八月上旬

第51話

 カランカラン。

 来客を告げる鈴が店内に響き渡った。

 私は豪勢なフリルをひらめかせながら、ぱたぱたと出入り口に向かう。

 

「いらっしゃいま……お前かよ」

 

 入り口に立つ長躯ちょうくを認めて、私は素っ気なく挨拶を終わらせた。

 

「おいおいおい、客に向かってその口の利き方はないだろ」

「もしかしてお客さまは神様とか思ってるたち? 接客業してるとその発想がいかに愚かか身に沁みて分かるからやってみ」

 

 お客様は神様であるという決まり文句は店側が使うものであって、客が横暴するために振り回していいものじゃない。

 

「そこまでは思っちゃいねーよ。普通に考えろ普通に。ここ座るぞ。マスターちわーっす」

「はいはい、こんにちは。今日もありがとね」

 

 ここの店の常連である長谷川はマスターともえらく仲がいい。私よりも前に通い始めたとしても、高校生にしては顔通りがよ過ぎる気がする。

 

「はい、お冷」

 

 澄み切った純度の高いグラスに水を注いで出してやる。

 

「今日の日替わりパスタなに?」

「今日はね……確か、さそり座が十位だったから『順位低くてしょぼぼん、心はへろへろペペロンチーノ』だね」

「変わんねぇな」

「マスターが作りたいだけだね」

「ボンゴレビアンコで」

「なんで聞いたんだよ」

「試しただけ」

 

 マスターにオーダーを通して私はカウンターで立ちつくす。客は長谷川だけだし、やることもやったので暇である。ここの店は繁忙と閑散の差が天と地だ。ランチタイムやディナータイムだときりきり舞いの忙しさで、汗拭く暇もないが、逆にその間の時間帯だと立ち尽くすことも多い。時給は同じだからその時間に入れると少しラッキーだと思ってしまう。

 

「紫水君、長谷川君とお話してていいよー」

 

 所在なさげに右往左往する私を見かねてか、マスターはフライパンを振りつつ声を飛ばしてきた。

 

「え、でも」

「いいよいいよ。暇だし。お友達なんだし」

 

 ほんと緩いなぁ。

 

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

「なーなー」

「なんだよ」

「うわ、切り替ええっぐ」

 

 はぁ、しゃーないお喋りに付き合ってやるか。

 

「前から思ってたけど、お前案外メイド姿似合ってるよな。丸メガネにキツイ目が雰囲気いいわ。可愛い系じゃなくて」

「それ褒めてんの?」

「そりゃもちろん。ただもうちょっと笑ってたほうが客受けは良いよなぁ」

「お前以外には営業スマイルつけてるわ」

「ウチにもつけてよ」

「嫌だね」

「スマイルいくら?」

「8那由多なゆた

 

 ゴシック調のメイド服も最初は抵抗感しか無かったが、今や制服として割り切ってしまった。そして着続けていると意外と気に入ってくるもので、くるりと回ったときのフリルの開花が面白い。

 誰もいないときに一人でくるくるしてるのは内緒。

 

「茜に写真送ったら」

「もう送ったよ。出勤初日に送れ送れってうるさくて」

「お、惚気かこれ。紫水から惚気か?」

「お冷かけるぞ」

 

 マスターに撮ってもらって、私が送ったメイドの写真、スマホのホーム画面に設定しているらしい。とても恥ずい。

 

「そう、茜の件だけどさ、再来週問題ない?」

「特になにも。ありがたいことに、ここでお金はもうしっかり貯まってるので」

「そっかそっか。約半年ぶり……だよな。いやぁ実に楽しみだね」

「……そうだね」

「紫水君、おねがーい」

「はい!」

 

 厨房に行って出来立てほやほやの食欲そそるボンゴレビアンコを受け取る。あさりの旨味たっぷりだ。

 

「お待たせしました」

 

