第2章 問い 釣りは青春に必要なのか

「ぬくい……」

 つい声が出た。声量はセーブできたけども。

 4月なのに結構な量の汗かいた——でも間に合ってよかった。俺の人生最速のダッシュは無駄ではなかった!

 約束した10分前には着かなかったけど、まあいいだろ。実際に入学式には間に合ったわけだし。響子は怒るかもだけどな。

 と言うか響子はどこだ? 

 俺たち新入生は体育館にスシ詰めにされた椅子に座って、入学式が始まるのを待っている。おかげで暖房いらずだ。

 人数はかなり多い。250人ぐらいいるらしい。上の学年も結構な人数が在籍してるそうな。

 毎年こんなモンらしい、さすがは有名校って感じだ。

 並んでいる椅子の列は数えるのも億劫になる。座っていると視線が下がるから余計に多く感じるのもあるか。

 響子はどこにいるんだろ、背ぇ高いからすぐに見つかるはず——あ、いた。 

 俺から見て左にある通路側の席にいた。やっぱり、すぐに見つかった。

 相変わらず、背は高いわ姿勢は良いわで目立ってる。

 結構長い間一緒にいるから意識しないけど、集団の中にいると響子は目立つ。もちろん、いい意味でだ。あいつには欠点と言えるものはあんま無い。

 中学校ではみんなの憧れの的だった。ネットでしか見れないアイドルなんかよりも、よっぽど人気者だったと思う。

 圧倒的なビジュアル、ケチのつけようのない人格、そして積み上げてきた実績。全て完璧。パーフェクト人間だ。響子は。

 今も、実際に両隣の女子から質問攻めを受けている。多分だけど。 

 昔から、響子は女子からも大人気だった。ラブレターやチョコレートなんかも毎日のようにもらっては、俺に始末させてたものだ。今後は勘弁してほしい。 


「間に合ってよかったね、ほんと。なんかあったの?」

 当然、隣のヤツが話しかけてきた。というか耳打ちしてきた。攻撃的な含みは感じられない。

 ああ、よかった。1番遅くにこの会場に来たのは俺だ。文句をつけられたら言い返せない。ここに座るまで何人かには睨まれた。

 俺は汗だくのうえ、堂々の重役出勤だ。二重に暑い。気まずいこと、この上ない。

 暑くてかなわんが、無視するわけにはいかないので答える。これ以上、立場を悪くはできない。入学前に詰む。いろんな意味で。

「あ、いや、ちょっと濡れちゃったんだよ。着替えてたら遅くなった感じ」

「濡れた? 最近、雨降ってないし濡れる要素ある? 川に飛び込んだ! とかならまだしもさ。変だね?」

「ななッ……!! なに言ってんだよ。こんな時期に川入る奴なんていねーだろ!おかしなこと言うなよ。ハハッ……」

 ギクッとした。おかげで余計な汗が追加された。お客様困ります!

 こ、こいつ的確に言い当てあがったぞ。もしかして、今朝のアレ見られてたんか、コイツに。

 おかげで随分と怪しい受け答えをするハメになった。尻すごみもいいとこだわ、こんちくしょう。

「あ、なんか始まるらしいよ。先生出てきた」

 隣の赤毛ヤロウはそう言うと姿勢を正して、正面を向いた。

 よ、よかったぁ……どうやら尋問タイムは終わりらしい。割と新鮮な首の皮が繋がった、嬉しいやったー

 見てみると確かに、体育館のステージの上で何か準備がされている。式が始まるみたいだ。

 長く座ってる奴らはケツが痛くなってるだろうしな。時間も押している、主に俺のせいで。 

 背の低い先生がキーンとマイクを鳴らす。ホントに始まるんだ。俺たちのための入学式が。

「これより、第77回佐土原一ツ瀬川高校……【ヒトコウ】入学式を始めます」


 その後、入学式は問題なく進んだ。

 長々とした挨拶や誰なのか分からない来客紹介など、その内容にはお決まりのものも多い。

 やはり式典。格式ばった内容は10代の若者の興味を惹けるものではない。しかし、新進気鋭の高校だ。それだけではなかった。

 幕間の理事長による講話にもあったが、自由を重んじる校風を感じさせる演出や工夫が多くあったのだ。

 要所で名作特撮映画のテーマが流れたり、人気アーティストのジャズが流れたりと、その場にいる三洋を含めた新入生たちは『この学校はひと味違うぞ』と期待感を膨らませていた。

 登壇する教員や客員もカジュアルな装いをしている者も散見された。校風を体現するための工夫は演出の各所に凝らされていた。

 伝えるべくは伝える、しかして、自由を忘れず。それが入学式の持つ裏テーマであった。


 そんな入学式の中でも、三洋が用心して聞いていたのは、部活に関する講話だった。その話題に触れられた際には明らかに、彼の目の色が変わった

 OBアスリートのありがたい話などは当然のように聞き逃していたが、ある謳い文句は集中して聞いていた

「我が校は全国でもトップクラスの部活動数を誇ります。多様性のある将来を切り開く若者を育成すること、これは我が校の存在意義の1つです。もちろん、新しく部活動を創設することも可能です」

