第36話 アリスと新たな仲間

 多くの人々が協力し合い、街の半分は復興した。元通りというほどでは無いけれども、前の美しさが戻ってきているように感じる。

 アリスと神威は治療してもらった。街の復興の手伝いをしながら、国を出る準備を進めていた。

 そして、国を出る一週間前のことだった。ルークから大切な話があると呼ばれ、アリスと神威はルクスとともに復旧途中の噴水へと向かった。

 噴水は、もう形自体は大体できていて、後は水の魔石を埋め込めばいいらしい。けど、外交が難しい状況だから魔石が入手できにくいらしい。

 噴水の近くのベンチに座ると、ルクスは不安と期待の表情を浮かべて、話を始めた。


「ウロボロス教団には思うところがありましてね、ですが戦うにも私一人では無力だ。だから」、二人の冒険に同行させてほしい」

「いいよ」

「え、そんなあっさり決めていいんですか?」


 アリスの即決にルクスの方が逆に驚いている。


「え、うん。別に良いよ。神威もいいよね?」

「もちろんでござる。よろしく頼む」


 神威はルクスに手を差し出す。ルクスは差し出された手を握った。


「あっ!」


 そこで急にアリスが声を出した。


「どうしたでござるか?」

「ルクスって国の重役だったよね?あとソロモンの指輪の契約者だし...その辺は大丈夫なの?」


 ルクスはアリスの疑問に笑顔で答えた。


「はは、そんなもの事後報告に決まってますよ」

「...そう決まってるのですか?」

「そう決まっているんです」

「...とりあえず、許可をもらいましょうか」


 話はそれからだ。

 ルクスは、ステラのいない今、実質この国の実権を握っているフラマに許可をもらうために、中央の塔へと行くらしい。その時にアリスと神威も一緒に来てくれとの事だった。

 教会内は一部一部未だに修復されていないが、半分程度は修復されていた。

 フラマの執務室は三階の奥の部屋にある。

 その部屋の前に行き、ルクスは扉をコンコンと叩いた。


「どうぞ」


 扉の向こうからフラマの声が聞こえる。それを聞くと、ルクスを先頭にして「失礼します」と入っていった。

 中にはフラマが真ん中の椅子に座っていて、それに向き合ってルークが立っていた。


「これはこれは、おそろいでどうしました?」

「私の今後についてです」

「まぁ、まずは俺のことが先だ。俺は魔界に行くことにした」


 ルークはそう言った。魔界に行くと。

 魔界。この世界の裏側。そこには、悪魔の住まう場、この世の負のたまり場、邪なる場所、罪人の魂が集まる場所、地獄と言われる場。

 そんなところに行こうというのだ。いや、彼の契約している天使のルシファーだって天から追放された後、地獄に行って魔王となった。

 そう考えるのならば、彼が魔界に行くというのはさらなる力を得るためなのだろう。


「その間、貴方の仕事はどうする気なんですか?」


 フラマはため息交じりに言うが、ルークはあっさりと答えた。


「モアーズにすべてを任せる」

「だと思った...彼は了承してるの?」

「いや、してないけど」

「当たり前っすよぉぉぉ!!」


 大きな声とともに扉が大きく開かれた。


「自分はルークさんについていくって決めてるっす。それがエデンであろうと地獄であろうと。貴方がいるところが自分の場所っす」


 恥ずかしげもなく、モアーズはそう言い切った。

 ルークはそれを聞き、苦笑した。


「じゃあ、俺ら魔界行くから後の事よろしく。フラマ」

「ねぇ、結局私の仕事が増えてるんだけど...」

「まぁ、俺の部下を昇格でもさせたらいいだろ」

「そんないい人いましたかねぇ」


 とりあえず、結論が出ずにその話は後回しになった。


「では、遅くなりましたがルクスについて聞かせてください」


 フラマはルークからルクスへと視線を移した。


「私はウロボロス教団と戦うために、アリスと神威とともに生きたいと思っています。どうか、旅立ちの許可を」


 フラマは大きくため息をついた。


「また私の仕事が増えるね。でも、そう言ってくると思ってたし、そのための特別隊肌好きだったしね。いいよ、ルクス。ついでに世界を見て回るといい。色々な場所から多くの者を学んできなさい」

「はいっ!!」


 フラマはルクスから視線をこちらへと移した。


「それでは、ルクスをお願いします」

「はい、共に高みを目指します」

「ふふ、それは良いですね。あぁ、それといつ頃この国を出発する気で?」

「そうですねぇ、どうする?」


 アリスは神威の方を見た。


「一週間後。いや、三日後に出るでござる」

「三日ですか?また、お早いですね?」

「できるだけ早く祖国へと戻りたい故」

「そういえば、そうでしたね」


 そして、アリス達は部屋から出ていくのだった。



―――――

次回、一章完結

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