九十九異能者物語 “氷柱”

白木飛鳥

第1話「雪柱氷柱は○○である。」

20XW年11月22日9時44分。茨城県水戸市龍神神社。


ここは、龍神神社(たつかみじんじゃ)。俺はそこの近くに住むおっさん(22歳)だ。

ただのおっさんだ。名前は、雪柱氷柱(ゆきばしらつらら)という。

日課の散歩コースでこの神社にお参りに来ている。

仕事は、一カ月前に突如社長が蒸発して無くなった。いわゆる無職だ。


「あれ??また来てるのかな?氷柱君。」

「ん??まぁな。行くとこもねえし、家にいてもやることないしな。」

「あはは。まぁそれもそうか。仕事はどうなの??見つかりそう??」

「あぁ・・・。まぁ、4年働いて貯金も相当あるしのんびり探すか・・・。」

「それがいいね。氷柱君、頭もいいし会社とか立てたら??前の会社の後輩とか??」

「俺は、4年ずっと年下で新入社員いなかったぞ・・・。」

「ずっと新人扱いか。まぁ私もそんなに変わらないか・・・。」

「まぁ、雪野が一緒に来てくれるなら立ててやってもいいがな。」

「え??私が??でもな・・・時間あまりとれないし・・・。」

「冗談だよ。雪野はその龍神巫女装束がとても似合うさ。スーツは似合わん。」

「え???」


この巫女装束をまとった絶世の美女は、雪野雪乃(ゆきのゆきの)、一個下の21歳。

高校時代からの知り合いだったがちゃんと話すようになったのは最近だ。

龍神神社の巫女装束は一般的ではない。青い竜とバラが描かれた装束だ。


「そういえば、青薔薇祭の準備はもう大丈夫なのか??」

「それはもう終わっったんだけど、剣舞の儀に出てくれてた山本さんが腰痛めちゃったから結構ピンチなんだよね・・・。」

「あれ??雪野、剣道部だったじゃん。駄目なのか??」

「私は当日、受付でいなきゃいけないのよ。」

「そうなのか・・・。」

「氷柱君。暇だったら・・・・。あ、ごめんなさい。」

「あってるから謝るな・・・。まぁ、考えてはおくよ・・・。」


そういって、俺は龍神神社をあとにして自宅に戻る途中だった。


20XW年11月22日10時40分。自宅まであと10分。


プルルルルルルル(電話が鳴る音)


「はい、こちら雪柱。」

「もしも~し。お母さんだけど。ちょっといいかしら??」

「あぁ、どうした??買い物??」

「いや、あんたあてに荷物があってね。実家の方に届いたから時間あるときに取りに来てほしいのよ。送り先は誰だかわからないんだけど・・・。」

「あぁ、わかったよ。今度行くわ・・・。じゃあな。」


20XW年11月22日11時44分。自宅。


ピンポーン!(家のインターホンが鳴る音)


「は~い。」


送り先不明の小さな箱だった。何かずっしりしたものが入ってる気がした。

開けようとした時だった・・・。


プルルルルルルル(電話が鳴る音)


「はい、こちら雪柱。」

「もしもし、氷柱君。ごめんね。ちょっと急ぎで神社に来てほしくて・・・。お父さんが・・・。」

「わかった。車で向かう・・・からあと5分待っててくれ・・・。」

「ごめんね、気を付けてきてね・・・。」


20XW年11月22日11時49分。???。


「そろそろ届いたころじゃないか??雪柱。」


バン!

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