 そう、佐土原一ツ瀬川高校―――通称【ヒトコウ】は、なによりも部活動に力を注ぐ学校なのだ。

 部活の種類は日本一。同好会なども合わせると、その数は70を超える。

 野球やサッカーなどの王道はもちろん。Eスポーツなどの界隈として成長途中のものまで、多種多様だ。

 この部活動に対する支援の充実こそが【ヒトコウ】の1番のウリだ。

 三洋も響子も、そこに魅力を感じたからこそ、この高校に入学を決意した背景がある。

 三洋としては、部活動の形をとらなければ釣りができないわけではない。彼は今でも部活など関係なく暇さえあれば釣りに向かう。

 しかし、彼が思う理想のスクールライフにはそれが不可欠なのだ。

 釣りには、釣り竿や糸など様々な道具が不可欠。しかし、かさばるそれらを持ち歩くのは手間そのものだ。

 そこで部活だ。釣りが部活として存在すれば、普通なら不要物として没収される釣り具も必要物として学校に持ち込める。

 そうなれば、始業前に釣りをし、そのまま学校に登校。休み時間に釣り具をメンテしたのちに、放課後に釣りをする。これが彼の理想の青写真だ。

 三洋にとってのバラ色の学校生活が過ごせる。彼の確信は入学式を通して、より強度を増していた。

 【ヒトコウ釣り部】その発足こそが、三洋の高校での第1課題だ。その悲願を達せられる確率が現実味を帯びてきたのだ。

 三洋は口角をこれ以上ないほど吊り上げていた。機嫌のほどは、ここに記すまでもないだろう。


 彼の周りにも目を輝かせている新入生も多い。きっとそれぞれの理想を思い浮かべているのだろう。

 皆、揃って顔を高揚させている。新入生各員の緊張していた面持ちは過去のものと化していた。

 その様子は学校の入学式というよりも、ロックミュージシャンのライブに近いものがあった。座ったままでブチ上がるライブも珍しいだろうが。

 高まった興奮を最高に保ったまま、全ての工程を踏み終えた【ヒトコウ】の入学式は幕を閉じた。 

 これから三洋や響子の高校生活が幕を開ける。

 人生のニューチャプターが始まるのだ。


「すごかったな! 入学式!」

「ね! 音楽とかライトとかガンガンかかってたし!」

 入学式の後、俺たち新入生はそれぞれに割り振られた教室に詰め込まれた。 

 俺はC組。響子は廊下を挟んだ場所にあるB組だった。クラスがばらけたが、仕方ない。そもそも、同じクラスじゃないとダメなんてことはない。

 そのために2人とも同じ高校に通ってる。お互いに心配なんてしなくていい。

 俺たちのクラスも席順が決められていたけど、すぐに意味を失くした。

 教室は最初のうちは静かだった。多分中学から同じやつがいたんだと思う。その2人くらいが話し出したら、みんながワーワーと騒ぎ出した。俺を含めた何人かを除いて。

 俺は入学式中はほとんどの時間で爆睡をカマしたこともあり、教室移動の時に触れた外の肌寒さに負けて再び夢の世界へレッツゴーしてしまった。

 起きた時にはこの始末だ。みんな楽しそう。俺、寂しそう。

 熟睡したわけでもないのに寝起きが悪い。5分も寝ていないぞ!?

 凄く気まずい。今のところクラスの輪から外れてる。軽くトラウマがよみがえってくる。ちょっとハラ痛い。

 どうしよ、マズい。親と響子になるべく多く友達作るって約束したのに!このままだと非常にマズい。

 『タイミングを寝過ごして友達できませんでした』なんて言えるわけがない。

「あ、起きたね」

 途方に暮れかけた俺に、前の席から話しかけてきたやつがいた。この声、聴いたことあるな。

「あ、ごめん。僕は和戸宗太わどしゅうた。隣の席だから、よろしく」

 そうだ。入学式で俺の遅れた原因をズバリ言いあてたアイツだ。

 その時はあくせくとしてたから記憶が薄いが、目の前にいる赤毛頭は間違いなくアイツだ。と言ってもありがたい。

 和戸のヤツ、顔つきなんかの見た目から話し方まで全部がとっつきやすいやつだ。背丈も俺と変わらない。目の色やら毛の色も赤みがかってて特徴的だけど、それ以外は一般的な高校1年生って感じだ。俺とあまり変わらない。

