スタート
「ところで航輝さん」
オムライスを半分食べ進めたところで、まきしょーは口を開いた。
「んー?」
俺は鉄板の上のハンバーグに四苦八苦しながらナイフで切っては食べをくり返していた。
2つの目玉焼きはナイフに持ってかれてぐちゃぐちゃになっていた。
「彼女できました?」
ハンバーグを飲み込み、
「出来るわけねーだろ、そういうまきしょーは?」
「それが…」
「え?」
彼女出来るか?のくだりはもう何度も茶番として話している。
「嘘?え、できたの?」
「彼女…恋人ってどこからが、好きってどういうことなんでしょうか」
混乱、パニック、おめでとう?どういうこと?
全てが絡み合い、
「ちょっと一回冷静になるわ」
叫び出しそうな気持ちを抑え残りのハンバーグを平らげた。
そんな俺を見て、まきしょーも残りのオムライスを平らげた。
「今日、そういう相談だったの?」
ドリンクバーから持ってきた温かいティーパックの緑茶を飲み、話を進めようとした。
「そういう相談だったんです」
まきしょーは白ぶどうソーダを飲んでいる。
「その…え?まず気になる女の子?女の子でいいのかな」
「相手は女性です」
「オッケーオッケー。で、その女の子と、つまり結構もういい感じってことだよね?」
「…」
「ごめん。自分のペースあるよな。まきしょーの話に俺が相槌打つわ。」
話し過ぎてしまった、追い込むように話してしまうのは自分の悪い癖だと頭を振り、もう一度緑茶を飲んだ。
「…すいません、まず彼女ではありません。彼女や恋人ってその…明確に付き合おうとか愛の言葉なんかを言い合うのがそうかと思ってまして、告白みたいなものはしてません。」
「うんうん」
「関係的には月2くらいの頻度で2人で会い、メッセージのやりとりもして…るような関係です」
「付き合ってるっぽいじゃん」
「恋人判定って難しくないですか?大体僕達も同じじゃないですか、こうやって2人で会ってメッセージしたりご飯食べたり」
「そうだけどさぁ、男女じゃ意味が違うじゃん」
「航輝さん、そこです、なんで男女じゃ意味が違うんですか?」
「その先が違うでしょ、肉体関係になるとか」
「あー…あー、ああ、なるほど」
まきしょーは1人で気持ちを噛み締めて納得をしていた。
「まきしょーはどうして悩み始めたの?」
「バイトで何回か会うなと思って、二人でご飯食べたりして、そこからバイトが無くても会うようになって…」
「うんうん」
「あまり人の顔ジロジロ見ないようにしてるんですけど、たまたま見た…笑顔が……可愛い………くて……………」
どんどん小声になるまきしょー。
可愛いのはまきしょーだよ。
「とにかく、その辺から、えっと、急に悩んでまって」
「恋のはじまり胸がキュンと狭くなる」
「YUIのCHERRYを歌わないでください」
「俺がキュンキュンだわ!好きなんじゃん!」
「…認めます。女性として好き……なんだと思います。」
「俺がテンション上がってきた。おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「そもそもさー、一緒に居てくれる女の子に恋人なのかな?なんて好きじゃないと悩まないだろ。どうでもよかったら友達なんだよ」
「確かに。すごい。」
「すごくないよ。まきしょーの恋愛観が今バグってるんだよ」
「確かに……、すいません、ではそれを踏まえてもう一つ相談があります」
「受けましょう。告白のシチュエーションとか?」
「相手には好きな人が居るんです」
「おお?」
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