君と世界が終わる前に
猫姫花
君と世界が終わる前に
君と一緒なら世界の終わりに
立ち会えるかもしれないな って思ったんだ。
弱虫で泣き虫だった過去を話したら、素直に笑ってくれた君。
親友が不運の死をとげた話に涙声になった時に、君の方が先に泣いてくれたから、バカなんじゃないか、って思ったことに感謝ができて、君がありがたくなった。
これ、あるのがむずかしい、って意味。
側にいてほしい、なるべく・・・そんなことを口に出す相手ができて、あの世とか天国とかがあるんじゃないかと空想してみたり。
どんな素敵な言葉を並べ立てたら君は喜んでくれるんだろう、って、時々本気で考えようとするも、時間が限られていた。
いつか言おうと思ってた。
立場上、君を危険にさらしてた事実は、恋心と比例して増していたのに得策はなかった。
口の中に毒薬を含んだ君からのキスは、そちらの派閥からの嫌味と祝福だと言われた。
女から口を吸ったら、結婚の、意。
目に涙をためて、「あなたを好きになるためにこの星に生まれた気がする」って微笑んでみせた君は毒薬のせいで腕の中で冷たくなった。
まさか彼女を殺めた向こうの派閥のはからいにて無理矢理にも心中するはずの毒薬が、効かない体質。
こんなことになるなら、好きにならなきゃ、よかったのかな?ってぼやいたら、涙がほほをつたって、半笑い。
こんなことが、言いたいんじゃないのに。
実弾を込めた銃をこめかみに向け、なんてリーズナブルな言の葉だろう、と、心の中で先に思った。
「 愛してる・・・ 」
星の寿命は続くけど、「君」と言う「世界観」を亡くしたら世界が消えたのも同じで、それからの行動も当たり前だったんだ。
引き金をひいた銃は見事にこめかみを撃ち抜いてくれたよ。
自分への
最期の言葉は、
結局
思い付かなかったんだ。
君と世界が終わる前に 猫姫花 @nekoheme_hana
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