第2章新しい家族達
第15話ユイの発散期
chapter001
もふもふの毛並み、もふもふなしっぽ。
それが、両サイドに広がるこの幸せな空間……
こんなに嬉しいことは無い……
いや、嬉しすぎて……そろそろ血が足りないくらいだ。
そう思うほどこの空間は最高すぎた……
いや、いやいや……待て待て……
落ち着け、落ち着きなさい宮野吹雪!私はまだまだ冷静なんだ……
この可愛い二人に囲まれて取り乱すなんて、そんなわけが……
「もふもふ……もふもふが……二人、この空間は、致死量すぎる……」
「はぁ……主様はまたそんなこと言って、冷やされたいですか?」
「そ、そんなわけ、ないじゃん、冗談だよ〜」
「全くもう……みお様達も協力しなくて良かったんですよ?」
「まあ、吹雪がいいならいいんじゃないのか?」
「みおは〜、ふぶきが喜んでくれたらそれでいいの〜」
ああ……癒される……
最高だなぁ……みおはほんとに癒しの存在だし……麻宵さんは麻宵さんでとても優しいし……
ユイはほんとにこの2人を見習って欲しいくらいだよ〜
まあ、ユイも可愛いからいいんだけど〜
「か、可愛く、無い……不意に言うのはずるいです……」
「え?不意にって……」
「いってたのっ、ゆいもかわいいって!」
「まさか、ここまで大胆とはなぁ……」
「そ、それほどでも……」
皆が、そう言うと……ユイがなんだか震えてる感じがするんですけど……
もしかして、また照れ隠しで冷やされるやつです……か?!
というか、なんか凄い無言で近づいて来てるんですけど?!
しかも凄い怖い表情で……なんか、ハイライト消えてるし……
ああ、これは……逃げられることは、無いのか……
「主様ぁ……可愛いって……言ってくれるのはいいんですけどぉ……」
「は、はい……?」
「たまにはぁ……その……」
あれ……これって……怒られる流れじゃ……無いって事……だよね?
それは、分かるんだけど……でも、なにか……いつもとは、違うような……
「もう〜、察しが悪いなぁぁ……」
「二人とも……離れた方がいい」
「へ?」
「どうしてだ?」
多分これって……怪異だけに見られる、あの時期になってるってことか……?
いや……段々ユイの顔を見てると赤くなってるし……風邪っぽいような感じでフラフラとしていた……
しかも、これは……過去の感じからしたら……多分……
あれがきたのか……
「ど、どういうことだよ」
「うちも、気になるの」
「まあ……一言で言えば……一部の怪異にしか来ない……発散期……かな?」
「はっさんき……?」
やっぱり、みおは知らないみたいだ。麻宵さんはどうやら、知ってるような感じがするから説明はしなくてもいいだろう。
「と、とにかく、わたしから離れて……!」
「わかった、行くぞ、隣で説明してやる」
「う、うん……なの、ふぶき……大丈夫……?」
「うん、私は大丈夫だから……!!」
そう言い、みお達は隣の部屋に移動した。
まあ、どんなものかを見てもらうっていうのもありだったけれど……
まあ、いいか……
「ぬーしーさーまーっ」
「うわぁぁっ……っと、ユイ……?大丈夫?」
「へー?だぁいじょうぶれふよ〜」
ぴとっ……
や、やっぱり……触られる……というか、冷気に触れている感じか……
そういえば……最近発散に付き合ってあげられてなかったからなぁ……
そこは反省かな。
「むー、なんでわらってるんですかぁ」
「わ、笑ってるって……そ、そんなわけ、はひっ?!」
冷たい手でほっぺを触られたことはあるだろうか。
もちろん、ある人間からしてみればとても冷たいのは分かるだろう。
だがしかし、今させられているこの状態というのは……それよりもかなり冷たい手で触られているから凍えそうになっているのだ……
でも、ユイが発散出来るなら……付き合ってあげるしかない。
「んー……んへへ……」
「可愛い……へっ?!」
「んー……」
わ、私の首筋に、キスをしてきた……?!
