バットモーニング

チュンチュン…


鳥の声はするものの、俺はしっかりお昼頃に目が覚めた。


直人は見事に寝ている。あの先生がこんな無防備に俺の隣で寝息を立ててるとは、信じられない光景である。


(どうやって起こすの?)


俺は試しに直人の腕を掴んで、持ち上げてみた。全く動じない…

そして何を思ったのか、軽く彼の腕を噛んでみる。


『いったぁっ⁉︎』


直人は驚いて飛び起きた。


「おはよう…昼です…」


『びっくりしたなぁ…なんで⁉︎急に噛むの⁇』


「叩くよりはいいかなって思って…それに愛情表現だって先生言ってたじゃん…」


『そうは言ったけども…おかげでバッチリ目覚めたけど…』


直人はベッドから立ち上がると置いてあったハットをかぶってメガネをかけ帰る準備を始めた。


「帰るんすか⁇これから仕事でも⁇」


俺は少し寂しくなってしまい顔に出ちまう。


『まぁね…もう学校の先生はやってないんだけど、放課後の学生たちが集う塾の講師やってるから、帰ってシャワー浴びて準備しないと…』


「そうすか…もう先生じゃないんだ。でも先生みたいなもんには変わりないっすね…」


『そうだね…じゃあお邪魔しました。またね〜♪』


「ま、た…」


俺が手を振るも急いでるのかこっちを見ずに、玄関からそそくさと直人は出て行った。

俺よりはまともでマシな仕事だ。そりゃ急ぐよね。大事だよな…


俺はだいぶ後だ。夜が本番なんだからと二度寝するしかなかった。


「またねだって…また会ってくれるんかなぁ…」


そう思ったら笑みが勝手に溢れていく…

やっぱ俺、先生のことずっと…


先生も…俺のことずっと⁇


わざわざ会いに来ようと思うか?他に生徒はいっぱいいたのに…


今度は渡せなかった手紙渡せたらいいな…


そんなことを考えながらまた眠りについた。

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