イベント② スーパー内でのかくれんぼ
取り敢えず、隅に移動した方が良さそうなので
魚コーナーに向かう事にした。
………んだけど、途中で道が塞がれてしまった。
お菓子コーナーから出て来た詩杏によって。
なんてタイミングだ。運が悪いなんてもんじゃないぞ?!………神がヒロインを俺に差し向けてるとしか思えないんだけど?
「どうすんだ?」
俺は、考えた………………考えた結果。
身を縮こまらせてゆっくり出口に向かう事にした。
「げっ。」
思わず声が出てしまったが無理もないと思う。
詩杏とは別の方向から晴明が歩いてきたのだ、
さっきまで一緒にお菓子漁ってたよね?
あれ?俺が可笑しいの?何でそっちに晴明いんの?
あっちからもこっちからもどうなってんだ!
これは流石に怒って良いのではないかと俺は思う。
まず、スーパーにヒロインがこれだけ揃う事態が
珍しすぎる、そんな奇跡今起こすなよ!
ヒロインがモブに近付いて来る件について。
なんちゃって……てへ。
ふざけてる場合じゃなさすぎる?!
まじで囲まれてんの。これじゃ出口にも辿り着けないんだけど?俺……別に隠れるのが上手とか
隠れた才能が?とかそんなんないし、絶対絶命の時こそメインキャラの覚醒が?とかねえんだよ!
バトルメインでもねえしそもそも俺モブだったわ。
は?じゃあ……俺………見つかるよな。
「え?」
「え?」
やべ…………白石と目が合ったわ。
白石が角から現れたまたま近くに居た俺と目が
合ってしまい白石が目を見開いて驚いていたが
直ぐに俺に声をかける。
「貴方」
俺に声をかけようとしたので口の前に人差し指を
近付けてしーっと静かにして欲しいと言う事を
知らせたが白石は俺の意図を直ぐに理解して
くれたようだ。
白石が周りを確認してからそっと俺に近付いてきて
小さい声で話しかけてきた。
「貴方、何してるのよ。」
「これがリアルASMRなんだな。
癖になりそうだわ」
女の子に耳元で囁かれるのっていいね!
これで俺の性癖が歪んだら白石のせいだから!
「貴方、何言ってるの?
それよりも、どうしてこそこそしてるのよ」
そんなの貴方達に関わりたくないからに
決まってますよねぇ?!
「白石、俺は今すぐ誰にもバレないように
このスーパーを出たいんだ!
協力してくれないか?」
「それなりの対価を要求するわ。」
た、対価?やばい………既に嫌な予感しかしない。
だけど……このままでは、間違いなく見つかる。
見つかってしまったら最後、俺はどんな目に遭うか分からん。ヒロインに抱き着かれる(主に詩杏が)
様な事がまたあったら俺は立ち直れんぞ!
ぐぬ。仕方………ない…か。
「分かったよ、白石は俺に何をしてほしいんだ?」
ヒロイン達にバレるよりはマシだろう。
一体どんな要求をするんだろうな、と呑気に考えていた俺だったが白石の次の発言に俺は固まった。
「貴方と二人でお出かけする権利を貰えるかしら?」
二人で遊びに行く……………だとぉ?!
え?何を血迷ってんだ!
「……………………嫌、それは」
「貴方は、断れる立場にあるかしらね。
いつでも彼女達をここに呼べるのよ?」
こいつ…………脅してきやがった!
「俺を脅してるのか?」
俺が遠慮がちに聞けば笑顔でこう言った。
「脅しなんて人聞きが悪いんじゃないかしら?
私はただ………事実を言ってるだけよ?
私が運悪くくしゃみでもすればあの子達はこちらに
来るでしょうねぇ?
勘違いしないでほしいのだけれど、これは脅しでは
ないわよ?くしゃみは生理現象だものね、仕方ないわよね?……………それで、返事を聞きたいのだけど?」
ただの脅しじゃねえか!
くしゃみは仕方ないだぁ?
くしゃみは事前に相手に伝えられる様なもん
じゃないだろ?!
だけどな〜、出かける位なら問題ないか?
一番最悪なのは、ヒロイン達に見つかる事だ。
仕方ないか。
「分かった。お前と一緒に出かけるよ。
だから、必ずバレずにスーパーから脱出するの
協力しろよ!」
「えぇ、分かってるわよ。
約束を破ったらどうなるか分かるわよね?」
「ひぇ………」
脳裏に過ったのは晴明がとんでもない事を言った
女子会での事件。
俺は悟ったんだ、こいつらは怒らせてはならないと。いつか、刃物を向けて来るんじゃないかって
凄く心配………嫌、正直に言おう。
めっちゃ怖い、怖すぎる。
正直近付きたくないが関わったら最後
逃がしてはくれないだろう。
「脱出経路を確保するわよ。」
白石が仲間に加わったのはかなりデカいかもしれない。逃げれる可能性が出てきたからな。
スーパーから逃れても白石と一緒にお出かけは確定してしまった。何でこんな事に。
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