 和戸が話しかけてくれたおかげで、周りの奴らも俺に話しかけてくれた。ありがてぇ!大感謝だ。

 和戸大明神もしくは和戸大菩薩。これからはアイツのことはそう呼ぼう。

「おお、ありがとう! 俺、瓜坊三洋。よろしくな!」

 こうして、俺の高校生活は順調なスタートを切った。友達も作れそうだし、満点付けてもいいんじゃないか。

 スタートダッシュは完璧だ、ありがてぇ。


「はい、皆さん注目!」

 ざわざわと姦しい1年C組教室内が落ち着いてきたベストタイミングでの号令。

 それを発したのは黒板の前に立った女教師だった。

 年齢はかなり若い。どう見ても20代前半だ。背はあまり高くないようだが、後ろで1つに纏められた黒髪とカジュアルスーツのザ・教師といった感じの服装は彼女のスタイルを理想形として完成させていた。 

 教師の号令は、高校生になったばかりのC組全員の意識を見事に掌握した。

 注目が集まったと判断した彼女はジャケットを着込んだ胸を張り、ややハスキーな声で挨拶を始めた。

「皆さんの担任を務めます、下野佐代里しものさよりといいます。よろしくお願いします。皆さん元気みたいで嬉しいです!」

 落ち着いた態度の挨拶はクラスの全員に好印象を与えたようだ。その証拠に大きな声の元気な返答がされる。

「「「よろしくお願います!!」」」

「ハイ、よろしい! ですが、皆さんは今日から高校生になります。元気なだけではダメです。きちんと自分の席について、落ち着いた姿勢で先生の話を聞くようにしましょう。分かったら着席、ホラッ!」

どうやら、彼女もかなりエネルギッシュな人間らしい。若さで生徒たちに負けている様子はない。運動部のようなテキパキしたテンポでクラスの混沌を納めた。

「よしっと……では、皆さん。最初の授業はアイスブレイクです。これからの学生生活を共にするクラスメイトに自己紹介をお願いします!」

 そうして、クラスは再び活気を纏っていくのだった。

 

「えー、では次、瓜坊三洋君。お願いします!」

 ついに来たか。ここで1発ブチかましてもよし、大人しくしてもよしだろう。少なくとも、どんな内容を言えばいいのかは分かっている。

 あとは、アクセルかブレーキか、どっちを踏むかだ。

 俺の席は1番後ろの席だ。黒板の前にたどり着くまで幾ばくかの時間がある。その間に脳みそをフル回転させるのだ。考えろ、三洋。受験の時よりも!

「えっと、瓜坊三洋です。趣味は釣りで、部活も釣りでやってきたいと思っています!オネガシャス!!」

 結局、俺は急加速した後、急ブレーキを踏んだ。

 最後の方は自分でも何を言ってるか分からない出来だった。オネガシャスってなんだよ。どこの言葉だよ。 

 よくよく考えれば俺はこういう時に先頭切ってはしゃぐタイプじゃない。なにしてんだよ、全く。まだ眠気が残ってたかぁ、畜生め。


「部活を新しく作って釣りをしたいってこと?」 

 夏場の溜池みたいな死んだ空気が流れそうだったけど、そんなことはなかった。

 名前は分からないが、誰かが質問してくれた。蜘蛛の糸だ!絶大にありがてぇ。

「そう! そうなんで、釣りする人がいたら一緒にやろうぜって感じです。よろしくお願いします!」

 救いを受け入れることはできた。マジで感謝。熱烈なチューしてやりたい。声的に男子だったけど。

「はい!瓜坊君、ありがとうございました。新しく部を作るには、届け出と作文を出してもらいますけど、大丈夫ですか?」

 今度は下野先生が質問してきた。

 入学式では話されていなかった内容だし、確認しないといけないのだろう。

「はい。その文章が先生たちの審査を通過すれば、部活として認められる。ですよね?」 

 フッ、心配無用だ、先生よ。

 その点、俺に抜かりはない。この高校の制度についてはホームページを見て確認済み。あとは、その届け出とやらを書いて提出するだけだ。 

「その通りです。あとで必要な用紙を渡すね」

 先生はその一言以外、なにも付け足してこない。俺の発言が間違っていない証拠だ。

 机に向かって座ってるのは性に合わんが、これも釣りのため。なんてことはない。

 ああーもう!早く魚シバきてぇ!水辺に行きてぇ!釣りがしてぇ!

