第7話-異世界編[1]俺が最初に対峙したのは、水色の生物で!?マジ勝てんの?これ?
辺り一帯に広がる青空、そして広大な緑が広がる大地。
そんな異世界と呼べる荒野に、次元の狭間が生じた。
荒野の中心に、魔法陣が広がっていく。そして、そこから人影が見え始めた。
「うわーーーっ!マジかよ!クソ痛てーーわ!」
「ウィンの奴、もう少し綺麗にワープさせろよなー!こっちの身にもなってくれよ!」
「ちっ!スマホもねーから、姉ちゃんとかにも連絡出来ねーしなー。親父は嫌だし」
「つーか、あれか!もはや死後の世界の次に飛ぶ異世界っていう時点で生きている人には連絡取れねーか?馬鹿だなー、俺」
自分自身を恥じていく、多田潤だった。
「あ!そういえば、俺が異世界に着いてから、脳内会話で連絡するって言ってたな!ウィンの奴!まだ来ないなー」
「まあ、いいか!つーか腹へったなー異世界でも腹減るのかよー!面倒な設定だなー」
「ん?あれは何だ?街かな?」
目を凝らして見てみると、多田潤の遥か前方に集落のような田舎街が見える。
「まずは、あそこに行ってみっかなー!」
そして、多田潤は、足をその街へ動かし始めた。
すると!彼の目の前に、魔法陣が広がっていく!そしてそこから、ぷよぷよした水色の生き物が現れた!
「何だ?こいつ?まさか、ドラクエの序盤で出てくる、スライム的な奴か?マジかよ?俺まだ何も装備してねーぞ?丸腰だよ?」
ふと、下を見ると、潤の足元に木の棒が落ちているのに気がついた。
「 仕方ない。これで戦うしかねーか!防具何もねーけど」
木の棒を拾い上げると、潤は、戦闘モードに移った。
今の多田潤のステータスは以下の通り
Level1
HP7
ATK4
DEF3
次いで、敵(スライム)のステータスは以下の通り
Level1
HP 5
ATK3
DEF3
ついに、戦いの火蓋が切って落とされた!
「ぷよぷよ!弱そうな勇者でちゅねーこんな雑魚ゆうちゃ、僕ちゃんの相手じゃないでちゅ!」
「魔王ちゃまも酷な事をしまちゅ!こんな雑魚勇者に、僕ちゃんを使うなんて!」
まさか、スライムが言語を喋ると思っていなかったのだろう、多田潤は、驚いた。
「え!?何!お前喋るの?マジかよ!そんな設定ドラクエとかには無くね?」
すると、スライムが話し始める。
「当たり前でちゅ!ゲームと一緒にしないでほちいでちゅ!隙ありでちゅ!」
すると、スライムは、体をくねらせながら体当たりして来た!
「うわっ!?あぶねっ!何とかなったか。ふぅ」
間一髪の所で、潤はスライムの攻撃をかわした。
「意外にやるでちゅねー!雑魚勇者の分際で!ちょっとだけ見直したでちゅ!」
「別にお前らモンスターに褒められても嬉しくねーよ?わりーけど。あ!あれ見てみ?」
潤が、前方をスライムに対して指さした。
「ん?何でちゅー?お馬鹿ゆうちゃ!何も無いでちゅ..よ、ぐえっ…」
スライムが、向き直る前より先に、潤が手にしていた木の棒が、スライムにクリーンヒット!
「どうだ!会心の一撃は出なかったが、ダメージは多少与えた筈だ!」
ダメージを食らった、スライムは、ぷよぷよ形を整える。
「い、痛いでちゅ!2ダメージ程くらいまちた!後、HP3しかないでちゅ!」
「自分で体力言っちゃうんかい!」
多田潤の鋭い突っ込みが炸裂!
