第6話 俺は弱いが進むしかない
1週間が経過した。
結論から言うとチャートは乱れまくっている。
今まではなんとか追いついていたけど、完全に追いつかなくなった。
(嘘だろ。今までにこんなこと一度もなかったのに。やばいやばいやばい)
焦りから爪をカリカリと噛む。
(リカバリー、はもう無理だ)
今のプレイヤーレベルが8だ。
目標は10だったがレベルが2足りない。
10という数字も余裕を持たせているわけでわはなくストーリー進行に必要な最低限の数字である。
(アドリブを組み込んだり通常プレイもするしかないな)
幸い俺はこの世界のことを知り尽くしている……と思う(チャートも乱れまくっていて若干不安になってきた。知り尽くした世界のはずなのに知らない世界のような気がしてならない)
「坊っちゃま?」
(レベルは足りないが、チャートは進めるしかないな。次のチャートはストーリーを進めるものだな)
「坊っちゃまー?」
(この低レベルでやったことなんてないけど、やれるはずだ)
「坊っちゃま?!(おててブンブン)」
「はっ……!!」
気付けばミーナが俺の前で叫んでた。
「どうしたんですか?上の空のようでしたけど」
「目標レベルに到達できなくてな。目標は10だったんだがまだ8だ」
「(あんぐり)。えっと、もうレベル8なんですか?」
「違う。まだレベル8だ」
「じゅ、十分ですって、休みましょう?もう」
「気を使ってくれるのは嬉しいがまだ休めない」
「よく分かりませんが坊っちゃまがそこまで仰られるなら……。このミーナもお供しましょう。この世の果てまでも」
俺はさっそくいつもの訓練場所に向かうことにした。
「坊っちゃまはいつもここにいらっしゃるんですか?」
「あぁ、このポジションは狩りやすく経験値効率もそこまで悪くないスライムが大量に湧いてくるからな」
序盤のレベリングスポット。
そこでスライムを狩るんだが最近は1手間挟んでいる。
「これくらいの岩でいいか」
「グローブなんて装備してどうするんですか?あと、なんで岩?ってか、岩を殴ろうとしてますか?!」
「ストーンバレット」
岩をぶん殴ると粉々に砕ける。
その破片がスライムに向かっていく。
破片がスライムを倒していく。
「な、なんで、岩を殴るんですか?」
岩を殴ることによって岩の分の経験値、それからスライム分の経験値がダブルで入るからだ。
スライムを倒すと更にワラワラとスライムが湧いてくる。
「もう一発」
ボキッ!
手の骨が折れる。
「いますんごい音なりましたけど?!」
「問題ない」
「あ、あはは。そ、そんなわけないでしょう?痛くないんですか?」
「ヒール」
緑色の光が俺の拳を包んで癒していく。
「あっ、ほんとに問題なかったんですね」
「もう一発」
「(こんなに真面目な顔してると痛々しいから辞めてなんて言えない)ふれーふれー、ぼっちゃーまー」
そうやってスライムを倒していると……
「ギュピピィ」
地の底から響くような声が聞こえる。
「な、なにか声がしませんでしたか?」
俺はとある方角に指をやった。
ふたりでそちらに目を向ける。
そこにいたのは超巨大なスライムである。
「な、なんですか?!あれは!」
「なにって、スライムだよ」
「ギュピピ!」
【デーモンスライム降臨】
この世界でも現れてくれるか不安だったが無事に現れてくれたな。
「スライムを1万匹倒すと現れる特殊モンスターさ(こいつを倒すのにレベル10欲しかったが、これ以上は時間を使えない)」
「えぇ?!もう1万匹も倒したんですか?!」
「ちっちっちっ」
「な、なんですか?その指振り」
「まだ1万匹なんだよ」
「(もう、じゃないんだ。っていうか。まさか、この前スライムを倒してたすごい人って……)」
「ボサっとするなよミーナ」
俺はミーナを抱えて後ろに飛び下がった。
スライムが触手を伸ばして俺たちのいた場所を殴って来ていたからだ。
「す、すみません」
「向こうは俺もミーナも区別せずに攻撃してくるから。気をつけろ」
「ギュピピ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます