第43話可愛いもの達、迫るクリスマス

 chapter004


「プレゼント……プレゼントかぁ」


 深夜の街を歩きながら私は昨日ユイが発したとんでもない爆弾発言のことを考えながら帰路を歩いてる。


 同じ帰路なのに、今は何故かすごく身体が重く感じてしまう……

 何故だろうか……こんなにも身体が重く感じているのは恐らくプレッシャーから来るものだろうなということがよくわかる。


「皆にプレゼント……皆に、プレゼント……」


 まあ、あの時にサンタさんのことでも伝えてしまっていたら絶対期待をさせてしまっただろうなぁなんて心の中で重く受け止めてしまっている。


 それだとほんとにメンタルがとてつもないことになってしまうっていうのは分かっているんだけど……

 どうしても、皆を喜ばせたいという気持ちが……ほんとに強いからね。


「皆に欲しいもの、聞いてみようかな……特に二人はよく分からないもの言いそうな気がするけど」


 今日のお出迎えは八尺様がいいなと思った私なのであった。



 chapter005


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(おかえりなさい!吹雪さん!)」


「八尺様ぁぁぁぁ!!ありがとうー!!!」


 ほんとにお出迎えで八尺様が来てくれた喜びが爆発しすぎて、勢いよく抱きしめてしまった。

 八尺様の体幹が良くなかったらこんな私のフラフラした身体を耐えられなかったんじゃ……


 やっぱり、八尺様って凄いんだなって改めて分かってしまった。


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(吹雪さん、何かあったんですか?)」


「何もないよ?」


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(嘘が下手ですねぇ、分かりやすいですよ?)」


「へっ?!な、なにもかくしてなんか……」


 まずい、ほんとに嘘をつくのが下手になってしまったような気がする……

 いや、それはそれで酷い気がするけど……まあでも……そうだな……


 バレてしまうのなら、違うことをすればきっと忘れてくれるはず……!!


「は、八尺様……!!」


「ぽぽ(はい?)」


「ぎゅーー!!!!」


 ぎゅっとさえすれば……きっと、八尺様だって忘れてくれるはず……

 というか、サンタさんなんてほんとにいるものなんて教えたら……!!


「かわい、い……です……けど、さんた、さんって、なんです?」


「え、口に出てた?」


「ええ、はっきり、と」


 ああ、これは白状した方がいいやつか……まあ八尺様ならきっとサンタさんのことなんて言わないはずだろうし……

 でも、そうだな話してみるのはありかもしれないな。


「さんた、さん?ってなんです?」


「それはねぇ……いい子に必ず訪れるっていうおじさんなのだ」


「なる、ほど……?」


 ピンとは来てない感じ……ではあるけれど……でもまあ、私もサンタさんいないって言われるまですごいピンと来てなかったし、問題ないか。


「まあ、当日になればわかるよ〜」


「は、い?」


「ふふっ、お楽しみにね〜」


 とりあえず、誤魔化しつつ、私はリビングに行こうとするけど、全然腕を離してくれない。

 どうしたのかな?もしかして、甘え足りない?私も甘え足りないけど……


「その……このまま、行くのは……だめですか?」


「ははーん、甘えたいんでしょ」


「……///」


 可愛いやつめ、まあ八尺様とはそんなに触れ合えなかったからこういう時に可愛い一面を知れるとほんとに嬉しいな……

 そうだ、今度から膝枕とか色々としてもらおうかな……なんて……


「ふふ、吹雪、さんも可愛いですよ」


「……///」


 こういう時に言わないの……全くもう、私の家族は皆可愛いのに私になんでそういうこと言うんですか、全くもう。


「ただいま〜、あれ?」


「ぽ?」


 皆、寝てるのかな?麻宵さんは起きてるけど私には気付かずに本を読んでる感じみたい。

 窓際で読んでるその姿が、

 八尺様も何かあったのかなってちょっと困惑してる感じだけど。


「おう、吹雪、お疲れ」


「ありがとう〜、皆は?」


「みんな?ああ、それなら……」


「うん?」


 なんだろ、何かあるのかな?それともどこかに隠れているとかそういうのがあるのか……

 それが一番気になるんだけど……それは多分後ろとかに……居るとかそういうやつかな?