「はい!では次、甲斐田君。お願いします」

 おお、いかんいかん。顔が緩み過ぎた。さっさと次のやつと交代しなくては。例のカイダくんとやらが、こっちを不思議そうに見ている。でも気にならない。

 ああ、本当に楽しみだ。釣りにかける時間がもっと増える。もっと、もっと、釣りができる。


「バイバイ!響子ちゃん!」

 出会ってから半日で下の名前呼びかぁ、ちょっと気後れするなあ、ありがたいけどさ。 

 コミュ障ってほどじゃないけど、人間関係は慎重に進めていきたい派だ。『玉は包むように寄せよ』という言葉もある!——らしい。

「うん!ありがとう!また明日!バイバイ!」

 私の背は177センチある。女の子としてはめっちゃ高い。昔は色々思うトコロもあったけど、今は背が高いのは得だと思ってる。

 かなり高い私の声でも遠くにいる友達に届かせられる。そう思えるようになったのは小学5年生の頃からだけど。

 そうなった、いやそうなれた理由は、目の前の校門の前に立っている彼だ。髪もまなじりも、針金みたいにとんがった爆弾いのしし君。瓜坊三洋。

 私の幼なじみ。いまだに驚かされることも多いけど、私にとっては家族の次に親しい人。大事なヒト。

 本当はできたばかりの友達と帰るべきなんだろうけど、やっぱり三ちゃんと話したい。朝は一緒に行けなかった道を帰りたい。

 ついでに入学式に遅れてきた言い訳も聞きたいしね。とっちめてやる。

 携帯で伝えた待ち合わせには間に合ったみたいだ。まだ、私には気づいていない。チャンスだ。ビックリさせてやろ。

 私は速足で三ちゃんの後ろに近づく。なるべくバレないように足音は抑える。

 少し屈んで周りの生徒に紛れつつ近付く。よし、至近距離に来た! 

 大きく手を広げて三ちゃんの横から彼の視界にカットイン!

「ばぁ!!!」  

「おぅわァッ! なんや!?」

 効果は抜群!豆鉄砲を喰らったイノシシが出来上がった!

 三ちゃんは右足と背骨をくの字に曲げたヘンな格好でリアクションした。こういう彫刻、テレビで見た気がするなぁ。

 ふふん。大満足。いいザマだわ。

「んだよ、響子かよ。ビビったわ。やめてくれ、こんな人前で」 

「ふーん。約束破ったくせにそんなこと言うんだ。三ちゃんてば冷たーい」 

 三ちゃんの顔が変わった。苦虫を噛み潰したような顔っていうのかな?こういう顔は。私にとっては面白い顔でもあるけど。

「ぐぬぬ……悪かったよ。朝のことは、すまんかった」 

 はい、いただきました。三ちゃんは素直じゃないんだから、まったくもう。

「へへ、じゃ、一緒に帰ろ。三ちゃん」 

 そうして、私たちは校門をくぐった。今度は2人で一緒に学校の門を通り過ぎたのだった。


「糸、細すぎたか……でもなぁ……今日のは、おかしいよなあ……」

「朝のこと?」

「うん。この時期に、あんなデカいのがかかるとは思わんかったし、リールの糸は巻き替えなくてもいいかなって」

「えーちょっと、三ちゃん。ドン引きだよ? 高校生になって、初めての帰り道でも釣りのことなのぉ、私もいるのに?」

 一応ダメ出しはしたけど、彼にはダメージはない。分かってたことだけど、やっぱり納得いかない。  

 さっき、入学式に遅れたことに文句を言ったときは少しは効いてたのに。もう呆れた、私もいるんですけど!話し相手を放置するなんて。

「んが、悪かったよ。心配してくれなくとも友達はできたぞ? 連絡先も交換したしな。ほれ」

 そう言って三ちゃんはスマホの画面を見せてきた。そこには確かに今日、出来たであろう友達のアカウントの名前があった。

 彼より10センチ以上、背の高い私に合わせて自分の目線より高く掲げてくれている。行動ばっかり活発なんだから、もう。

「むむむ、ならいいけど……釣りのコトばっかり話さなかった? すぐにブロックされちゃうよ。クラスの輪から」

「ほざけ。釣りと友達なら、釣りを選ぶ男に何を言い出すかと思えば。一生の幸せが欲しいなら釣りをしろ。だぞ?」

 入学式も、その後のあれやこれやも、彼からすれば印象が薄いのだろう。それくらい彼の考えていることは釣りのことばかり。もう少し危機感、持ってほしいなぁ。

 私にとってはロッククライミングがそうであるように、彼の人生に1番深く根ざしているのが釣りなのだ。

 

