41話 転生者VS転生者

その男は、体育館の道中突如目の前に現れた。


「ハッハッハ✩

恵梨香の邪魔をするなよヒロイン?」

腕を組んで不適な笑みを浮かべこちらを伺っていた。


「仮面の……男!私が行こう。

前回のリベンジマッチと行こうか!」

そう言って姿勢を正し竹刀を構えた。


最後の壁………だな。


「一成、先に行け!」


「だけど、魁斗が」


「俺の事はいい!

妹との喧嘩を終わらせてこいよ?」

魁斗は、不器用な笑みを浮かべ手のひらで

早く行けと促した。


「フッフッフッ、ならばこそ!

任せておくがいい!魁斗は、私が守る。」


「守る!守る!」


「この先何が起きるか分からない、

そこのクレイジーは、連れて行け!」

俺にジト目を向けて晴明がこう言って来た。


「はぁ………、君の写真拡散していいかな?!」


「ふぅ………私と桜は残るわ」


この、仮面の相手をするのは舞と俺と荒巻姉妹と

桜と紅玉……か。


「分かった、ぜってえ勝てよ!」


「分かってる。」



「さて、最後の話し合いは終わったか?」


「あぁ、これで俺の役目は終わりだよ。」

俺の最後の役目、足止め。

それが俺に出来る唯一の事だ!


すぅー…はぁー


グッ

ドッ!

拳を握り前に突き出してそのまま勢い良く

接近した。


「前ので分からなかったのか?

真っ直ぐ向かって来たって返り討ち「それは違うぜ?」


「前と違う所がある。」

これはタイマンじゃないんだぜ?


ガシ

「捕まえましたよ!」


「何?!小峠桜か!

だが、お前程度の力で俺を押さえ…………な………

何故動かない!」

ゴン

ドン

「こんなに殴られても手を離そうとしない?

馬鹿かこいつ?」

ガン

くそ!防御されたか。


「ハッハッハ✩お前達程度が力を合わせた所で

神には勝てないんだぞ?」


「ふぅ。行くよ、詩杏」


「行きます!姉様!姉様!」

ドッ!


ゴン

「ぐっ。すみません、手を離してしまいました!」


「詩杏!」「姉様!姉様!」


「ふっ、二人だろうが関係ねえよ!」

シュ!

早い拳が顔を目掛けて飛んでくる…………が。

荒巻姉妹の動きが神の予想を超えた。


ドッ。右拳を左手で防がれてしまった。

だが、光輝は次に膝蹴りをお腹目掛けて飛ばしてきた。

だが

「姉様に暴力は許さないよ!」

間に割り込んだ詩杏によって膝蹴りも受け止められた。しかも膝を掴まれ固定される形になってしまった。


「くっ。面倒だ!二人まとめて潰す!」


「させないわよ!」

空いてる左腕を紅玉に掴まれてしまった。

「お前等!恵梨香以上のヒロインなんて居ねえんだよ!」

ガシ

空いてる方の足を桜に掴まれてしまった。


「雑魚共が!」

ダッ


「あんたを倒して終わりにしてやる!」


「出来るもんならやってみろよぉ!」

ゴン

俺の拳が顔に入った………けど。


ドゴッ

掴まれていた足を上にあげて離してしまった桜の

顔に蹴りが入った。


ドン

左腕にしがみついて居た紅玉の頭目掛けて頭突きをした、痛みで入れていた力が緩んでしまい

その隙を見逃さず腕を振り払って紅玉の頭を掴んで

左手を掴んでいた緋色に向かってぶつけた。


ボギ

膝を固定していた詩杏の両腕を変な方向に曲げられ

嫌な音が響いた。


これらの事が一瞬で起こったのだ。

理解するのに数十秒は必要だった。


そして、理解出来ていない俺の顔を掴んで転がっていた桜の上に叩きつけた。


「ぐぁっ。」

「がっ。」「頭がっ。」

「うぅぅぅ。う……でが…いだい。」

「うっ。」「ゴハ」

それぞれが苦悶の声をあげる。


「ハッハッハ✩これが神の力だ!

それで?君は、来ないのか?

ハッハッハ、すまんな、怖いんだろ俺がさぁ?」


「てぃ!」

真っ直ぐ向かって竹刀を顔に叩きつけようとしたが

両腕で掴まれ簡単に


「ボキ、ドン!」

竹刀をへし折り驚いた舞のお腹目掛けて蹴りが飛んできた。


「うぐっ。」


「ま……さか、こんなに強いなんてな。」

俺は何とか立ち上がったがまだ骨が痛む。


「このままだと負けるな」

だが…………俺の役目は、勝つ事じゃないんでね。


「はぁはぁ。竹刀がなくとも拳で決着をつけてやる!」


くっ。皆連戦なんだ、俺が頑張らなくてどうすんだよ!それに。


「詩杏の腕を折った借りは必ず返してやる!」


「出来るのか?出来るなら来いよ」

笑みを浮かべ手のひらでこっちに来いよと俺を

煽ってきた。

ドッ。

その瞬間また、勢い良く地面を蹴って

仮面の男と接近した。

「無意味な事を!」

また、俺の拳を見切り

「また、正面だろ?突っ込んで来ることしか

脳のない馬鹿が!いい加減学習したらどうだ?」

肘が頬に向かってぶち当たった。

「がっ。な……何だと?」

畳み掛けるように回し蹴りをしてお腹をぶち当てた。

「うぐっ。まだそんなに動けるのか!」

顔を痛みで歪ませながらも耐えて俺に拳を振るってくるが先程よりも速さがなく、左に躱し足をかけて

転ばせた。

「うわっ。」

そして……

ドン!!!!

足を転んだ仮面の男目掛けて叩きつける。

ボキ

腕に向かって。


「ぐ……ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「借りは………きっちり返したぜ。」

後を振り返り妹の為に涙を流していた緋色に

不器用な笑みを浮かべグッドサインを送る。


ふらふらと片腕を支えながらも立ち上がる。

「ハァハァ。ぐっ。恵梨香の邪魔はさせんぞ!」


「俺だって一成の邪魔をさせるつもりはねえよ!

兄妹の間に他人が割り込んでんじゃねえよ!

お前こそ邪魔をするんじゃねえ!」


「ハッハッハ。他人だぁ?

俺ぁ〜神だぞ!俺はよぉ!介入していいんだよ!

このゲームを作ったのは俺なんだよぉ!」

少し正気には思えない様な不気味な笑み、目を見開いて怒鳴る仮面の男、だが、それ以上に気になる事が聞こえて来た。



「作っただと?」











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