「「「おーかーえーりー!!」」」


「ぐへぇ……」


 後ろにいるかな……なんて思った瞬間に皆が飛びついてきた……まあ、予想通りだなぁとは思ったけれど……

 でもいきなりやってくるとは思わなかったな……そうか……


 こんなに可愛いとは……このまま昇天してもいいかもしれない……

 いや、それはそれでまだ皆に渡したいもの沢山あるから出来ない……

 目の前で天使が手招きしているのに……


「主様おかえりなさい、って、なんでこんな状況に?」


「えと……わかんないです……」


「なんで敬語……まあ、可愛いからいいですけど」


「それはどうも……って、可愛くないよ!」


 ユイに言われると、なんか悔しいんですけど……まあ、その後ろでなんか私の匂いを嗅いでる人がいるんですけど……


 気のせいではない……あと、みおとあやがなんか力尽きて寝てる感じがするんだけど、それもそれで可愛いな。

 このまま私も……


「寝たらダメですよ」


「えー」


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(まあまあ……疲れていらっしゃるんですから)」


「でも……この幸せな顔を見たら……」


 いいじゃないですか、私だってこういう床で寝てみたいのさ。

 いや、身体痛くなるからやめておこう、こんな可愛いの大渋滞から抜け出してこの可愛い神様2人と一緒に寝たい……


「そうだっ」


「ぐうっ……」


 翼委員長がいきなり立ち上がって、私の顔の前に来た。

 ちょっと、際どい体勢してるのちょっと気になるんだけど……


 いや、なにかお願いがありそうな感じがするのはきのせい……うん、気のせいだ。

 気のせいということにしておこう、そうすればきっと納得できるはず、そうしておこう。


「それでぇ?クリスマスプレゼントは何買ってくれるの?」


「やっぱり……それ言うと思った」


「当たり前じゃぁん、ユイちゃんからって聞いたからね」


「ユイ……」


 ユイの方を見ると、どこか嬉しそうな表情をしつつ私を見つめている……

 いや、嬉しそうな顔をされてもって感じなんですけど……


 麻宵さんも妙に気になってるような感じしてるし……

 八尺様はははーんみたいな感じの顔してるし……これはなんか逃げられない感じだな……


「いいのか?あたしも」


「それはぁ……もちろん」


「ほお、ならひとつだけだお前を選択する」


 ああ……やっぱり、言うと思ったけど……私をプレゼントって、どういうことなんだろうか……


「だめです!それは私が!」


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(私も吹雪さんがいいな)」


「それは私もだね〜」


「三人とも……不可能なことを……いや、絶対あやとみおも同じこと言うよ?」


 そういう時は、私はユイを選んでいっぱいいっぱい色んなことしたいなぁなんて思うけれど。

 まあ……全員からそういう事するのなら……ちょっと期待しちゃうかもしれない……


 だって、大好きな家族からそういうことされるのなら……ねぇ……嬉しいことじゃないですか。

 そうじゃないのかな?まあこの迫るクリスマス……

 どうすれば、皆が喜べるものを渡せるか……そしてどんなクリスマスになるか……


 それが一番不安だ……


「主様……」


「お前は背負いすぎだって言ったろ?」


「あいたっ……」


 なんかデコピンされた……あと、ユイが心配してる感じだし……


 無意識に色々と背負いすぎちゃったか……でもなんかこう思われるのはいい気持ちかもしれない。

 だって、特別な人達にこう思われるのならそれだけでうれしいよ。


「当日……一緒に来てくれる?」


「たりめぇだ」


「はい!」


「私も、いいよ。もちろん」


「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ(無理しない範囲で、ですよ?無茶しすぎるんですから)」


 いい家族に囲まれたな……

 ほんとに、私は幸せ者だ。幸せすぎてこんなに幸せでいいんだろうかってなるよ。


 だけど、それでもいいんだってほんとに思う。


 だって、私達は家族なんだから。



 to be continued




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