しかも……あの跡がある所に……そこにはされたくなかったからちょっと……やめて欲しいかも……
まあ、そんなことお構い無しに、私にキスをしてくるなんて……相当溜まってたんだろうな……
「ごめん……」
「……」
無言で冷気を極限まで放出してきた……
いや、もしかしたらものすごく怒ってる可能性が高い……
しょうがない……最後まで付き合いたい……けど……
「さむっ……」
いや、寒いじゃ済まない並の人間なら絶対即死だ……
それを耐えるとか……
ほんとに私の身体は……
でもやっぱり、あの跡を見て一番嫉妬するのはたしかにユイだからな……
私も、なんでこれを残してるのかなんて……不思議だけれど……
でも、これは……あの子……メルが残した、唯一の形見だから……
絶対に……無くしたくない……
「刻印……提示……」
「ちょっ、ユイ?!」
「紫紺、亞混、混沌、破壊……」
最大の凍結術を使おうとしてるとか……どれだけ嫉妬してるのさ……!!
ここは止めないとな……!!
ユイの主様として……そして、家族として……!!
「ちょっと……止まれぇぇぇぇええ!!!」
ガツッ……
「あっ痛っ……!!」
「ふへ……」
鈍い音がして、私の頭は凄く痛みにやられてしまっているけれど……
でも、なんというか……これで何度も止めてきたからこそ……力技と言っても過言ではないが……
ああ……頭突き程度何とかなるのが……ほんとに、ありがたいけど……
でも、とりあえず……ユイは、何とか気絶してくれた。
これ以上、何度も何度も頭突きをするなんて嫌だから……ほんとに、一発で気絶してくれて良かったと思うばかりだ。
「なんとか……なったの?」
「すぅ……すぅ……」
ユイが眠ると、辺りの冷気は霧散していく……恐らくこれが、発散期の終わりだろうか……
まあ、終わるのが早いからまたいつ来るかなんて分からないけれど、多分またすぐ来るだろう。
だからその時にまた……私はユイを止めれればいいかな……
だけど、その時まで……効果が残ってるかなんて言うのは分からないけれど……
chapter002
「お、終わった……?」
と、扉を開けてみおがひょこっと……覗いてきた。
また……それが、可愛い……
いや、可愛すぎて……ほんとに無理。
可愛すぎでしょ……
「うん、終わったよっ。寒くない?大丈夫?」
「うちは、大丈夫っ!それよりふぶきだよ!さむく……ないの?」
「うん?うん、ぜーんぜんっ」
「そ、それなら……よかったの……」
そう言うと、みおは私の膝元へとやってきた。
あらあら……私が心配でやってきてくれるなんて……ほんとにこの子はいい子だなぁ……
特に、こうやって心配してくれてるとかほんとに嬉しいことなのにそれを当たり前にできるのはいいことなのだからこそ……だから。
「はぁぁ……可愛い……」
「んん……」
「あはは……ごめんごめん、ユイも撫でてあげないとだね」
「んへへ……」
意識があるのか……無いのかは、分からない……けれど、でも……撫でて欲しいってことはよくわかった。
それで、凄い笑顔になっているからか……まあ分かってるのだろうな……
それにしても……やっぱりこうして見ると、ユイは可愛いなぁ……
「あ……」
「ん?」
「ううん、なんでもなーい。けど、えへへぇ……」
可愛い……
え?何この子……この、不意にやられるんだけど……ちょっとこれは……ほんとに……この子って……天使なの?!
いや、可愛すぎてそろそろいたりそうなんだけど……ほんとにそれだけこの子とんでもない子だよ……
「まあ、みおが可愛いのは分かっている事なんだが……」
呆れた顔をしながら、麻宵さんが私の前にやってきた。
どうやら、なにか言いたそうな気がするのんだけど……
なにか、問題でもあったのかな?
「ん?どしたの麻宵さん」
「呑気な顔だな相変らず……まあ……こんなに真剣な声をしてるということはどういうことがわかるな?みお、吹雪」
「しんけん?どういうこと?」
「お前も本当は気づいてるはずだろう?」
「……」
やっぱり……そこに気づいちゃったかぁ……
いや、気づかれたくなかったんだけどなぁ……まあ確かに……気づかれるのも時間の問題とか思ってたからしょうがないけど。
だけど……私はこれを話さなければいけない時が……必ず来るとは思ってたから……
しょうがないんだろうな……こればかりは。
「なあ、吹雪。隠し事はなしで教えてくれ。その首の跡とお前は……何者なのか」
「それは……全部?」
全部は……話せないこともある。
だって、それは……私がずっと忘れたかったこともあるから……私は、少しでも話さない……なんて選択が欲しいと思ってしまった。
「……全部、うちも知りたい」
「みお……」
「だって、大好きな人の事……知らないなんて……悲しいじゃん」
みおも、こうして真剣に言ってくれているんだ……
それならば、話すしかないな。
みおに、麻宵さんに……
私の、全てを。
「わかった、いいよ。教えてあげる。私の事」
to be continued
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