繋がり

 来月のボランティアのテーマは『子供たちと身近なもので遊ぼう』だった。

 ちょうど新聞紙が必要だったので、今田はリビングから台所にいる母に聞く。

「ねぇー、古い新聞紙どこだっけー?」

「玄関の近くー」

 すぐに玄関に向かう。

 何日前の新聞紙がいいか、適当にあさる。

 三日前くらいであれば、流石に父も見返したりしないだろう。

 今田は三日前の新聞をパラパラとめくった。

 あるページに差し掛かったとき、今田は目を留めた。それはある、女性の記事だった。


 その記事を読み終えたとき、それまで疑問に感じていたことのいくつかが、頭の中に浮かび上がった。


 なぜ、痣を繰り返し作っていたのか。

 なぜ、夜に一人で歩いていたのか。

 なぜ、遺書はなかったのか。

 なぜ、同室者に「起こして」と頼んだのか。 


 バラバラに思えたそれは、ちょうどほどけた糸のようにピンと1本の線になった。


「もしかして……」


 今田はスマホを取りだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る