第24話 古代遺跡と新たな敵

 ――

 砂漠の遺跡へ


 王都を後にした俺たちは、数日かけて東の砂漠を進んでいた。

 魔王が消えた今も、この世界は決して穏やかじゃない。砂嵐に飲み込まれそうになりながらも、俺は背中の鍋を背負い、決意を胸に歩いていた。


「お兄さん、お腹すいたー!」

 ルナちゃんが杖を肩に担ぎながら叫ぶ。


「まだ朝だろ。っていうかさっき食べたばっかじゃないか」


「砂漠歩いたらお腹減るに決まってるじゃん! ねぇスープ!」


 ロイドさんがため息をついた。

「ルナ殿、勇者様をスープ製造機みたいに扱うのはどうかと思うぞ」


「だってお兄さんのスープは世界一なんだもん!」


 ……まぁ褒められて悪い気はしないが。


 そんな中、砂漠の奥に巨大な石造りの遺跡が姿を現した。塔のような構造物が砂に埋もれ、黒い鳥が不気味に飛び交っている。


「ここが……古代遺跡か」


 俺がそう呟いた瞬間だった。


 ――

 襲撃


 ズズズッ……!


 砂の中から黒い影が飛び出した。人型の魔族――魔王軍の残党だ! 目が赤く光り、刃を構えて襲いかかってくる。


「お兄さん! 敵だ!」


 ルナちゃんが杖を構え、ロイドさんは剣を抜く。


「くそっ、やっぱり残党がいたか!」


 俺は急いで鍋を取り出し、食材を放り込みながらスキル《料理》を発動する。


「出てこい、新作スープ! 《ドラゴンブロス・改》!」


 鍋の中で炎が舞い、黄金色のスープが完成した。ルナちゃんとロイドさんがそれを飲むと、体から光が溢れ出す。


「うわっ、なにこれ!? 力が……体が軽い!」


「剣が……冴える!」


 魔族たちは一斉に突っ込んでくるが、ルナちゃんの炎の竜巻が敵を焼き払い、ロイドさんの剣が光の残像を描いて敵を切り裂く。


「お兄さん、このスープ、やばいくらい強い!」


「だろ? 魔王討伐後に改良したんだ」


 俺は次々とスープを作り、兵士たちにも振る舞う。戦いは一気にこちらの優勢に傾いた。


 だが――。


 遺跡の奥から、巨大な魔族が現れた。全身を黒い鎧で覆い、魔王軍四天王の一人だったと言われる男だ。


「貴様らが魔王様を討った勇者か……許さん……!」


 その声だけで地面が震えた。ルナちゃんは顔を引きつらせながらも、にやりと笑う。


「お兄さん、この人たぶんめっちゃ強いよ。でも……勝てる気しかしない!」


「根拠は?」


「スープ!」


 ……まぁ、確かにそうだな。


 ――

 新たな力


 四天王の剣が振り下ろされる瞬間、俺は鍋に最後の食材を投入した。


「出てこい……《フェニックスシチュー》!!」


 炎の鳥が鍋から飛び出し、スープを飲んだ仲間たちの体に宿る。光り輝く翼を背負ったロイドさんが剣を振るい、ルナちゃんは炎の女神のような魔法を放つ。


「これで終わりだあああああ!!」


 四天王は炎と光に包まれ、断末魔の叫びをあげながら消えていった。


 砂漠の風が止み、遺跡は再び静けさを取り戻す。


 ロイドさんが剣を収め、肩で息をしながら言った。

「勇者様……スープの力、恐るべしだな」


 ルナちゃんはスープをおかわりしながら、満面の笑みを浮かべる。

「お兄さん、この調子なら世界中の敵、全部スープでやっつけられるね!」


 俺は苦笑しながらも、遺跡の奥を見据えた。


「でも、まだ終わってない。古代遺跡の秘密が残ってる。たぶん……次はもっと厄介なことになる」


 砂漠の彼方で、黒い雲が渦巻き始めていた――。

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