断章

断章メルの正体を知りたい

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 遡ること数年前。


 そういえば、凄く気になってたんだけど……メルってどこから来たんだろうか……というか、メルってほんとに人なのかな?

 どこか、怪しい感じがするんだけど……それは、気のせいっていうわけではないよね?


 まあ、それは出会った時の……美しさとか?儚さとか見た感じ……可愛いなとは思ったけどあれは人のあれって感じじゃないのは分かっていたけど……


 でも、聞き出すということが出来なかった。


 それは、どうしてだろう……多分、メルに嫌われたくないとか……そう思っている……というわけじゃないんだけど……

 いや、いやいや……でもでも……

 メルは優しすぎる……から、言っても許される……とかそんなことは思ってない……


「ああ……こういう時なんて言えばいいのか……」


「どうしたの?」


「え?あっ!?いや、え?!なんだ、委員長か……」


「なんだとはなによー」


「なんでもないよ〜、ただ、委員長のおっぱいはいつも大きいな〜って」


「なっ……!!も、もう……吹雪さんは酷いこと言う……///」


 満更でもなさそうじゃないですか〜、まあそういう所が可愛いところでもあるんだよね〜

 うちのクラスの委員長は。


 美波翼みなみつばさ委員長、一言で言えば完璧。

 オールパーフェクトで、全ての科目において彼女を越えることはほぼ不可能というほどの異名を持つほど……ほんとかどうかは分からないけれど。


 でも、眼鏡をかけていて、髪を1本の三つ編みにまとめられていて巨乳である……とか完全に塊でしょう……

 まあ、さぞモテると聞いたけどそれを尽く振っているこの委員長は何者なのかと思ってしまうが……


 だけど、この人は唯一メルの存在を明せるほどの仲というか……友達、といえばいいのかな。

 まあ……メルのことすごい疑ってたみたいだけど……私の行動とか見て納得はしてくれたみたいだから嬉しいな。


「それで……何をそんなに悩んでたの?」


「それは……メルのこと……」


「メルさんの事か……でも、メルさんのことならに色々とわかったんじゃないの?」


「それは……そうだけど」


 思い出したくもない……メルが、どういう存在なのか……

 、怪異と呼ばれるものと戦っていたということを知った時には……驚愕はしたけれど……


 まあ……でも全然驚きもしなかったのが私の驚きのところでもあるんだけど……

 でも、それ以上に人か、人じゃないのか……とかそんなくだらないことを考えてしまって……どうしたものかと今考えに更けていたということを翼さんに伝えてみた。


「なるほどね……まあ、たしかにこんなに仲良くなってるのに失礼な事なんて聞きたくないよね 」


「まあ、それもあるけど……それで幻滅とか嫌われないか……とか……」


「あー、まあそれはたしかに考えちゃうかもだけど……」


「まあ、めんどくさいだろうと思われるかもだけど……でも私は、メルにはそんなギスギスした関係でもありたくない……と言いますか」


 と言うと、委員長はなんだか呆れたような顔をしている。

 呆れさせるようなこと……言ったかな?


 いや、もしかして……


「そう、そのまさかだよ。はぁ……貴方たち二人は命を預けあった仲なんでしょう?それに……メルさんはあなたの事嫌うわけない、というか絶対笑い飛ばして受け流してくれるよっ」


 笑い飛ばすって……たしかにそんな感じがしてきたなと……薄々思ってしまう。

 やっぱり、メルって優しいのか細かいことは……気にしないのかな?