【もし、半日の幸せを得たくば豚を食え。半年の幸せでいいなら結婚をしろ。一生の幸せが欲しいなら釣りをしろ】

 三ちゃんの座右の銘だ。口ぐせとも言うけど。

 本人や家族に聞くと、三ちゃんは物心ついたころから、自然や生き物に触れてきたらしい。

 小学校に入ってからは、魚と釣りの沼にどっぷりハマって出てこれなくなり、今に至ると。

 周りのみんなが、スポーツ選手のスーパープレーを見ているとき、彼は魚の図鑑とにらめっこをしてた。

 変わっていると言われれば、それはそう。私もそう思う。

 多分だけど、趣味的に他人を必要としてこなかったからだ。生き物を追っかけまわすのには自分ひとりいればそれで十分なわけだし。 

 実際に三ちゃんは中学の時にはクラスからハブられたこともある。

 でも、いわゆる、【悪いヤツ】なのかと言われれば、そうじゃない。絶対に。

 釣りがなくても、不機嫌になったりもしないし、それ以外にも礼儀はしっかりしている。 

 そこも、自然との関わり合いの中で身に着けたらしい。ちょっとなに言ってるか分からないけどね。

 さっきも私にやってくれたように、基本的に周りを見て振舞っているのだ。見た後に無視することが多いけど。

「まあ、釣りするヤツはいなかったんだけどな、残念無念ガンガゼだわ」

「が、がんがぜ?でもさ、私たち高1だよ?やっぱりマイナー側だよ」

 私はロッククライミング。三ちゃんは釣り。私たち2人はお互いマイナー競技者だ。


 ロッククライミングは、まだいい方だと思う。

 いくつかの分野はオリンピック種目にもなっているし、何も知らない人に話しても、大体は好意的なリアクションが返ってくるから。 

 今日も、クラスメイトから『よく分からないけどスゴイ!』とお褒めの言葉をいただいてきたばっかりだ。

 でも、釣りはいわゆる【おじさんの趣味】として扱われることが多い。もちろん、プロとして魚を釣って収入を得ている人もいる。でも競技、つまりスポーツとして扱う人は少ない。三ちゃんもそれは認めていた。

「んが!? マイナーってだけでやめるワケねーだろ。いい結果が出たら物理的に飯が豪華になんのは、釣りだけだぞ。」

 なんだかんだと言って、三ちゃんも現実は見ている。もちろん、私以上に。

「うーん、それはそうだけど……それで部活として釣りするのも厳しくない?先生たちに釣った魚を明け渡すってわけでもないんだし。」

「まあ、そこんとこ……どうにかなるだろ。だからこその【ヒトコウ】だろ?」


 俺の言った【ヒトコウ】とは【佐土原一ツ瀬高校】の略称だ。

 入学式でも強調されていた、この略称はある種の記号として使われているらしい。

 全国でも類を見ない総数と多様性を誇り、多種多様なアスリートを輩出する【日本一、部活の盛んな高校】としての記号。 


 俺らは、そこに入学した。

 響子はクライミング界の有望株だ。まず間違いなく、部活動においては好待遇を受けるだろう。羨ましいかぎりだ。

 幼い頃からの長身と思い切りの良さが売りのこいつは、競技人口の多くないクライミング競技の中で早々に頭角を現した。

 小学生の頃から始めたボルダリングで、中学生の頃には世界規模の大会にも多く出場。全国ネットのテレビにも何度も出演している。

 そのうえ、ファッションモデルとしての顔もある。線の通った鼻筋やノーメイクでも透明感のある素肌など、纏めて言えば容姿端麗といったところだ。

 それが彼女。それが鶚響子。なんかすごい俺の幼なじみ。

「部活の立ち上げは作文書かんといかんらしいぞ。ほれ、用紙。いけそうか?」

 貰ったばかりの作文用紙を渡した途端、響子の顔が曇る。せっかく顔良いのに、もったいな。

「え、え〜〜作文かぁ……三ちゃん、お願い!助けて!」

 そうやって手を合わせる響子の欠点の1つは、文系分野が壊滅的に苦手な事か。文章を見ると眠くなるそうだ。おかげでコイツはSNSすら嫌がる。 

 小中でも科目を問わず、黒板を見たら眠くなってたらしい。自分のノートでも駄目だそうな。割と詰んでいる。

 仕方ない、手助けしてやろう。


 俺みたいなのがハイスペック人間の極みにいる響子を助けるのは、自分でもどこかおかしいと思う。

 普通は逆だろ。一周回って面白さすら湧いてくる。

 響子に比べれば俺なんかそこらを遊び歩く三下だろう。なんせ釣りは世間からのイメージが固定されてしまっている。

 基本的に趣味、遊びの域を出ないもので人と競り合う。

 自分のことだけど、ずいぶんおかしな事を言っている自覚はある

 でも、熱意なら負けない。同年代のおちゃらけた奴らとは気合いが違う。なにせ、今日も朝早くから起きて魚を釣った。この事実がある。

 釣りは理論も大事だが、実行して結果が伴うことが最重要事項だ。どれだけ、それっぽいことを言ったところで、魚が釣れなければ釣り人は耳を貸さない。

 ひたすらに水辺に行って、ひたすらに魚を釣り上げる。そのために必要なことは何でもやってやる。この気持ちは、ウソでも大げさでもない。

 このことをまとめて綴った作文も頭の中では出来上がっている。

 響子の作文を手伝った後にすぐに完成させる。そうしたら——うへへ、あとが楽しみだ。

「ちょ、三ちゃん!? 顔、緩みすぎだよ。お願いしてるのに、酷い! 何考えてんの!?」

「何も変な事じゃねえよ。分かった、作文も一緒に書こうぜ。最後まで手伝うよ。お、ここまでか」

 そんなこんなで響子の家に着いた。いつもなら響子のボルダリングジムに寄るが、今日は祝い日だ。流石に家に直帰する。

「じゃあ、お互い晩ご飯とか済んだら、通話しながら作文書こうね。三ちゃん。忘れないでよ?頼りの綱なんだから」

 相変わらず、コロコロ表情の変わるやっちゃ。作文と言っても400字しかない短いものだっていうのに。なにがそんなにコイツを苦しめるのか、作文なんて用を足しながらでも出来るだろうに。

