🗻第4首 田子の浦に🗻

田子の浦に うち出でてみれば 白妙の

富士の高嶺に 雪は降りつつ(山部赤人)


海原を渡る風が、夜の帳をひらいた。

田子の浦の沖から見上げると、月明かりに浮かぶ白き峰。

その高嶺には、絶え間なく雪が舞い降りていた。


星のきらめきと混ざりあい、雪片は光の粒となって降り注ぐ。

まるで天と地をつなぐ道が、静かにそこに描かれているようだった。


その光景に心を奪われ、時を忘れる。

小さな悩みや、今日の痛みさえも、雪の白さに溶けてゆく。

ただ、果てしない静寂と輝きだけが、胸を満たしていた。


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