 湯気とともに立ち昇るガーリックの香りを長谷川は胸いっぱいに吸い込んだ。

 

 これもうちで作ってみたいなぁ。

 

「さんきゅー。ではではいただきます」

 

 パセリににんにく、鷹の爪……材料はそんなに難しくない。

 

「ん〜やっぱりすっぱだかのは美味しいよな」

 

 あさりはスーパーで買えるし……いけるな。

 

「他のボンゴレビアンコとは一味も二味も違うんだよね〜」

 

 えっと、マスターが前言ってた隠し味は確か……。

 

「そういえばこれってさ、マスタード入ってるよね。粒入りの」

「……分かってんねぇ」




 預け手荷物をベルトコンベアから引っ張り上げ、貼られていた識別用シールを剥がし、私達は自動ドアを通る。

 到着ロビーには飛行機から降りたばかりの客を迎える一般人やローカル観光会社のガイドでいっぱいだ。夏休みの空港は賑わっている。

 すっかり慣れたコンタクト越しの視界とはいえこの中からお目当ての人物を探すのは……。

 

「まりー!」

 

 どうやら向こうのほうが見つけるのが早かったみたいだ。

 

「茜! 久しぶり……っと」

「まりーだ! まりーだ! まりーだ!」

 

 突進みたいに抱きつかれた勢いで後ろに数歩下がってしまう。

 この香り、感触……ああ、間違いなく茜だ。

 

「おーおーおー。ったく見せつけてくれちゃって」

 

 そんな私達を見て長谷川はやれやれといった様子で腰に手を当てた。

 そうだった、まだ空港だ。

 待ち侘びた茜の抱擁に我を忘れるとこだったがまだ時ではない。

 

「ほら、茜そろそろ離れ……」

「おー! 希美ちゃんもおひさ〜! 親愛なる我が友よ!」

「久しぶり。茜は変わらず元気そうだね」

「私はいつだって元気ひゃくばいアンパンマンだからね! 私の頭食べるー?」

「ええい、離れ」

「いいよ。ま、茜が元気じゃなかったら困る。元気じゃなくなったら、原因になったやつをウチが殺す」

「わぁーアウトレイジに出そうー」

 

 私を挟んで会話するな。あとそれ私に言ってるんか長谷川?

 

「別に紫水には言ってねーけどな」

 

 こいつ、私の心を⁉︎

 

「てか電車なんだから。まずは駅行こ。な! はい、離れる」

 

 とりあえず到着ロビーでいつまでももたついていたら邪魔なので、手早く移動するべく提案するが。

 

「うぇーん、まりーから剥がされたよ、希美ちゃん! 私悲しい。今」

「ほう……習い始めたボクシングを試すときが来たか」

「やめろ! お前の拳怖ぇんだからな! 生命の危機感じるレベルで! てかちゃっかり強化するな」

「まぁ嘘だけど」

 

 いつか、本当にやり始めててもおかしくないぞ……。

 

 これ以上長谷川のヤンキースキル上がったら周りが苦労するからご遠慮願いたい。

 私達はそのまま外に行き、連絡橋を経て関西空港駅に到着。

 

「電車は……どっちがいいの茜?」

「えー気分じゃない? 行けりゃいいの」

「乗り換えだるいからJRがいいでーす」

 

 長谷川の意見を採用して、青の改札から電車に乗る。

 窓から望むは関西の大地と港。眼下には大阪湾が乱反射しながら煌めいていた。向かい合わせのボックス席に座ることができた私達は、各々の近況について雑談が盛り上がる。

 

「彗星の茜はバスケ順調? そっちでももうエースなんだっけ」

 

 長谷川が茜に話を振った。

 

「もう順調よ順調! 流石強豪校って感じでみーんな強いけど、無事レギュラー入れました。いぇい」

 

 ニッとピースサイン。

 

「そっちでも二つ名やってんの?」

 

 移籍と同時に異名も持っていったのだろうか。

 