 それとも、可愛すぎてそういうことは備わっていないとか……

 いや、それはバカにしすぎか……でも可愛すぎて人を狂わせてるからこそあの子は反則と言えるだろうな。


「まあ、メルさんがなんて言うかは分からないけれどね〜」


「そりゃあ……私だって分からないけれど……でも、いいアドバイスくれてありがとっ」


「そんなそんな、全然いいこと言えなかったよ?」


「そんなことないっ、翼委員長は私の事なんでも知ってるんだからありがたいよ〜」


「もう、またそんなこと言って……」


 翼委員長はほんとに可愛い。

 一部には地味とか何とか言われてるけど……あんなに可愛い子他に居ないだろうな……と思うほどなのだから。


「随分と楽しそうだねぇ」


「「?!」」


「吹雪は、相変わらずいい女だよ。それに、翼は翼であたしにどんな印象を持ってるのか気になるくらいだけど……まあいいよ、で……誰が可愛すぎてほかの機能が備わってないアホだって?」


「そこまで言ってない……」


 というか、いつからその教壇の上に座ってたのさ……すごい気づかなすぎて驚いたんだけど……


 まあ……その座り姿も右膝を立てながらそこに手を乗っけて左足をぷらんとさせながら座っているという……なんともかっこいい座り方をしているところや風になびく金髪はとても綺麗に見えた……


「そんなこと思ってないでしょ?」


「聞こえてるんだよ、全く……」


「聞こえてるって、思考でも読めるの?」


「あ……ま、まあ……吹雪の考えてる事は……わかるよ、ある程度」


 なんか怪しい……いや、どうしてここに来たのかっていうのが気になるけれど……

 でも、メルの事だ……きっとなにか意味があるんだろうな〜


「意味なんてないよ」


「え?」


「吹雪に会うために来たに決まってんでしょ?」


「?!///」


「まあ……」


 な、何言って……いや、え?ちょっと……何言ってるの……?!

 メル……私に会いに来たって……いや、それは……それはいきなりすぎるよ……


「冗談だよ」


「な、なんだ…全く……」


「なにか始まると思った……」


「翼、何が始まると?」


「それは……百合の花が咲きほこるようなこと?」


 メルとこういうことが起こるのだとしたら……それはそれでありなのか?

 いや、あくまで私たちは……だからそういうことは多分絶対起きない……

 はずだ。


「はずってなんだはずって……まあいいが、それで……?あたしのことをなんか話してたんだろ?」


「え?ま、まあ……聞かれてたんだったら……しょうがないけど……」


「そんな渋ることなのか?」


「そりゃ……私達の関係とか、さ……悪くしたくないし……」


 委員長が見守る中……私はメルが何者なのか……それを聞こうと思う。

 というか……さっきの私の言い方って……


「お人好しだなぁ、相変わらず」


「それは……メルに言われたくない」


「ん?そんなことないぞ?あたしはあたしだし」


 サバサバしてる、まあ相変わらずだけど……そこがこの子のいい所だし……素敵だって思うところでもある……

 ほんと、メルってすごいんだなぁ……と改めて実感できるよ。


 いや、実感メルはメルで気づいてないけれど可愛くもあり優しくもある。ちょっとツンデレなところがあるけれどとても素敵な子だって……私は思うかもな……


「まあ、お前の考えてる事は……だいたい分かった」


「あ、大体なんだ」


「物事なんて大体分かればいいんだよ、翼は分かろうとしすぎだよ」


「それは……言えてるかも」


「だろ?だから、あたしの正体なんて知ろうとするな」


「「?!」」


 やっぱり……それはバレてたかぁ……

 まあ……可愛いとかそういうこと思ってた辺りから聞いてるとなると……多分だけど、メルが聞いてても不思議ではないか……


 まあ……聞かれてても聞かれてなくても可愛いからどっちでもいいか。


「教えて……くれないんですか?」


「教えてくれない、ねぇ……まあそのうち教えてあげるよ……だけど……その時あたしは知らないからな」


 そう言い、メルは教室の外から居なくなってしまった。


 なんというか……嵐がやってきて……嵐が去ったような気がした。

 なーんだ、一緒に帰ってくれると思ったのに。

 ケチだなぁ、メルは……


「どうする?予想……してみる?」


「うーん……今はいいや、とりあえず……帰ろっか」


「うん、そうだね」


 嵐の去ったような教室は、夕日に輝いていて……とても、とても綺麗で……眩しくて……

 とても、素敵に思えた……まるで、この世の景色とは思えないくらいだった。


 そして私達は、委員長と一緒に、帰路に着くのである。

 もちろん、メルが待っててくれたから嬉しかったけどね。



 TheEND

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