「ぷよぷよ?うるちゃい勇者でちゅ。毎回突っ込んでたら、身が持たないでちゅ。なーんて、隙ありでちゅ!」
またも、会話の合間に、攻撃を挟むという卑怯な手段を選んだスライムだった。
「馬鹿な奴!そんな手が2度も通じる訳無いだろうが!」
多田潤は、先程と同じように、スライムの動きを見定め、かわそうとした。
だが!
「ぷよぷよ!馬鹿の1つ覚えとはよく言ったものでちゅ!僕ちゃんは、スライムの中でもエリート何でちゅ!他のスライムとは訳が違うんでちゅよ!特技(分裂)!」
攻撃すると見せかけて、潤の手前で2つに分裂したスライムであった。
「きたねーぞ!分裂なんて!これじゃ2体1じゃん!序盤じゃきつくね?」
「ぷよぷよ!そんなの知らないでちゅよー!ゲームとは訳が違うんでちゅ。あ!言い忘れてたけど、分裂にもデメリットがありまちて、体力を分割されちゃうんでちゅ!」
スライムのステータスは、こうだ。
スライムA HP1.5
スライムB HP1.5
「なーんで、敵にそれを言うのかなぁ?」
潤は、低いトーンでスライムにいう。
「あ!確かにそうでちゅね!お前!雑魚勇者の割に結構良い事言うでちゅねー!」
スライムが、話している隙に、多田潤が持っていた、木の棒が、またもスライムBに炸裂!
「ぐえっ....」
スライムBを多田潤は、やっつけた!
「どうだ!俺を甘く見るから、こうなるんだよ!この雑魚スライム!」
ふと、潤が辺りを見回すと、スライムAが見当たらない。
「あれ?どこに行った?あいつ?え?痛っ!」
多田潤は、3ダメージを食らった!
多田潤 残りHP4
「ふっふっふ!僕ちゃんを甘く見るからでちゅ!このスピードについてこれるわけないでちゅ!やっぱり僕は、エリートでちゅ」
そういうと、スライムAは、高速スピードで、潤の周りを動き回る。
「くそっ!本当に序盤の雑魚スライムか?どんだけ特技もってんだよ!?」
多田潤は、目を凝らしスライムの動きを見定める。
「お馬鹿ちゃーん!そんな事しても無駄でちゅよー!言い忘れてまちたけど、僕ちゃんは、魔王ちゃまの第一の手先でちゅ!そこらのスライムとは訳が違うんでちゅよー?」
さらに、スライムAは、スピードを上げていく。
「くそっ!マジでどうする!?ウィンに助け求めようにも、あいつから会話してくんねーと、最初は無理だし...」
潤が考えを巡らせているうちに。
「何考えているでちゅ!お馬鹿ちゃん!隙ありでちゅ!」
「ぐっ..」
スライムの高速体当たりが、多田潤の腹にクリーンヒット!
「めっちゃいてー!クソ!」
多田潤に3ダメージ!
残りHP1!
「ふっふっふっ!もう後がないでちゅよ!勇者!大人しく負けるでちゅ!」
スライムは、勝ち誇ったような言葉を潤に告げる。
「あー?何が負けるだ?お前みたいな序盤雑魚スライムに負けるかよ!」
「だーかーらー!僕ちゃんは、エリートスライムって言ってるでちゅ!あ!あれを見るでちゅ!」
スライムに手はないが、見ている方向くらいは潤にも分かるのか、言われた方向を見ようとして、やめた。
「馬鹿か!お前は!俺が最初に行った作戦じゃん!引っかかるかよ!アホスライム!」
「よっ!おらっ!」
潤は、スライムに向かって木の棒を叩きつけた!