「私からは言ってないよ〜。でもなんか最近徐々に広がってるみたい。どっからか知らないけど噂ってすごいね」

「ははは、名だたる選手だから仕方ないでしょ」

「誰が言い始めたんだか。希美ちゃんはどうなのよ?」

「ウチはなんとかキャプテンやってるよ。なんとかね。上に立つって難しいね。茜みたいに上手くいかないや」

「長谷川は持ち前のガッツでいけるんじゃないの」

「指揮官はそんなに甘くないでーす」

 

 少なくとも私はそれで助かったけどな。

 

「まぁでも慣れはあるよね。キャプテンやってると、あの子はあれが得意だからこうしてもらおうっていう考えが試合中でも自然とできるようになるから」

「やっぱり場数だよね」

「でもなっつかしいなぁ、そっちのチーム。今のユニフォームさ金色っぽいの着てるんだけど、赤いやつのほうが好きだし」

 

 それは重要なのか? いや重要なんだろうな分かんないけど。

 

 私達を収めた電車は海を越えて陸地に入った。

 

「まりーは……心配ないか。今でも成績トップでしょ。絶対そう」

「そうね。最後に点数負けたのは変わらず茜だよ」

「うぇーい私さいきょー」

「え、紫水負けたの⁉︎ いつ⁉︎」

「それは昔。もういーの」

 

 あの事件、二度と忘れん。

 

「そうそう私、希望進路決まったよ」

「どこどこ」

「お茶の水女子大学」

「有名じゃーん。まりーなら余裕でしょ。なにやるの?」

「……食物栄養学科。管理栄養士目指す……」

「管理栄養士かー。……管理栄養士⁉︎」

 

 一拍おいて茜が仰天した。

 

「それって……!」

「うん。茜の……専属になりたい」

「っ——!」

 

 茜に鼻息荒く見つめられて、私は頬を掻いた。

 

 なんか、照れるな。

 

「うおー! まりー、君はなんていい女なんだ! 大好き! 絶対なれる! なろ!」

「抱きつくな! まだ電車!」

「そんなん言っても紫水。今のプロポーズだろ」

「違う!」

 

 話しているうちに電車は環状線に合流。目的地の大阪駅まではもうすぐだ。

 

「てかずっと言いたかったんだけどさ……まりーめちゃくちゃ可愛くなってない⁉︎ 革命じゃん」

「ふふん」

 

 ようやく触れてきたか。

 

 鼻ぐいーん。

 とっても嬉しい。めっちゃ嬉しい。

 

「夏らしく且つ清楚系で決めてみました」

 

 今日の服、白色と水色で織りなす薄手ワンピはノースリーブで涼しい着心地。膝丈でふんわり広がるフレアラインが夏の光を浴びて咲き誇った大輪のよう。てっぺんをキャペリンハット、足元をヒールサンダルで彩った私はトロピカルフラワーに寄り添う可憐な乙女だ。

 

「随分と垢抜けたね〜」

「まぁね。私にかかればこんなもんよ」

 

 胸張ってこうは言ってるが、実はおしゃれにはかなり苦労した。独学では限界もあったため、三年生になって新しくできた友人達とアパレル巡りやコスメ巡りしてこの境地に至っているのだ。しかし今日までの全ての努力は、茜から今もらった褒め言葉で報われた気がする。

 

 だって茜に可愛いって言われたいから頑張ったんだもん。

 

 内心うきうきな私はパーマで丸まった髪をくるくるいじった。

 

「それメイクとかヘアも自分でやったの?」

「そうだよ。この前出た新作コスメでお気に入り見つけてさ。最近はそのときのアイシャドウとリップずっと愛用してる」

「え、どこのやつ」

「リンメル。リップはエチュードハウス。あの韓国コスメの」

「エチュードのやついいよね! 発色も色持ちもしっかりしてるしさ。てかさマジョマジョのマスカラ知ってる?」

「聞いたことある。あの伸び感すごいって噂の。結構気になってるんだよね」

「あれ目元えっぐい大きく見えるからおすすめ。今のまりーにつけたらもっと可愛くなると思ったから後で貸すよ」

「やった」

「あのー。その話題ウチあんま分かんないんですけどー」

 

