第19話 ビキニアーマー
目の前にはまるで下着姿当然のエスカの姿があり、奴は俺の存在に気づいた様子を見せると、すぐさま恥ずかしそうに身を縮めた。
「いやっ、マスター・・・・・・と、とってもお似合いですぅっ」
エスカは、はしたねぇカッコのまますり寄ってくると俺の姿をなめるように見つめた後、ただひたすらに俺の姿を凝視していた。
「おいエスカ」
「はっ、はいっ、何でしょうマスター?」
「俺はてめぇの趣味にとやかく言うつもりはねぇが、本当にそれにするつもりか?」
俺の言葉を聞いてエスカは正気に戻った様子を見せると、再び両手で体を隠し、恥ずかしそうに泣き言を言い始めた。
「違うんです、本当に違うんですよこれはっ」
「何が違うか言え」
「この店にはこれしか無いみたいなんですよ」
「なに?おいこの店はどうなってんだっ!!」
俺はすぐさま文句を言うと、ブランはけだるそうにため息を吐いた。
「いやいや、どうにもこうにも、巨人族の服なんてそうそう売ってないからね、おまけにここは貧民街だよ?」
「じゃあ、このわけわかんねぇ服はなんなんだ?」
「服っていうか防具?ビキニアーマーってやつだけど?」
「ビキニアーマー?」
「うん、前に巨人族がこの来店したとき、特注で作ってほしいって言われたんだけど、なんか色々あって必要なくなったみたいでさ、適当に飾ってたやつ」
「で、そいつをこいつに着せたってのか?」
「うんサイズぴったり、ちなみにかなり良い素材で作ったから値段は張るよ、どうする?」
そうだな・・・・・・エスカの特性上、戦闘の際に蒸気が出る事を考えれば、確かにあれくらいの薄着の方が理にかなっているが、問題はその高すぎる露出だ、せめて全身を隠せるものも必要になるだろう。
「おい、せめてあの露出を隠せるものが必要だ」
「もしも、あのビキニアーマーを買ってくれるっていうならただでポンチョをおまけするけど」
「隠せるなら何でもいい、そいつをよこせ」
「どうも、じゃあマントを用意するから待ってて」
そう言うとブランは再びカウンターの奥ににある部屋へと向かった。すると、エスカが慌てた様子で俺に話しかけてきた。
「ままま、マスター、私はこれを着るんですか?」
「嫌か?」
「い、いえ、マスターが着ろとおっしゃられるのであれば着ますけど・・・・・・」
「じゃあ着ろ」
「・・・・・・は、はい」
エスカは顔を真っ赤にしながらも俺の命令を忠実に聞き入れた。そしてブランが再び戻ってくると、奴は大きな黒いポンチョとやらを持ってきて手渡してきた。
それをエスカに手渡すと、彼女はすぐさまそれを着ると、ほっとした様子を見せた。
そして、俺はこの仕立て屋で他にもめぼしいものがないかと散策していると、カウンターの側にある箱が目に入った。そこにはいくつもの雑貨が詰め込まれており、とても商品には見えなかったが、どことなくそのガラクタに見えるものが気になった。
「おい、この箱に入ってるのはガラクタか?」
「まぁ、ガラクタっちゃガラクタだけど、一応売り物だよ」
「へぇ、ちょっと見せてくれるか?」
「いいけど」
ガラクタの入っている箱には、いくつか気になるものがあった。それはいわゆる魔力が込められている道具と思われるものが入っており、そのうちのひとつに黒縁の地味な眼鏡があることに気づいた。
明らかに他とは違う異質な雰囲気を漂わせるその眼鏡を手に取ると、ブランが感心した様子で声を上げた。
「おぉ、お目が高いねお客さん」
「これはなんだ?」
「鑑定士曰く、認識をあいまいにする眼鏡なんだって」
「具体的には?」
「さぁ、見た目的にはなんも変わらないけど、鑑定士の人はその眼鏡をずいぶんと気にかけてたね」
「試着していいか?」
「もちろん」
そうして、俺は店内をうろつくそばかす女を呼ぶと、奴はトコトコと俺の元へとやって来た。
「おいそばかす女、この眼鏡をつけろ」
「え、私に買ってくれるんですか?」
「あぁ、つけろ」
そうして、そばかす女は黒メガネをつけると、それがかなり似合っていた。
「よく似合うな」
「え、そ、そうですか・・・・・・えへへ」
「あぁ、やっぱり地味なそばかす女にはそういう地味な黒メガネが似合うってもんだ」
「・・・・・・じ、地味女」
いや、容姿の問題よりも、こいつから感じる底なしのMPの気配が感知しにくくなっている事に気づいた。
これがさっきブランが言っていた認識を曖昧にするというものらしいが、これがあればこいつが【オリジン】であることを隠せる。
「おいブラン、この眼鏡買う」
「はいはい、会計に含んどくよ」
そうして、俺たちはほかにも掘り出し物がないかと仕立て屋の店内をくまなく探した後、全部の会計を済ませた。
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