すると、スライムはそれをスルリとかわした。
「お馬鹿ちゃんでちゅねー勇者!そんなの僕ちゃんにも分かるでちゅ。試しただけでちゅ。自分の作戦に引っかかるかどうかをでちゅ」
潤は、こいつは本当に知能が高いスライムかもしれないと心の中で思った。
「さあ!もう諦めるでちゅ!そうだ!僕ちゃんの子分になるでちゅ!そしたら殺さないであげるでちゅ!」
「 誰が、お前みたいなモンスターの手先になるかよ!舐めんな!」
そう言うと潤は、目を瞑って精神を集中し始めた。
「ん?何でちゅ?ああ!そうか!諦めたんでちゅね!じゃあ、死んでもらいまちゅ!」
そう言うと、スライムはまた高速スピードで潤の周りをまわりはじめた。
「どうちたんでちゅか!勇者?目を瞑ってて見えるんでちゅかー?つくづくお馬鹿ちゃんでちゅねー」
「 これでトドメでちゅ!」
スライムは、思いっ切り猛スピードで多田潤の後頭部めがけて体当たりをした。
「ぐえっ. . 」
瞬間、スライムの体全体を木の棒が突き破っていた。
スライム ステータス
HP0!
残念だったな!舐めて貰っちゃ困るぜ!」
「ぐふっ!まさかこんな雑魚勇者にエリートスライムである僕ちゃんがやられるなんて...そうでちゅ...死ぬ前に魔王ちゃまに報告でちゅ...魔王ちゃま万歳でちゅ...」
「 ぐふっ..」
そういうと、スライムは倒れた。
その伝言は、魔王城へ届く。
「な、何を!あのエリートスライムがやられるだと!ハイマジシャンよ!どうなっている?」
魔法陣を組み立てていた、ハイマジシャンが応じる。
「はい。私の見立てでは多田潤という勇者はあの場面でスライムに殺される筈だったんですが、意外にもあの勇者は、隠された能力を解放できるようです」
「それはあれか?ウィンの能力のおかげか?」
「いえ。おそらく違うかと。多田潤独自の潜在能力といったほうが近いかと」
「そうか。くっくっく!面白いではないか!多田潤!もっと私を楽しませてくれ!」
「この先、どうなっていくか楽しみだ!ハイマジシャンよ!次の準備は整っているんだろうな?]
「はい。次のモンスターは、潤一人では到底倒せない筈です。物理攻撃が通らない筈ですので。恐らくここであの勇者を葬り去る事が出来ると思います」
だが、まだ1つ懸念が残る。ウィンの奴が、この異世界に他の仲間を送り込んでいる可能性がある。そやつらと、手を組まれると厄介だ。一応用心しておけ」
「はっ!では、このゴーストを迷いの森の入り口近くに配置いたします。あの多田潤も、森を通る筈ですので」
「うむ!それでいい!だが、やはり仲間の件が気になる所だな..まあ、いいあの迷いの森にはサキュバスやオークなどもいる。精々頑張る事だな!多田潤!会える事を楽しみにしているぞ!」
そういうと、魔王は奥深くの玉座の間へと姿を消していった。
ハイマジシャンは、魔王が立ちさった後、魔力を集中し魔法陣を展開した。風で彼女のスカートが揺れる。そして。
「はあっ!」
大きな声で魔法を放った。
「よし。これでいい。迷いの森の手前にゴーストを配置できた。しかし、1つ疑問が残る。それは、私より高等な生物は作れない点だ。その場合は、私自身が出るしかないだろう」
そう言うと、ハイマジシャンは、息を整え地面に座りこんだ。
何か独り言を言っている。
「あーでもなー、実際めんどいなー。何で私が魔王の為にここまでやんなきゃいけないわけ?意味分かんないんだけど、魔王を倒す筈の計画が台無しじゃん」
「つーか、どっかであのクソ魔王の隙を狙って殺す事できないかな?まあ、私は諦めないけど、この計画を誰にも邪魔はさせない」
「 それか、勇者側につくとかもありだなー」
そして、ハイマジシャンは立ち上がると、自室へと立ち去っていった。
それを陰で聞いていたモンスターが居た。
デーモンである。
「ケッケッケ、ハイマジシャンの奴、誰も聞いていないと思ってあんな事を話すとは馬鹿な奴。全部筒抜けだわ。俺最後まで聞いちゃったもんねー。魔王様に言いつけるかな!ケッケッケ」
そう言うと、デーモンは、羽を広げてその場から消えていった。
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