イベント③ 女子会でモブがすべきじゃない唯一の事

取り敢えず詩杏と小峠と白石と神楽を離す事に

成功した俺は白石が持っていたゲームを一人でやっていた。俺はモブ。モブは一人でゲームをして

ヒロイン達が純愛を満喫している様を見ていたい!

絶対にその中に混じってはいけない!

純愛を愛する者として純愛の間に割り込む事は

許されないのである。


「ねぇ!ゲームばかりやってないであたちとも

遊んでよ!」

俺の膝の上に乗り顔を近付けて目を潤ませて来る。

駄目だ、どうしても邪魔してくる。


「白石達と遊んでろよ」

俺は純愛を見てたいんだよぉ!

そんな想いで言ったのだが詩杏は指を指して

言った。

「でも、後。」

後?そう言われ後を見て驚愕、そして恐怖した。

白石と小峠が後から覗き込んでいたのである。

誰も純愛なんてしていなかったのだ。


「お前等、何してんだよ………何か別の事

したら?」

だが、皆首を横に振って

「魁斗君の顔を見る事に意味がある。」

こんな事言われて恐怖しない奴がいるなら見て見たい。普通に怖いだろ?

だってさ、真顔で俺の顔を見る事に意味がある

なんて流石にドン引きですよ?

やはりヤンデレは関わっちゃ駄目ですね。


「よし、取り敢えず神楽、この人達どうにかして

くんね?」

ずっと本棚に寄りかかって本を読んでいた晴明は

俺に声をかけられ本から視線を俺に移して

きょとんとしていた。

「なんだい?幸せそうで何よりだよ。」

こいつさては、目が腐ってるな?

何処をどう見ても幸せな光景ではないだろ!


「お前………頼むからこの呪物みたいなの離してくれ。」


「呪物なら僕も触れたくないね。

そ、れ、に!……その呪物達を抑えてるのは君だろ?君から遠ざけると呪物が世に解き放たれる事に

なるだろ?それじゃ他の人達が可哀想じゃないか」

確かに!けど………俺でも抑えられないって!

なんかさ〜。いつか………後から刺されるような

そんな気がすんだよな。

ヤンデレに関わった奴の末路なんて大概そんな物。

まず必ず碌な目に遭う事が既に確定している。


「さっきから貴方達……物凄く失礼よ?」

ひぇ………

「白石……頼むからそんな目で見ないで?

人を殺してる目してるよ?

間違いなく何人か殺ってるよね?」

俺達の会話を聞いていた白石が笑顔を浮かべて

俺達を見つめてきた。嫌、目は全然笑ってなかった。あれは、人殺しの目だった。

俺と神楽は二人揃って小さな悲鳴をあげ、肩を震わせた。


「はぁ……言っておくけれど………私は呪物と言う物ではないわよ!後!私は純粋な気持ちで魁斗君を

見ていたのよ!」

純粋?


「純粋だって?ハッハッハ

紅玉君も冗談を言うんだねぇ?

君の気持ちが純粋な気持ちな訳ないだろぉ〜。

そもそも、魁斗君の周りには化け物しか居ないんだからさぁ。魁斗君だって思ってるよ?

お前等何で俺に構うんだってさ?

つい、最近まで今川恵梨香君に従っていた子達が

急に自分に擦り寄って来るんだよ?

普通の感性を持っていたら気持ちが悪い事この上ないよぉ。」

まじか………全部言った。

お前馬鹿か?よくそんな事本人達の居る前で言えるな?

おい待て…………俺を巻き込むな?!

「違うからね?!俺は思ってねえぞ!

おい、神楽!何俺の名前出してんだよ!

呪物を怒らせんな!刺されるぞ!」

ひぇ………一斉に俺に視線を移して暗い表情で

笑っている。それはもうとびっきりの笑顔で。

恐怖映像かな?いつか人を殺さないか俺は心配

だよ。

その後……視線を俺から神楽に移してこう言った。


「私達に喧嘩を売っているのかしら?」


「え?事実じゃ。」


「分かったわ」


「私の魁斗君を想う気持ちを馬鹿にした事

後悔する事になりますよ?」


「え……」

その後神楽晴明がどうなったのか。

とても俺の口からは言えない。

だが………俺は静かに白石の家を去った。

もう……白石に逆らえないかも。

怖すぎる。俺はその日誓った。

あの子達を怒らせるのはやめよう、と。









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