で偶然、かつての恋人・美佐子と再会した。
彼女は、かつて図書館で出会い、俊介が彼女のアパートに寝泊まりしていた頃の女性だった。
美佐子は今、シングルマザーとして二人の子どもを育てながら、地域の福祉活動に携わっていた。
「俊介さん、変わったね。昔は、何もかも投げ出してたのに」
俊介は苦笑しながら言った。「あの頃は、自分が何者かもわからなかった。でも今は、少しずつ見えてきた気がする」
二人は近くの喫茶店で昔話をした。美佐子は、俊介の文芸誌の作品を読んでいたという。「あの文章、泣いたよ。あれは、俊介さんにしか書けない言葉だった」
俊介は、胸の奥が熱くなるのを感じた。誰かに認められること、それは彼にとって何よりも大きな救いだった。
別れ際、美佐子は言った。「また、会おうね。今度は、子どもたちにも俊介さんを紹介したい」
俊介は頷いた。人生は、過去を断ち切ることではなく、過去と向き合いながら歩いていくことなのだと、彼は少しずつ理解し始めていた。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます