18話 小峠桜の絶望

私は、恵梨香ちゃんが好きだった。

幼稚園の頃。私は、人とのコミュニケーションが

苦手で友達が居なかった。そんな時、私に

手を差し伸べてくれたのが恵梨香ちゃんだった。

小学生の頃。物を隠されたり、陰口を言われてる時

助けてくれたのが恵梨香ちゃんだった。

だから、私は、恵梨香ちゃんが好き。

ずっとずっと大好き。

恵梨香ちゃんは、男をこの世から消したいみたい。

なら、私が協力しない訳には、いかない。

その、選択が間違っていたとしても。

私は、ずっと、恵梨香ちゃんの側にいるよ!



なのに……どうして?


あーあ。きっとこれが私の運命なのだろう。

仕方がない。恵梨香ちゃんを止められなかった。

止める勇気がなかった。私には、止められない。

恵梨香ちゃんが望むなら体を差し出すのだって。

そう思ってた。けど……やだなー

男に抵抗したって意味がない事位分かっている。

だから、抵抗しない。

なのにさ………涙は、溢れて仕方がない。

きっと、このまま私は犯されるんだろう。


「最後に聞いてもいい?恵梨香ちゃん。」


「なーに?」


「私をずっと守ってくれたのはこの時の為?」


「そうだけどそれが?」


「そっか………それでもありがとね」

さようなら………私の好きだった人

きっと…このまま捨てられる。

もう、私には、彼女の側に居る資格がなくなる。


「桜!」


「え?」


「痛えな!何だ?」


「………早く!逃げなさい!

最後まで操り人形のままでいいわけ?」


「紅玉。けど……私は、恵梨香ちゃんに逆らえないよ。」


「くっ。いいから!このままだと

皆あいつに食い殺されるわよ!」


「入って来ていいよ〜♪」

ゾロゾロ

「う……そ……でしょ。」

紅玉が目を見開いて床に膝をついて扉の方を

見ていた。私も思わずそちらを見ると。

「10人は、居る………」


「だーれも………逃さないよ♡」


「私達を最初っから駒にするつもりで!」


「紅玉。それは、酷いなぁ〜

私がいつ…貴方達を友達だなんて言ったの?」


「やめて!近づかないで!」

皆襲われて終わりなんだね。

これで、終わり。

「どう…して?」

私達はそんなに悪い事をしたんだろうか?


ガシ!

「早く!皆逃げて!ここは、僕と一成がやるから!」


「もう……無理ですよ。こんな人数。

しかも二人でなんて。」


「それでも!やるしかないだろう…がぁ!」


「ぐっ!このガキ!ぶっ殺してやる!」


「させないよ!」


「邪魔だ!」


「はぁ……じゃーね。私は、家に帰るね?

念の為。」


「チッ!恵梨香!逃げんじゃねえぞ!

この責任は、必ず取らせる!」


「……………やれるもんならね?」



「おい!待て!ぐあ!」


ドッ

「がぁ……動けねえ。」


「一成!待ってて…僕が!がっ」


「押さえたぞ!このガキ共!」


「くそ!うごけぇ!」


「み……んな!早く逃げて!」


「貴方が逃げなさい!桜。

恵梨香を助けられるのはこの場には貴方しかいない。だから……逃げて?」

むり…………ですよ。

もう……逃げられない。








「家の前に佇む青年が居た………その名は」








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