怪異滅殺委員会は今日も大忙し?
ねむねこ
第1話 俺達が生きる世界
この世には妖怪という恐ろしい化け物がいる。例えば、ぬらりひょんや餓者髑髏(がしゃどくろ)などが挙げられる。だが、俺達が生きる世界ではもう1つ、恐ろしい化け物が存在していた。
「おーし、こいつで最後か。あんたの居場所はここじゃないぜ。もとの場所に帰るんだ。そっちの方があんたにとっても幸せだろうから。よっ!」
ザシュ
返り血が頬に飛び散り、刀にもべっとりと血が付着する。
「げっ、まーた洗うの大変な事になったなー」
俺は天道 零(てんどう れい)19歳だ。
本来なら学生なのだが、俺にはやるべき事がある。そのため、学校は行かなくても大丈夫だ。正直ちょっと残念だ。
ポケットから無線機を取り出し本部に繋げる
「天道 零(てんどう れい)任務完了しました。」
『お疲れ、天道。今回のはどんなやつだったか?』
「えっとー受験に落ちた学生のマイナス思考が原因です。そのマイナス思考から怪異が2、3体出現したようです。」
『はー、最近、受験生達から出現する怪異増えたねー』
「今月で50体目です」
『、、ほんとに多いね』
この街には何千年前から人間のマイナス思考やネガティブ発言から生まれる怪異、『悪堕(あっき)』という化け物が現れた。当時、人間は突然出現した悪堕に対抗出来ず、絶滅寸前にまで追いやられた。その時、悪堕に対抗出来る唯一の組織『悪堕滅殺委員会』(あっきめっさついいんかい)が結成されたのだ。まぁ、「ネーミングがダサい」、「そのまま過ぎるだろ」、などと言われた事もあるのだが。俺はその委員会のメンバーでリーダーでもある。
『にしても、天道。お前、何歳だっけ?』
「19ですけど?」
『お前、そんな若かったけ?あと、お前の弟ってまだ15だよな?』
「はい」
『俺と違ってお前らまだまだ若いんだから、色々背負い込み過ぎるなよ?』
「分かってますよ、まぁ、でもありがとうございます。気をつけます」
先生との無線を切り、刀の手入れをしていると、
俺の後ろからコツコツと足音が聞こえて来た
この靴の音、おそらく、、
『兄ちゃん、お疲れ』
「お疲れ、理斗(りと)」
やっぱりな。俺の読みは当たっていた
委員会メンバーの、莉々菜 胡桃(りりな くるみ)の厚底スニーカーの音にも似てるが微妙に音が違う
理斗は刀に寄りかかりながら俺の近くに歩いてきた
「それにしても、理斗。お前、だいぶ疲れてないか?手こずったのか?」
理斗ははぁ、はぁ、と息を切らしながら俺の隣に座り込み、俺の肩に頭を乗せた。そして深呼吸をした後、口を開く。
『兄ちゃんの言う通りだよ。任務の内容は悪堕、一体の討伐だけだったのに次から次へと悪堕が現れたの、もう疲れた』
理斗はへにゃへにゃとしながらも立ち上がり、帰り道を歩き出す。
「ふっ」
『兄ちゃん今、笑った?』
理斗の突き刺さるような視線が俺に向けられる。理斗ー?顔怖いぞー
「笑ってないよ、んじゃ帰るか」
理斗の隣に並び歩き出す。身長はまだ俺の方が上だな、密かにガッツポーズする。
『、、兄ちゃん、俺』
理斗が振り返り口を開く
「ん?言いたい事でもあるのか?兄ちゃんになんでも言ってみろ。な?」
まぁ、もし理斗が本当に疲れてマイナス思考に囚われてしまって、悪堕が出現しても俺が即退治するから問題はないな。
『夕飯、オムライスがいい、』
突然の発言に驚いたが、すぐに笑みが零れた。
「ふっ」
『あ、おい!笑うな!いいだろ別に!しばらくオムライス食べてなかったから、、そのーた、食べたい』
理斗が顔を赤くし俺の胸をぽかぽかと叩いた
まさか、そんな可愛いお願いだとは、
「よし!兄ちゃんに任せとけ!最高に美味いの作ってやるからなー」
その前に風呂入らないとだな。2人とも返り血でベタベタだ。理斗が俺からパッと離れ自分の頬の返り血を拭う。
『、、玉ねぎは入れないでね?』
理斗は大の玉ねぎ嫌いなのだ。
「んーどうしよっかなー?って理斗!?刀は人に向けちゃダメだろ?!」
理斗が怖い笑顔で刀を持って近づいてくる
『にーぃちゃーん?』
「分かった、分かったから、玉ねぎは入れないよ」
『分かってくれたんならいい。あと、』
「ん?」
理斗が俺の服の裾を引っ張り口を開く
『明日、兄ちゃんと稽古したい。俺も成長したから成果見せたい』
「分かった、明日な?」
理斗の頭にポンと手を置き理斗の頭を撫でた。子供扱いするなと言わんばかりの視線を向けられたが気にせず理斗の頭を撫でた。理斗の頬がほんのりと赤くなった気がする。
『、、兄ちゃんってさ、モテるよね』
「そうか?」
そんな他愛ない会話をしながら再び帰り道を歩き出した。
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