第10話 "続" 山に関する怪異

出典:【動画投稿サイトG-Tube】

媒体:ポッドキャスト

掲載年月日:2018年8月7日



 証言記録:峠道にて受信された異常電波

(B氏/会社員・走り屋)


 この記録は、S県T市在住の会社員B氏(仮名)から提供された体験談をもとに構成されている。

 内容の一部は本人の記憶に基づくものであり、事実関係の検証は困難である。


 ―――――


 1. 概要


 B氏は平日夜間、T市とN市の境界にある峠道を走ることを習慣としていた。

 峠は地元の走り屋の間では「T-Nライン」と呼ばれ、夜間でも一定数の走行者が集まるスポットである。

 B氏は、2017年9月某日、走行中に車載ラジオから異常な電波を受信したと証言している。


 ――――――


 2. 証言内容(抜粋)


その日は、峠の路面が乾いてて、走るにはちょうどいいコンディションだったんです。

いつも通り、峠の頂上付近でUターンして、下りに入ったあたりで、ラジオが急にノイズを出し始めました。

普段はFMで音楽を流してるんですけど、ザザッて音がして、急にAMに切り替わったんですよ。触ってないのに。


最初は、混線したのかなって思ったんです

けど、流れてきたのは、妙な声でした。

男の声で、何かを読み上げてる。ニュースでもないし、朗読でもない。

ただ、延々と『峠の下にあるもの』『見てはいけないもの』『札を剥がした者は』って、意味のわからない言葉を繰り返してた。


怖くなって、ラジオを切ろうとしたんですけど、ボタンが効かない。

そのうち、車のライトが一瞬だけ暗くなって、後ろのミラーに何かが映った気がしました。

毛のない、四つ足の…人間みたいな何かが。


その瞬間、峠を抜けたんです。

私は、今見たものが見間違えじゃないか気になってその場で車を停めましたが、何も確認することができませんでした。

ラジオは元に戻って、人間みたいな何かも消えていたんです。

でも、あの声は今でも耳に残ってます。

『札を剥がした者は』って、何だったんでしょうか。







証言記録:峠道にて受信された異常電波

(M氏/大学院生・バイク乗り)


 この記録は、S県K市在住の大学院生M氏(仮名)から提供された体験談をもとに構成されている。

 内容の一部は本人の記憶に基づくものであり、事実関係の検証は困難である。


 ―――――


 1. 概要


 M氏は週末の深夜、T市郊外にある旧道峠をバイクで走ることを趣味としていた。

 この峠は「T-旧線」と呼ばれ、かつて隣県まで行くことの出来る街道として使われていたそうだ。

 M氏は、2018年8月下旬、峠の中腹で休憩中、携帯ラジオから異常な音声を受信し、さらに不可解な存在を目撃したと証言している。


 ――――――


 2. 証言内容(抜粋)


 その夜は月も出てなくて、峠全体が黒い布で覆われたみたいに暗かったんです。

 バイクを停めて、ポケットラジオで地元局を流していたら、急に「ピィィィィ……」って高音が鳴り始めて。

 ダイヤルを触ってないのに、周波数が勝手に変わって、AMの不明な局に切り替わったんです。


 その音が止んだあと、女の声が聞こえてきました。

多分女性の声だと思います。

嗄れた声でしたけど、声が高かったので。

 「札を剥がしてくれぇ」「札を剥がしてくれぇ」って、意味の分からない言葉を繰り返していて。

 怖くなってラジオを切ろうとしたんですが、スイッチを押してもラジオを切ることができませんでした。


 そのとき、道の脇に何かが立ってるのが見えました。

一瞬、熊か何かが立ってるのかもと思い威嚇のつもりで、バイクのヘッドライトを向けました。

 でもそれ人間じゃなかったんですよ。

毛のない、四つ足の…人間のような形をしていて、関節の動きが異様に滑らかでした。

 顔は、目の位置だけがくぼんでいて、口が耳まで裂けてるように見えました。


 その存在がこちらを向いた瞬間、ラジオが止まり、スイッチも元に戻っていました。

私は、急いでバイクに跨り後ろには目もくれず峠を抜けました。

 でも、あの「札を剥がしてくれ」って言葉だけは、今でも耳に残ってます。





[構成要素] 怪電波、異形の怪異、車、峠道、夜



おそらくこの話は一番最初にお話した隙間バイトに関する話の中で触れた怪異に関係のある話だと見られる。

ポッドキャストを収録した、人物とコンタクトをとることが出来た。

 後日対面で話を聞いてくる。


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