第10話
スグルは千葉ボ-トタワーに来ていた。場所としてある程度開けているところで浮かんだのがここだったが時間帯によっては親子連れもいたりもする。でもこの時間はいなかった。思念波の応用と言うが、実際やってみないと感覚がわからない。ここなら試せる。スグルはリストバンドONにしてショウと同期した、そして、右手を掲げて周囲に思念波を送る想像をする。右腕の周りの空気が渦を巻くのを顔で感じる。「上出来だ、スグル、そのまままずは上に飛ばしてみろ。スグルは少し肘を曲げてから思い切り上へ腕を突き上げてみる。
竜巻が生じ、上へ飛んでいって消えていくのが見える。スグルは息遣いが荒くなり、ハアハアしていたが「出来た、これは使えるな。しかし疲れる。」ショウは「思念波を使うとかなり疲れる。勉強疲れの酷いものみたいなものだな。脳の糖分を思い切り使うから、サリーなんていつもお菓子を食べてた。「サリーさんが?思念波よく使ったのか?」スグルはショウがクスッと笑うのを聞いた。「いや、そのうちわかるよ。しかし、スグルはセンスがある。まず対流を起こすのにつまずくものだがスムースだったし。」
スグルは次に左腕でも試す。利き腕でないとあまり大きな対流は起きないようだか、前方水平方向に飛ばすと適度な強さのつむじ風が飛んだ。「コントロールするにはこのくらいがいいな。」周りに人気はないのを確かめてから50mくらい先のジュ-ス缶を左手操作で跳ね飛ばしてみてから、ショウに
「何とかなるかな?」と聞く。「何とかする、だろう。あとスグルにはもう一つ練習しておいてほしいことがある。」
「?」
その夜スグルはぐっすり寝てしまい起きたのは次の日の昼過ぎだった。
しずかはイズミに誘われた日になると落ち着かない気分だった。早くから出かけ秋葉原の電気街のビルに上がる。待ち合わせ場所からはだいぶ離れているが、しずかは帽子にサングラスを外さなかった。髪も三つ編みにしていた。「しずか?いるの?」突如、あみの声がする。「え?これは?」。一緒に来たあみは駅でスグルさん達を待っているはず。
「落ち着いて、しずか。」サリーが話してくる。秋葉原駅に着いてからリストバンドはONにしてある。「これはあみじゃない。イズミよ。あみの声波長をすぐに模倣するとはいやはや。そもそも慎重派のあみはこんなことはしてこない。でも敵がいるのは確か。しずか、ここからは実在同期にして私に任せて。」しずかは一刻も早く逃げたかったのですぐにONにする。
「OK。後は任せて。」
しずか、いやサリーはビルから出て待ち合わせ場所が遠くから見えるポイントを探す。
交差点の脇に数名が話しているのが見える。
「スグル、ショウ様、行きますよ。」サリーは会話波を飛ばした。
スグルはつくばエクスプレス内にいた。
「今、しずかさんの声が?」
「ああ、サリーなら心配ないが急ごう。」
スグルは侍女のサリーさんが心配だが、ショウは全く懸念がない。
「秋葉原についたらすでに臨戦体制だね。僕らも実体同期しよう。」
「いや、最初、スグルがやってみてくれないか。実戦経験は大事だ。」
スグルは今後を考え覚悟を決める。
「了解だ。やってみるよ。」
秋葉原に着いたスグルは、出迎えたあみに方角を聞くと、あみにはあまり近づかないで見ているように促す。そしてスグルは早足で集合場所の交差点を目指す、急に横を風の渦が飛んで行く。「どこからだ?」スグルはショウに尋ねるように呟く。「これはサリーだ。我々に気づいて援護してくれたんだ。前を。」ショウの声を聴き前を見ると前方で矢が跳ね飛ばされているのが見えた。「あんなものどこから?武器か?いやちょっと違うか?」
「その辺りのものを適当に使っているのさ、矢でなくペンライトだ。」
「オタクの聖地で武器調達か、、」周囲に人がいないのはサリーが竜巻のような突風で一般の人には外歩きが危険だと考えさせて屋内に誘導を行ったことをしていたようだ。
スグルは自分でも前方に思念波の風を飛ばす。
「やるわね、スグル。見直したわ。」
しずか、いやサリ-は横にいた。「敵は2人、大したことはないわ。」
イズミに近づくから援護を頼むとスグルは走り出す。高周波を飛ばして同期してる存在がないことも確認、もう一人も操られてるのか。スグルはイズミを見つけると思念波を飛ばしながら近づく、よし、もうすぐ、と思った瞬間、衝撃波のような風が来てスグルは飛ばされる。しかしサリーが、思念波を広げてクッションのような波動を飛ばしてスグルを受け止めた。
「スグル、このまま飛ばすわよ。」
サリーはそのエアークッションをそのまま前方に飛ばした。スグルはイズミの横にすばやく入り、イズミの左腕に持ってきたリストバンドをつけ、スイッチONにした。
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