第2話 噂になってる?
翌日
「よっ!ゆづ!おはよう」
「はい!おはようございます!」
少し強めに言ったのは、そんな馴れ馴れしくしてほしくなかったから。
あの頃の周平は
オドオドしてて、あたしにくっ付いて来るような子だったし。
まさか金髪リングするような子になっているとか思わなかったから、
傍に寄ってほしくなかった訳で。
昼休み
「柚月さぁ?」
「はい?なんですか?」
あたしに声をかけてきた一軍女子。
「高田くんとどういう関係?」
「どういうって・・・なにも・・・・」
長野リカ・梅野美波・大久保沙耶の3人。
「あんなイケメン、この学校に二人といないでしょ?」
「そうよ。だからあの彼とあんたの関係を知りたいわけ」
あたしはそう言われて、いささか面食らってた。
だって、あのオドオドしたひ弱な周平しか知らなかったし。
「ねぇ!ちょっと待ってよぉ、ゆづちゃん!」
「早くお出で!来ないと遊んでやらないよ!」
「えー!!待っててば・・・」
そんな周平が、あんな風に変わってしまうとか・・・有り得ない。
次の日も、また次の日も。
チャラ男になってしまった周平には、一軍は当然として三軍女子までもが
常に絡んでいる様になってしまってた。
でも彼は、あたしの方をチラチラ見てくるんだよねぇ。
そんなある日。
その周平が、ある女子を一緒に下校するのを見た。
肩組んでいかにも恋人同士って感じ。
しかし誰だろう?
クラスの女子にはいないし、同学年の女子で見たことはないなぁ・・・
「あのさ」
「ん?どした?やっと俺の彼女になってくれる気になった?」
「そんなんじゃないわよ。あの子誰?」
「え?あの子って・・・あーそうか、お前見たんだな?ふふふ」
「見たけど。それが何か?」
「お前、やっぱ俺に気があるんだな。あれはさ・・・」
そう言って周平は、教室を出て行った。
「ん!もう!周平ったら!」
それから何度も、その見たことのない女子と帰宅するのを見かけるようになった。
「ねぇ柚月。あの子誰?」
「あたしも知らないよ。直接聞いてみたら?」と大久保沙耶に言うと、
「えー直接聞けってか?うーん・・・なんか・・・その・・・」
一軍女子でも、そう言う事は直接聞けないのかな?それなら。
「あたし聞いてみよっか」
そういうと沙耶は、「お願い!聞いてみて!」土下座せんばかりの頼みよう。
そうは言っても。
別にあたしは周平のことなんか、これっぱかりもどうでもいいと思ってるし。
でも、そういうの聞くのは苦手だな。
そんなある日の下校時間
校門の前に、その女子が立っているのを見つけた。
(あの子だ!)
よく見ると、うちの学校の制服とはスカートのデザインが違うし、
うちはネクタイじゃなくてリボンだしなぁ。
あれはどこの制服だろうと考えていると、
「よ!帰ろうぜ!」
「先生に用事頼まれてるから。先に帰って」
「じゃあ待ってるよ」
「いいから帰んな」
「つれないなぁ・・・仕方ねえ帰るわ。じゃあな」
周平は校門へ向かって歩いていく。
するとその女子生徒に、手を挙げて合図すると肩を組んで歩いていった。
(後つけてみよう)
幼馴染を尾行するとは思わなかったが。
コンビニの角を曲がり、大通りに出て駅へ向かって歩いていく。
しかしどっからどう見ても、恋人同士としか見えないのだ。
電車を降り、家に向かっているようだ。
うーん、ここまでにして帰ろうか・・・
「ゆづじゃん!何してんのさ」
「あ、え、えーっと」
しどろもどろになるあたし
ばったり会ったのは、同じクラスで唯一友達と言っていい存在の沢田美玖。
「あ、えーっとここであったことは内緒だよ」
「えーそうなん?あいつをつけてたでしょ?高田くんを」
あーバレてたか・・・
「彼に興味あんの?」
「いや・・・そういう訳ではなくて・・・」
「そういう訳ではなくて何なのよ?」
「いやぁ~~~」
美玖はあたしの顔を見て察したのか
「ま、今日のところは勘弁しとくよ」
「学校では内緒にしてね」
「解った。じゃあな」
話しているうちに、二人を見失ってしまった。
やっぱりあたしは周平のことが気になるんだな。
でも・・・
いや、単なる幼馴染だし。
家に帰ってママが
「遅かったね、どこか行ってたの?」
「いや、ちょっと図書館」
「そう、あまり遅くなっちゃダメよ」
「はぁーい」
部屋に入ると美月姉ちゃんが帰ってきてた。
「おかえり」
「ただいま」
「周平くんのことが気になるんでしょ?」とストレートに聞いてきた。
「え!いや・・・なんで姉ちゃん知ってる?」
なぜか周平とあたしが付き合っているという噂が上級生にもながれたらしい。
「ははは、梅野が言ってたんだよ」
あ!梅野美波はお姉ちゃんと一緒の部活だったっけ。
ったくおしゃべりなんだから・・・これだから一軍は・・・
まぁ流れてしまったことは仕方ない。
「付き合ってなんかいないよ。お姉ちゃんだって知ってるっしょ?」
「知ってるけどさ、あんたが男と付き合ってるなんて。噂だろ?と思ったけどさ」
「そう、噂もうわさ、根も葉もない話だよ」
「そっか、そんなに必死に弁解するところを見ると・・・マジだな」
「違うって!違う違う!あんなやつ嫌いだし」
「おおお!言ったな、嫌いなんだな。じゃあお姉ちゃんが頂いちゃおうかな!」
「いいよ、別にあたしには関係ないし」
と強がってみたものの・・・
「でもさ、もうすこし待ってよ頂いちゃうのは」
「ほら。やっぱそうなんじゃん。好きなんでしょ?付き合っちゃえよ」
姉ちゃんは何か面白がっているようだが。
第2話 完
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