第7話
「――なんだよ。俺たちと同じ班になるのは不服か?」
班が決まったタイミングでちょうどチャイムが鳴り、そのまま休憩時間になって先生が出て行った瞬間。二井見は前の席の男子から声をかけられた。どうやら先程の私たちのやり取りを聞いていたらしい。
「いや、別にそんな事はないけど……」
「じゃあ別にいいだろ」
「あまり話した事ない人たちばかりの中に放り込まれるより断然いいと思うけど?」
否定する二井見に対し、今度は私の隣の席からサラリと女子生徒が会話に参加する。
「しかも、自分以外みんなは普通に知り合い……なんてなったらそれこそ地獄だよねぇ」
「なー」
「……やめてくれ。考えたくもない」
それに二井見の横の席に座る女子生徒が参加しあっという間に先程決まった班のメンバーが会話に参加していた。
「……」
あまりにも滑らかに会話が進んでいるので、私はただただ驚いている事しか出来なかったけど、そんな私に対し、私の隣の席のに座る『
「あ、あの子は私と同じ部活なの」
「
「で、俺の目の前にいるのが『
「よろしくなー」
彼とは休み時間に二井見が話している姿をで何度か見た事がある。
「よ、よろしく」
今の会話のやり取りを見ていると、どうやら二井見とそれなりに面識がある様だ。
「一応、初日に自己紹介をするタイミングはあったけど……覚えられないよね」
布川は「迷惑だった?」と言わんばかりの表情だったけど、私からしてみればありがたい事この上なかった。
正直、あの時の自己紹介ではせいぜいクラスの半分の名前を覚えられるだけでもいい方ではないだろうか。それくらいあっという間に終わってしまったのである。
「正直。あれ一回だけでクラスメイトを把握するのって無理ゲーだよな」
「確かに。部活とか同じクラスでそれなりに話した事があるヤツならまだ分かるが、それでも五クラスあったら半数くらい分からないって事も十分あるよな」
「私も普段一緒にいる子ってあんまりいないから半分も分からなかった」
そう言いながら笑い合っている姿を見ると、どことなく私の気持ちが少し軽くなった。どことなく「まだ覚えていないの?」と言われるのではないか……と心のどこかで思っていたのだ。
「だから気にしないで? みんなまだこのクラスになって一か月経っていないんだし」
「あ、ありがとう」
布川の温かい心遣いに感謝すると、唐突に名取が手を挙げた。
「何? せっかく良い雰囲気だったのに」
「私。お好み焼きやりたい」
「……は? お好み焼き?」
思わず聞き返す根本に、名取は「うん」と頷いてもう一度「お好み焼きがやりたい」とまるで宣言する様に言った。
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