第2話

あたしは左手を伸ばした。はっとして自分の体を見ると、今まで冷たい壁の感触があったのに、今はとろりとした不思議な空気の圧力の中に・・・光の渦に、半分溶け込んでいる!!

 もう一度美奈を見ると、彼女は必死に手を伸ばしながら、それでも目はあたしを見て、こう言っていた。

 (亜紀、一緒に行くって約束したよね?)


 突然、恐怖があたしの中に沸き起こった。

 奇妙な壁の内側からの力に、ぼおっとしてると取り込まれそうになる。

 あたしは、遮二無二からだを壁から、いや、その「空間」から引き抜こうとした。

 光が溢れ出してからほんの数秒のことなのに、壁の内側の引っ張るちからは、ものすごいものになっていた。

 いや、その時のあたしは少なくともそう感じた。

 「亜紀・・・引っ張られる!亜紀!!」

 美奈の悲鳴に似た声を聞きながら、あたしは渾身の力を振り絞ってばーん!と

自分の体を壁から引き抜いた!反動で2メートルくらいあたしはふっとんで地面に転がった。


 「亜・・・・!!!」

 打ち付けた痛みに耐えて体を起し、再び壁を見たとき・・・

美奈は、美奈はもう、顔と右腕以外、すっかり光の渦に飲み込まれてた。

 「亜紀!!」

 「美奈!!」

 一瞬・・・懇願するような瞳をあたしに投げて、そして美奈は完璧に飲み込まれてしまった。

 駆け寄って手をつかもうとした、

 でも、彼女の体が内部に飲み込まれた途端、光の渦は瞬く間に・ウソみたいに消えてなくなって・・・

 手をついたらそこには、ただ冷たい白い壁があるだけだった。・・・


 ・・・なんだったの?今のは。夢?・・・

 ・・・美奈は・・・美奈はどこに行ったの??

 たった今目で見たことが信じられなかった。。

 あたしはその場にへたりこんだ。


~つづく~

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