全てが決まるクラステスト
ここ、月元学園は、年に一度。
クラステストがある。
そこで、1年間の運命が決まると言っても過言ではない。
基準で言うと、Aが優秀。テスト100点の者たちだ。
そんな学園の中庭。そこには…
「教室…どこでしたっけ…」
茶色い髪。
制服はぶかぶか。
明らかに根暗そうなやつ。
ノア。それが、彼の名前だ。
この学園は1年生〜15年生。
6歳から21歳。つまり、小中高大一貫。
さらに、それぞれに見合った職にもつける。
それが、この月元学園だ。
ノアは13歳。7年生だ。
「えっと…どこだっけ…」
うろちょろとフロアを動き回る。
あっちに行ったりこっちに行ったり。繰り返しているうちに中庭に戻ってくる。
『なに…あの子…』
『絶対Zクラスの子よ…』
周りからも不思議に思う声が。
「あれ…どこでしたっけ…そもそも、僕…何クラス?」
ノアが動き回るたびに、右耳についている狐の半顔のイヤリングがはらりと揺れる。
その時、
『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』
黄色い歓声が湧き上がった。
『咲人さまよ!』
『咲人くーん!』
女子の大きな声援。
ノアは軽く耳を塞いで遠ざかろうとする。
(うぅっ…騒音は苦手…)
中庭の扉に手をかけると、
ガシッ!
「うわぁっ……って…咲人くんじゃないですか!びっくりした」
ノアの頭を掴んだのは、赤髪に吊り目の少年・咲人だ。
「おっは。ノア」
容姿端麗。頭脳明晰。おまけに運動神経抜群。
なぜそんな奴がこんな根暗な奴を知っているのか。
「さーきとっ!おっはよ♡今年クラスなんだった?」
ツインテールを巻いた女子が甘い声で咲人の腕を自身にあてる。
金色の巻き髪がくるくる揺れ、大きな目。
(うわぁ…あんな目のサイズに合うカラコンってあるんですね…)
すると,突然ノアを睨んだ。
〈キミ、邪魔。咲人と釣り合わないよっ〉
〈何言ってるんですか。僕は男ですよ〉
ヒソヒソと周りには聞こえないように話すため、二人の顔が近くなる。
すると、咲人は二人を引き剥がした。
「わっ」「きゃっ」
ノアは出ている左目をまん丸にして。女子は赤面して驚く。
「ノア。ちょっとごめんね」
「?」
咲人はノアの顔を自身の体に埋めさせると、ノアの耳を自分の手で塞いだ。
「ねえ」
さっきとは打って変わって低くドスのきいた声。
「やめてくんない?そーいうの、めーわくだから。それに、ノアは、俺とおんなじクラスだよ?」
咲人がそう言うと、女子は震えて逃げていった。
咲人はノアを話す。
「どうしたんですか?咲人くん。いきなり」
「なんもないよー。ノア。早く教室行こ」
「あっはい」
ノアは自分が迷子だったことを思い出し、咲人の後ろを歩く。
「そーいえば、ノア、今何pあるの?」
pとはポイントのことだ。
この学園は全ての生活がポイント制。
食事、図書の本の貸し借り、動画を見る。風呂に入る。
こう言うのには全て、pが必要になる。
まず、テストの点数によってポイントが配布。
さらに、1ヶ月に一回、クラスごとにpがもらえる。
だから最初のテストが重要なのだ。
アルバイトのような者で稼げたり、アイドル活動、配信活動でもpは稼げる。
「んー。僕は…」
ノアは自分の右手首の腕時計で確かめる。
「10万pくらいですね」
「俺もそんくらいだわ」
10万p。これは、学園でも上位のポイント数。
話していると、やっと7年のフロアについた。
すると…
「ノアーーーーッ」
「わぷっ!」
ノアにいきなり何かが突進してきた。
緑髪をふわふわさせて、ノアにぎゅーっと抱きつくのは、四ツ葉だ。
「また道に迷ったの?去年もあったよねー」
「うぅっ…道はどうしても覚えられず…」
「そーいえば、今年、クラスメイトそんな変わんなかったらしいよ。強いて言うなら、かんなが落ちたくらい」
「そうなんですね」
二人で並んで教室に入ろうとすると、2人の肩が掴まれた。
「オレのこと、忘れてなかった?」
にっこりと咲人は微笑んでいるが、その笑顔は闇が混じっている。
「そんなことないですよ」
3人が入ったのは、S。
そう。この学園での最高クラス。
最初のテストが100点以上のものたちが集まるため、このクラスに上がれるのは、人口の本当に一握り。
そんなもの達だ。
全員合わせて15人。
クラスには、3人以外全員が揃っていた。
リンゴーン リンゴーン
この学園特有のベルがなり、ノア達は席につく。
ごちゃゃごちゃの授業が、今日も始まる。
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