「あいよ。今が……7時ぐらいだから、8時半にはこっちから連絡する。作文書いてる時に寝るなよ。俺は起こしに行けんぞ」

「あ、アハハ……どうぞ、お手柔らかに……」

 多分、コイツ寝落ちすんな。まあ、すぐに出せと言われているものでもないし、いいか。

「おし、じゃーな。響子。明日は朝釣りしないから、一緒に登校しようぜ」

「了解、三ちゃん、また明日!」

 そう言って俺も帰路に就く。といっても、ここから俺んちまでは3分歩けば着く距離だ。


「あ、待って三ちゃん!」

 おお!?振り向いた瞬間に呼び止めるのはよせ、なんだよ!?

「ど、どした!? 親父さんでも倒れてたか?!」

「もう! 違うよ。言い忘れてたの!」

 んが、なんだ?てか、コイツいつの間に至近距離まで近づいてきた?怖いわ。

「三ちゃんと高校生になれて嬉しいの! これからもよろしくね。」

 いつの間にか手まで握られていた。怖いって、漏らしたらどうしてくれる。

 でも、確かにこういうのは大事だよな。俺も勢いのある今のうちに、サラっと言ってしまうのが吉か。

「おうよ! これからガンガン頑張ろうぜ! お互い、進学おめでとう!」

 俺がそう言うと、今度こそ響子は家の中に入っていった。

 さて、約束がある以上、俺もグズグズしてられん。早々に帰り着かねば。

 俺は速足で自分の家に向かう。こんなにいい気持ちで家に帰るのは久しぶりだ。大きな声でただいまと叫ぼう。近所迷惑は知らん。

 

 日時は4月2日、午前7時半。三洋と響子の2人は登校中に歓談していた。

 まだまだ寒い日が続いている。響子はジャケットの上からマフラーを羽織っていた。昨日は三洋の奇行を阻止するべく急いで家を出たために、身に着けられなかったのだ。

「うーーーん、ホントにこれでいいのかなぁ。作文」

 朝日の眩しさに目を細めながらも、口を開いたのは響子の方だった。

「スヤッスヤ寝てた割には寝覚めが悪いか?3分の2は、2人で一緒に書いたんだから大丈夫だよ。多分な」

 答えた三洋も厚手の手袋をはめている。

この時期の冷え切った川に入っても、へっちゃらな彼だが寒さを全く感じないわけではない様子だ。昨日は完全にキマっていたのだ。寒さなど気にならなかったのだろう。

 しかし、今は通常通りだ。寒さを感じ取って、時おり身震いもしている。 


「えへへ、やっぱり眠くなっちゃって……気づいたら布団の中だったの。不思議だよね」

 整った顔立ちを柔和に崩して笑う響子は先日、午後9時には完全にノンレム睡眠に落ちていた。三洋と作文を書き始めて、約45分でのことだった。

「『不思議だよね』じゃないよ。キッチリ布団で寝てたんかい!何のために通話してたんだよ。まったく、やる気が感じられん」

 白目を剥いて呆れた様子の三洋も口元だけは笑っていた。

 話し口では不愛想かつ、訛りのせいで雑な印象を持たれる三洋だが、その代わり表情がコロコロと変わるので、意外と情緒豊かなトークスタイルを発揮する。

 彼は響子の文字アレルギーを知っている。今更になって腹を立てることはない。

「ご、ごめんって。そんな面白い顔しないでよ。笑っちゃうじゃん。私、謝ってるのにさ」

「誠意がねーなら、謝ってねーだろ!まったく。やってられん」


 軽口に次ぐ軽口。初春の寒さの中でも2人は、いつも通り元気な若者であった。

 

 コンコンと、教員室の扉がノックされた。

「失礼します!」

 ノックに続いて、声だけが室内に入って来た。やや低いが音圧が高めな、よく聞こえる声だった。

 私はその声に聞き覚えがある。

 声の主は部屋に入って来るや否や、椅子に座っている私のすぐ横に立った。

「下野先生、おはようございます!部活を申請する書類を持ってきました」


 そう、彼だ。瓜坊三洋君。私の担任する生徒の1人。

 義務教育を終えてすぐに、釣りを部活にしたいと発表した風変わりな少年。

 私の短い教師歴の中では最も風変わりな生徒だろう。

「お、おはようございます。瓜坊君。昨日の今日で提出に来たんですか?早ければいいってものではないのよ?」

「もちろんです。バッチシ書き上げてきました。お願いします!」

 朝一番なのに、テンションが高いわね、この子。よっぽど自信あるのかしら。大丈夫かな?

