メビウス
ののせき
プロローグ
1
1000年前
人間は星全体を支配していた。何十億という人間が跋扈し、国を持ち、街を持ち、群れを成して生活している。彼らの知力は凄まじく高度に発達し、食べられる動物をより大きく太らせ生きながら雑味を消し、それを大量に繁殖させる事で全ての人間に分け与える事で食糧難を回避する。
環境に適応する事も出来ない細く脆い身体を、他種の生物の毛皮を用い身体に纏い、身体を護る装備を作った。
道に灰色の泥で固め、その上を金属の車が簡単な操作で走る事で高速での移動を可能とし、道に白い線を描き、空に浮かぶ三色の光りを頼りに列を作り、順守する。
見上げれば首が痛むほど構想な建物に何百人と居住し、その中では人間同士、組織などに属していなくとも争いは限りなく少なく、縄張りを奪い合う事も無い。
動物のように餌を奪い合う事も無く、店に行けば同じ物が、同じ品質で並び、それが絶える事は無く、求める物を皆が手に取る事が出来るよう配慮される。
人間は、この星の支配者だ。
だが、その支配に終焉が近付いている事を気付いているのは、ほんの僅かな者達だけだった。
ある者達が言った。
『世界に終焉が迫っています。生き残る事が出来るのは、今の人口の、三分の一』
またある者が言った。
『世界は終わります。今の暮らし、今大切な家族と共に、最後のひと時を噛み締め、最後の時を待ちましょう』
タロットカードを開き、運命を占う者達がそう言って、彼らは姿を消した。
国々は、その時に必要な存在は科学者でも軍隊でも無い事に気付いたのだ。
彼ら、【
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