第10話 再会の午後

ある春の日、俊介は図書館で偶然、かつての恋人・美佐子と再会した。


彼女は、かつて図書館で出会い、俊介が彼女のアパートに寝泊まりしていた頃の女性だった。


美佐子は今、シングルマザーとして二人の子どもを育てながら、地域の福祉活動に携わっていた。


「俊介さん、変わったね。昔は、何もかも投げ出してたのに」


俊介は苦笑しながら言った。「あの頃は、自分が何者かもわからなかった。でも今は、少しずつ見えてきた気がする」


二人は近くの喫茶店で昔話をした。美佐子は、俊介の文芸誌の作品を読んでいたという。「あの文章、泣いたよ。あれは、俊介さんにしか書けない言葉だった」


俊介は、胸の奥が熱くなるのを感じた。誰かに認められること、それは彼にとって何よりも大きな救いだった。


別れ際、美佐子は言った。「また、会おうね。今度は、子どもたちにも俊介さんを紹介したい」


俊介は頷いた。人生は、過去を断ち切ることではなく、過去と向き合いながら歩いていくことなのだと、彼は少しずつ理解し始めていた。


つづく

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