 私と長谷川がメイクトークで盛り上がる中、蚊帳の外で放置されていた長谷川がふくれっ面で手を上げた。

 

「おやおや。では希美ちゃんをもっと素敵にして見せましょうかまりー殿」

「そうですな茜殿。まるで昔の私を見ているようですからな」

「いいって。私メイクとか全然」

「はい明日は三人でお買い物ね! 決定!」

 

 明日の予定が急遽ラフに決まってしまった。普段は出かけるときは綿密な計画がないと落ち着かないが、こういうのも悪くない。

 大阪駅に到着した私達は電車を降りる。初めて踏んだ大阪の地に期待が膨らんでいく。

 

 美味しいもの食べたい! カニか! お好み焼きか! というか演劇場ってあるの⁉︎ やっぱり漫才?

 

「てか、今日は二人にして欲しいって言ってたけど、なにするの?」

 

 長谷川は携帯をいじりながら私達に尋ねた。今日のところは長谷川とはこの辺で別行動だ。三人での観光は明日から。

 

「えーっと……そうだね……」

 

 うーんなんというか。言いにくい……。

 

「あー私達これからラブホ行くの」

「あ、あ、あ、茜⁉︎」

 

 言っちゃうの⁉︎

 

「はは〜ん。確かに私はお邪魔だね」

「ごめんね〜。まりーがさ——」

「わーわーわーわー! ほら長谷川! 大阪すっげー! 人多い! やっぱなにわやで! てか自分ら関東住みなんやから、東京のほうが多いやろ〜言うて! ガハハ!」

「「…………」」

 

 あ、無理。

 

 うつむいた私に長谷川はわざわざ屈んで顔を合わせてきた。ニヤニヤという擬音が文字で見えるくらいニヤニヤ顔が凄まじい。

 

「ふーん、紫水もやっぱり思春期なんだねぇ」

「やめてください……そんな目で見ないで」

「いやいや、なに言うてはりますの〜。イマをときめくオンナなんやから、なにも恥ずかしがることないやろ〜。寧ろちゃんと欲あって安心したわぁ」

「やめろおお!」

 

 口をあんぐり開け、魂を抜かれてしまった私を横に、長谷川はスマホをひらひらとして見せた。

 

「まぁいいさ。ウチはレンタルバイク予約してるんで、ちょっくら走ってくるよ」

「希美ちゃんごめんね。明日いっぱい遊ぼね」

「オッケー。ウチのことは気にしないで。関西のツーリング憧れだったし。二人はついてこれないから、一人のときに楽しまないとでちょうどいいさ」

「そっか……気をつけて行くんだよ。明日ちゃんと生きて会おうね」

「そんな大袈裟な。まぁ行ってきます」

 

 そう言うと長谷川は別方向に荷物を引いていった。

 

「あ、紫水。しっかり楽しめよ〜」

「ぐっ」

「にはは〜。じゃあ私達も行こっか」

「なんか胸が……痛い……」

 

 賑わいを見せる大阪の繁華街を楽しみつつお目当てのホテルに到着すると二人でフロントに向かう。事前に色々しておいたおかげで今回も何事もなくチェックインに成功し、あてがわれた部屋を目指す。やはり大事なのは堂々としていることなんだと再認識できた。

 

「とうちゃ〜く」

 

 扉を開くと洗練されたゴシック調の部屋が出迎えてくれた。さながら演劇で見たようなお姫様気分。

 

「おぉ、いいね! 写真で見るよりずっと素敵だ」

「きゃっほーう!」

 

 茜はリードを外された犬のようにベッドに飛び込んだ。ふこふこの羽毛布団に包まれて幸せそうである。

 