 勢いをつけて渡してきたプリントは合わせて5枚。

 どれも、形式に従って制作されている。パッと見て問題はなさそうかな?

「まず申請書で、これが作文です。どうですか! いけそうですか!?」

 すごくテンションが高いわね、この子。やっぱり大丈夫じゃないかも。

「まあ、ちょっと待ちなさい。まだ1文字も読めてないわ。それに私がするのは、書類におかしな点がないかチェックするだけ。この作文を読むのは私じゃないの。分かった?」

「あー……そうなんすね。なんかすみません」

 明らかにテンションが下がった。ふふっ、分かりやすいやつ。いや、素直というべきか。

「安心して、ホームルームまでには赤ペンつけておくから。問題なければ昼には学校に提出します。オーケー?」

「はいっ、わかりました」 


 うん、いい返事。やっぱり彼は、素直でいい生徒だ。分かりやすく、ハンドジェスチャーに反応してきた。

 釣りは部活になるのか。釣りは青春に必要なのか。 

 つまりスポーツとしての競技性や、文化としての情緒性が認められるのか。論点はそこにある。

 この点が私としても気になる。なにせ釣りが部活になるなんて聞いたこともない。 

 外に出て体を動かすという1点では運動部と言えるものの、スポーツかと言われると疑問が残る。かといって、文化部って感じではない。どの視点から見ても中途半端に思える。

 ひと晩調べてみた感じでは、プロフェッショナルとして企業からスポンサー収入や物品の供与を得ている釣り人はいる。

 でも釣り人の中で、そんな存在は数パーセントだ。そこは野球なんかのスポーツと同じ感覚かな。 

 でも競争率は他の競技シーンよりも高いのだろう。なにせ、釣り人と野球少年となら全体の数が違う。


「うーむ、どうなんだろ……」

 相当にきわどい。学校の上層部。私の上司たちがよく調べて、釣りに将来性を見出したら成立する話だけど、正直難しい点も多い。

 釣り人が堤防や砂浜を荒らす――といったニュースはすぐに掘り出せた。ゴミのポイ捨てや公共の場所の占有などが、たまに問題になるようだった。

 私個人も魚に針を引っ掛ける行為である釣りは、残酷であると感じてしまうこともある。

 瓜坊君がワザと生き物を苦しめるような悪人には見えないけど、彼が喜んでやっている行為は他の人から悪く思われることもあるのは事実なのだから。


「先生? どうかしましたか?」

 さらに近づいてきていた彼が、語りかけてきた。 

 あまりに近くにいられたから驚いた。座っていた私はひっくり返りそうになる。

「あっごめんなさい。ちょっと考え事をね」

 これは反省。自分の世界に入り込み過ぎてた。

 時間的にも、そろそろデスクワークに戻りたい。この話は一旦区切らなくては、コホンと咳払いをしてと。

「とにかく、書類は受け取りました。進捗があれば、ちゃんと伝えます。安心してね。部活になるのかは私には分からないけれど、担任としてサポートしていきます。理解できた?」

「はいっ、分かりました!」

 うん、いい返事。こちらの意図が通じる感じが心地いい。

「最後に何か質問は?」

「ありません!」

「オッケ、じゃあ、教室に行ってなさい。すぐにホームルームするから」

「では、失礼します!」

 その返事をした彼は間を置かず踵を返した。一礼して教員室を後にする。

「いいですね、彼」

 教員室の誰かが呟いた。

 私もそう思う。今日はいい1日になりそうだ。


 三洋は教員室の帰り道を速足で歩いていた。

 とうとう釣りを部活化するファーストステップを踏み出した高揚感は大きい。そして、その第1歩が受け入れられた喜び。それらは言い表せない。だからこそ、彼の足取りは軽くなっていた。

 気取られないように努めていたが、実はほんの少し緊張していた。その反動もあり、彼には開放感が溢れていた。 


 三洋としても、変わっていることをしている自覚はある。もしかしたら、門前払いを受ける可能性も考えていたのだ。実際には、そんなことは起こらなかったが。

 今の彼はここ半年で1番の上機嫌だ。簡単な作業に思われても、彼にとってはプレッシャーを感じつつ成し遂げた立派な仕事だったのだ。

 彼はまだ15歳。一喜一憂するのも仕事の内と言える。気分は月面に降り立ったニール・アームストロングだ。

 月面を跳ねる宇宙飛行士の如く、今にもスキップする気分で彼は自分の教室に帰っていった。

 

