高校の話
俺の高校は男子校で、私立なので生徒の服装には厳しいし、進学コースなどもあるので校則も様々。そもそも真面目な生徒ばかりが集まっているので厳しくしても誰も破らないけどね。俺は何故か滑り止めで受けたら通ってしまって、結構アウェイな感じだった。でも、頭は悪いわけでも特別良いわけでもないので卒業はできたってわけだ。
しかし、性格が厄介で…
誰かを笑わせたいとか、1人でいる奴をほっとけないとかそんなんだから、目立っちゃってしょうがなかった。それをウザがる真面目くん達には影でコソコソ色々言われてたもんだ…
そんでもって逆にだ。私立だからか先生側はとっても自由だった。まぁ真面目な教師が多いから、髪型もきっちりしてたり、ちゃんとスーツを着てる先生が多かったが、服装にルールはないので、体育教師とか美術の先生などはラフな格好が多かったかな…
そこで目立ってる“奴”が1人いた…
生物の先生“影山”だ。いつもしっかり白衣を着ているのだが、無精髭を生やして、長髪を結って、眼鏡をかけている。髭を剃らない教師は彼ぐらいだったから目立つ。生徒達もコソコソと「髭剃らないのかよ…」とか言ってたのをよく聞いてた。俺は髭生やしてみたいなとか思いながら見てたっけなぁ…
まさに“イケオジ”って感じだった。でも彼は当時一応20代だったか30代だったはず…
「今日の授業はここまでと…あれ?終わりまでまだ時間あるな…じゃあ、ここからはおまけの“生物雑学タイム”だ‼︎」
生物の授業恒例のチャイムがなるまで雑学を聞ける時間が始まった。他の生徒達は皆だるそうだった。小声で「早めに切り上げるとかしろよ〜」とか聞こえてくるが先生はお構いなく、むしろ授業の時間の時よりウキウキと目を輝かせて語り始める…
「動物界ではね〜最上級の愛情表現ってわかるか⁇彼らは四足歩行などが多いし、子供を運ぶのも子が親に抱きついたりするのが当たり前だ…人間のようにハグするとか言葉で伝えるなどできないだろ⁇なんだと思う⁇」
先生が皆に聞くもやっぱ興味なさげ…
1人やんちゃそうな奴が手を上げた。
「君‼︎答えをどうぞ⁉︎」
『キス‼︎』
「口と口をつけるなんて普通だろ。親鳥が雛に餌をやる時なんて口移しするだろ…」
やんちゃな“仲田”はウケると思って発言したが、案の定教師は真面目に受け流す…
もう誰もやる気も聞く気もなさそうなのを見かねて、先生は答えを出す。
「答えはね、“噛み付く”なんだよ。ペットを飼ってる家の子は、よくあるんじゃないか⁇あんなに可愛がってて良い子だったペットが噛んできてショックを受けたとか…あれは実は愛情表現だったりするんだぞ…」
キーンコーンカーンコーン♪
チャイムが響いた。先生はまだまだ語りたいのにと不満そうな目でスピーカーを見つめる。生徒達はやっと退屈な時間が終わったと両手を上げて伸びたり素早く片付け始める者もいる中、俺は真剣に聞いてた。むしろまだまだ聴いていたいぐらいだ。
「では、今度こそ授業は終わりです。続きはまた機会があったら話すからよろしくな〜じゃあ‼︎」
先生は教室を去っていく。
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