イベント③ スーパー脱出! side白石
「私が時間を稼ぐから、その間に出口に行きなさい、いい?」
「任せろ!」
心配ね……いつも運が悪いもの。
彼………魁斗君は、女の子にモテモテね。
いえ、この場合神様に愛されていると言った方が
いいかしらね。
流石にこのスーパーに魁斗君が居るとは、思って
いなかった。
最早、神様の悪戯よね。
ライバルは、多いけれど必ず魁斗君と
付き合ってみせるわ!
「じゃあ行くわよ?」
「うん!」
元気な返事ね。
状況がとても変だけれど。
「皆、向こうに美味しそうなお菓子があったわよ」
「本当!どこ?どこ?」
はぁ………食い付いたのは、詩杏だけね。
当たり前よね、彼女以外お菓子を大好きって
イメージはないし、このスーパーでお菓子を
漁ってたのは詩杏だけ。
けれど、これは予想通りの展開。
「晴明、向こうに面白そうな本があったわよ」
「本当かい?行ってみようかな。」
晴明が本に興味を示す事は、分かっていた。
「向こうに欲しい物があったから付き合って
くれる?」
「良いですよ」
それ以外の人達はこれで私の用事に付き合う事に
なった、ここまで全て計算通り。
彼女達は、とても扱いやすいわね。
「紅玉、どうしたんですか?
いつもは、一人で用事を済ませますよね?」
「え、えぇ。どれを選ぶか迷ってるから
皆にも意見を聞きたかったのよ。」
私を怪しんでる?変な所なんて無かった筈
だけど………この中で一番扱い辛いのは桜ね。
この中で一番私を理解している分些細な事でも
普段と違えば直ぐに分かってしまう。
「ねぇ、聞いていますか?」
「え?ごめんなさいね、何かしら?」
「魁斗君を逃がそうとしてるんですか?」
え?どうして分かったの?
怪しい部分はあったかも知れないけどそれが魁斗君
に関連する事は分からない筈よ。
魁斗君の話は一切していない。
「どうしてそう思うのかしら?」
私は、桜に情報を殆ど与えていない。
バレる訳がない、これは桜の感。
「いえ、あれ」
私の後を指差して苦笑いを浮かべ続けて言った。
「紅玉は、分かって居ませんね。
彼と協力をするのは良いですが彼の方に
もっと目を向けるべきでした。」
「えっと………何の事?」
私には桜が何を言ってるのか分からなかった
けれど、言われた通り後を見た。
「え?魁斗……君?」
後では、子供達とジャンケンをして遊んでいる
魁斗君が居たのである。
私は思わず急いで近付き魁斗君の腕を引っ張った。
「何をやってるのよ!
何故、呑気に子供と遊んでるのよ?
今の今までずっと子供と遊んでたのかしら?
逃げる時間あったわよね?」
流石にこれは予想外過ぎる。
「その…さ、迷子の子供見つけて世話してたら
他の子供も寄ってきて。」
困った様に笑ってごめんと謝ってきた。
彼が優しいのは理解していたけど、このスーパーに
迷子になる子が居るとは。
「ね?魁斗君に頼るのはやめておいた方がいいですよ?彼の身には何が起こるか分かりませんから。
彼が人を助ける事をやめるとは思えませんし、
それが彼の良い所でもありますが、協力するなら
その事を考えて予め迷子を見つけて保護をする所
まで考えなければいけませんよ?」
「うぐっ…。」
確かに魁斗君が困ってる人を見捨てる訳がない。
と言うか私も桜もそんな魁斗君に救われた。
「えっと、その。」
私がどうすればこの場を切り抜けられるのか
考えていると。
「私に提案があります」
そんなことを言われた、逃げ場が残されていない。
他の子達まで呼ばれれば本当に終わり。
「分かったわ。その提案って言うのは、何かしら?」
「どうせ、紅玉も無償で手伝っていた訳ではないんですよね?」
そこまでバレているのね、最初に桜をどうにか
するべきだったわね。
「えぇ、デートをしてくれたら協力するって言ったわよ。」
「紅玉の次で構いません、私もデートする権利を
貰えますか?それで今回の事は見なかった事に
しましょう。」
「なるほど……ね。
分かったわ、これで断って他の子達にもバレたら
デートする権利すら消えてしまう。
それだけは避けたい」
「話が早くて助かります、私は椿穂乃香達の元に
帰ります。」
「えぇ。ありがとね、桜。」
私が最初にデート出来るならそれでいいわ。
魁斗君が他の子達ともデートをするのは時間の
問題でしょう、それなら一番最初にデートした
私の方が印象に残りやすい筈だ。
「絶対に魁斗君の記憶に刻む。
私との初デートをね。」
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