法則
キカイ工
法則
今年一番冷たい風の吹く朝、歩き出せば理由など忘れたが娘と娘の通う中学校へ向かうことになった。
先を行く娘の後を追いかけるが家と家の僅かなこの隙間が通学路だというのは本当だろうか。
カラスに似たトタン屋根に頭をつつかれ、日向ぼっこをする猫に丁寧に挨拶をして猫の額ほどの畦道を通らせてもらう。
娘が日向ばかり選ぶから時おり学校は遠ざかる。
ようやく学校の側を流れる川に出ると娘がカーブミラーを覗き「今日は船がないね」というから川縁をゆっくり歩く。
川の浅瀬には置き物みたいな白鷺が一列に並び、時々そこに青鷺がまじる。その並びに法則性を発見したところで学校への曲がり角についた。
次は青鷺の筈だが空席だ。
僕の青みがかった灰色の上着を娘が指差すから、川に降りて今日はそこで娘の帰りを待つことにする。
法則 キカイ工 @kikaikou1
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