「二人で探した甲斐あったね! すっごーい!」

「……そうだね」

 

 荷物を隅に寄せた私は帽子をとって、はしゃぐ茜を見つめる。

 

「……」

 

 もういいでしょ。

 

「ほら見てよ、まりー! これ……まりー?」

 

 ぼふっ。

 私は茜の身体に覆い被さる。

 

「やっと……会えた」

 

 茜を肌で感じることができなかった半年間。それを思い出すと感極まって、ずっと抑えていた感情が溢れ始める。

 

「寂しかった……。いなくなってから、茜の存在が私の中でどれくらい大きいものかって分かって……。声聞くだけじゃ、顔見るだけじゃ足りなくて、こうやって触れ合いたかった」

 

 身を落として、茜に重なった。

 

「私も会いたかったよ、まりー。私もなんでもないふりしてたけど、こっちで過ごす夜はまりーと同じ気持ち。自分の半分が無くなったみたいだった」

 

 私を抱きしめて、撫でてくれた。

 いつかと同じように。

 

「寂しい思いさせてごめんね」

「ううん、謝っちゃや。茜の夢は、私だって応援してるから……」

「そっか。じゃあいっぱいぎゅーして、愛してあげる」

「ん。ぎゅーして」

 

 茜に包まれるこの感じ。

 懐かしい。

 ここが私の目指す場所で帰る場所。

 

「三人でいるとさ、親友って感じでわいわいできるけど。二人だと恋人としていられて……幸せ」

「確かに。まりーのこんなに愛らしい姿、他の誰にも見られたくないもん。見せちゃダメだよ」

「見せない。てか茜以外だと恥ずかしいから絶対無理」

「私にも恥じらってくれたら、興奮しちゃうな」

「……うぅ」

 

 その返しは……困る。

 

「じゃあそこに立って、たくし上げてみてよ」

「えー? それは恥ずかしいとかじゃなくて、羞恥プレイで……別じゃん」

「一緒だよ」

「趣きっていうものが……」

 

 はぁ、全く。茜は茜だ。

 

 変わらなくて安心すら覚える。

 

「じゃあ早速一緒にお風呂入ろ」

 

 茜は私を起こすと荷物を漁り始めた。まだまだお昼だけど、愛し合いたいと望んだのは私だ。

 

「てかようやく言えるけど、今日のまりーエロ過ぎね。そのうっすい服で肩出し脚出しとか小悪魔か。ちょっとは自分の可愛さを自覚しなさい」

「自覚? やだなぁ、してるよ? だからこの服選んで誘ってるんだもん」

 

 私は手をついて前屈みになり、ジュエルネックを広げて見せた。

 

「……ぐぬ!」

 

 茜の視線は私の胸元に釘付けだ。

 茜相手にここまで優位に立つのは初めてかもしれない。

 

 自覚はしてるさ。

 

 なんてたって紫水茉莉花は頭脳明晰で、しっかり者で、料理ができて、魅惑的。

 そして私自身可愛いのに、この上ない彼女に愛されてるスーパーガールだ。

 

「ほら茜。来て……キス、しよ?」

「……あんなにキス嫌がってたのはどこの誰だっけね?」

 

 ベッドの前まで来てくれた愛しい人の腰をやんわり抱く。

 そのまま顔を見上げた。

 

「だって、キスって体にいいんだよ。ストレス軽減に作用するオキシトシンとか、幸せホルモンて言われてるセロトニンが分泌するの。免疫効果も上がるし……女性だったら美容にいいエストロゲンも出る。海外の研究では仕事の能率とか平均寿命にも影響あるって」

「ふぅん……じゃあまりーを、好き放題してもいいってこと?」

 

 短絡的で本能的。

 そして実に正しい。

 思わず口元が緩んでしまった。

 

「……そうだよ」

 

 茜のキスが私の唇にそっと舞い降りた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る