「皆さんこんにちは。ヒトコウ放送部です。時刻は12時50分。元気に食べて、午後に備えましょう」

 伸びやかなチャイムの後に、教室に備え付けてあるスピーカーから放送が聞こえてくる。ハキハキとした発音は青空の白昼にふさわしい。

 毎日の時報を兼ねた昼の放送だ。これも部活生が運営や企画を行っている。この【ヒトコウ】に抜け目はない

 それぞれの場所やグループで弁当の蓋を開けた生徒たちは、とうに箸やフォークに手を掛けていた。今か今かと続く号令を待ちわびる

「くっ、焦らすじゃねえか」

「この俺に根比べで勝てると思うなよ……」

 校舎のところどころから、そんな声が聞こえてきそうな間が流れた。

 この間はあえて空けられている。この後の号令を聞き取りやすくするためだ。

 しかし、その一時の沈黙は長くない。スピーカーから再び声が伝わってくる。

「合掌、いただきます!」

 一人の放送部員の発した、その号令には600余名いるヒトコウの全校生徒が応じる。

「「「いただきます!!」」」 

 その刹那の間に生徒は目の前の弁当を己の胃にかき込む。

 生徒たちのリフレッシュタイムの始まりだ。


「にしても、本気だったんだね。瓜坊。釣りで部活生するって」 

 和戸の、男子にしてはかなり高い声が聞こえてきた。話を振られたのはもちろん俺だ。

 いきなり何を言い出すかと思えば。しかも食事中に。

 和戸よぉ、人が大口開けたのが見えんか?友達とはいえ、そこんとこ厳しいぞ、俺は。

 周りを見て見ろよ。男子は食欲で脳みそ溶かしてる最中だぞ。

「んが?あたりめぇよ。やらんことは口に出さんぞ、俺は」

 結局、口の中を丸見えに晒しながら、話し出すハメになった。

 口はモノを押し込むためにある。言葉を話すことはおまけの機能だ。そのことをコイツにも教え込んでやるべきか——

 俺の口の中をモロに見た和戸は顔が引きつったが、真に受けた様子はない。コイツは意外と肝が据わっているのかもしれない。

「てか、そんなに俺の弁当気になんの?そんなに特別なもんは入ってねぇぞ?」

「ああ、ごめん。食ってんのってカンパチの塩焼き? やっぱり釣ったの?」


 な、コイツっ、理解わかっていやがる。カンパチよりもブリの方が一般的だし、そもそも焼かれた状態の魚を言いあてるのはそこそこムズイ。

 自分が食ってる魚の種類が分かってない間抜けも多いのに。 

 コイツ、もしかしてだけど——

「すげえな、よう分かるもんだわ。もしかして……オメー、釣り人か?」 

 後半は声が低くなった。無意識にやったので仕方ない。釣り人同士なら積もる話もあるものだろうに。

 隠さなくてもいいのに、人の悪いやっちゃ。なんで今まで釣りの話しなかったんだよ。恥ずかしがり屋か?俺はいつでもウェルカムだぜ?

「い、いや、違うよ。言い忘れてたけど僕、料理部に入るんだよ。魚料理も好きだから、それなりに詳しいってだけ」

 なるほど、包丁人志望か。この学校、料理まで部活にしてんのか、流石だな。


 それにしても、細かい種類まで当てれるのは見事だ。素晴らしい。素敵だ。

 ブリ、ヒラマサ、カンパチ。この3種類は釣り人や魚好きでも見間違えるほど似ている。しかも切り身の焼き姿から種類を言いあてるのだから、和戸の努力は大したもんだ。

「へえ、そういうことね。じゃあ、いい魚釣れたら持って来てやるよ。これから釣りには、いい時期に入るしな」

「えっ、マジで!? 超助かる。ぜひとも頼みたい!」

 こっちとしては冗談だったが、どうやら期待させてしまったらしい。和戸は一瞬でハイテンションになって、前のめりに頼んできた。  

 周りの奴らも何事かと覗き込んきたが、なんでもねぇよのハンドジェスチャーで退散させた。コイツら食い終わるの早すぎるだろ。

「瓜坊!俺にも魚釣れたら食わせてよ。めちゃ美味そうだし」 

「なっ、僕が先約だぞ!甲斐田は魚の関係ないサッカー部じゃん。外でボール蹴ってろ」 

「まぁ待て、ありもしねぇ魚取り合うなよ。ちゃんと釣ってきてやっから。」

 約束が増えてしまった。我が家で食う魚がなくなるじゃないか。この勢いだと。

 まあ、しばらく渋い時期から遠ざかるわけだし、問題ないか。そう信じる。

「お、おうよ!そのためにも【釣り部】発足の応援頼んだぜ!」 

「もちろん!全面協力するよ!できることがあればぜひ言ってほしいよ」

 人事を尽くして天命を待つ。さらに友達の力も借りる。俺にやれることは全部やった。あとは上手くいくことを待つだけだ。

 神様、仏様、どうか、お願いします!

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