第2話 Key of Heaven's
「魔法少女に興味はあるかい?」
その質問の回答に彼女らは困惑の表情を浮かべていた。
私も返答に困ったのだ。当然の結果だ。
「実は君達を待ってる間に魔法少女になってね。」
信じられないようなものを見る目に変わる。
「紅井、大丈夫か?辛かったら頼ってくれ。出来ることなら何でもするから。」
「先輩、私も心配です。どうして急に。」
散々な言われようだ。
普段から真面目にやりすぎたのかもしれない。
仕方がない。
百聞は一見に如かず。言葉で説明するより見せたほうが早い。
「変身。」
特にこんな非現実的なことならば。
その言葉と共に私の内側から何かが流れ出る感覚がする。
そして目の前に魔法陣が現れ私の身体を包み込む。
変身が完了する。
眼の前の2人は固まっている。
変身をまた解除し椅子に座る。
「貴方達も座って、協力して欲しいことがあるの。
困っているから頼りたいの。良いかしら?」
スイカが頭を抱えながら椅子に座る
「いや私も出来ることなら何でもするって言ったけどさぁ。」
「ちょっと理解が追いつきません。これは現実?それとも夢?」
モミジはこの現実を疑っている。
私も同じだ。そしてまだ全部を理解したわけではない。
机の上のノートを手に取る、白いのが残したノート。
するとまたドアが開く。
「すまん、待たせた。」
「すみません、別の用事があったとはいえ。」
「今何時ですかね。間に合うよう努めましたが。」
残りの生徒会役員が入ってくる。
メンバーを再確認する。
会長の黒木アキラ、副会長の紅井ルリこと私。
会計の白石テラス、書記の蒼井スイカ。
補佐の日高ノボルと十六夜モミジ。
欠員は居ない。
「大丈夫です。それほど待ってませんので。」
ベタな返しをする。
「所で倉井先生は?」
会長が返答する。
「後で来る、最終チェックだけするそうだ。」
「仕事の前にちょっと相談したいことがあるのだけど、良いかしら。」
例の件だ。
「ルリが魔法少女になった。」
「えっと、やっぱりこれって現実ですか?」
「何言ってるんですか?」
スイカ、モミジ、ノボルが各々喋りだす。
「とりあえず皆さん、座りましょうか。」
白石のその声でひとまず会議が開かれる。
「概要はこれに書いてある。」
「後は全て頼むよ」なんて無責任な言葉が書いてあるノートを渡す。
内容は殆どが既知のものだった。
変身の時に入ってきた情報とほぼ同じものが。
「それとこの鍵が、全てのカギになる。」
同時にノートの下に置いてあった鍵を見せる。
「これは?」
会長が尋ねる。
「天空にある拠点へ行くための、そして人を魔法少女にすることができる鍵。」
「使ってみる?」
スイカが気軽に尋ねる。
そこで私の体験を伝える。
「使うのは慎重にしたい。微弱な身体強化ですら微弱じゃない。」
だからここに居る人達だけに話をしている。
白石が口を開く。
「とりあえず拠点がどういうのか、観たくないですか?」
私もそう思う。
会長が静かにうなずく。
「それぐらいは出来ないか?」
「試してみます。」
空中に鍵を挿し込む動作をし捻る。
すると空中に丸い穴が開いた。
しかしその先は白く光っていて見えない。
「ちょっと見てみる。」
変身してから頭を中に突っ込む、念の為に。
白く光っているのは境界面だけでそこは隣の視聴覚室だった。
ただ窓の外は白く光り、不自然に綺麗な部屋であるが。
綺麗である、それ以外に不審な点はない。
とりあえず頭を戻す。
「向こうは視聴覚室になっていました。」
「最高の現実が向こうから会いにきた、全部本当なんだな。」
会長が呟いた言葉の意味は分からなかったが信じてくれたようだ。
スイカが発言する。
「で、協力して欲しい事って?大体察しは付くけど。」
「うん、魔法少女活動のサポートをして欲しい。」
「魔法少女にならなくていいのか?」
「会長がですか?」
モミジが驚く。
「俺はいいぞ。」
会長のその声に続いて皆が私も僕もと声を上げる。
ここまで押されてしまったら仕方がない。
それにノートには書いて無かったが、『来たるべき日』というものがある。
初変身時に頭に入って来た情報の1つ、詳しいことは分からない。
その日がいつ来るのかも、何が起こるのかも、何も。
でもただ一つ分かっていることがある。
「ありがとう。皆で力を合わせようか。」
戦力は多い方が良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます