キムチとごはん
談一也
キムチとごはんはとってもなかよし!
キムチとごはんはとってもなかよし。
今日もふたりは、かくれんぼや鬼ごっこをして、元気に野山を駆け回っています。
ひとしきり遊んだあと、一休みしようと、小川の水場に行くと、ひとりの男が倒れていました。
「おじさん、大丈夫? 生きてる?」と心配そうにキムチが声をかけました。
「大丈夫……じゃない……記憶がなくて自分の名前も思い出せない……気が付いてから丸二日、水しか飲んでない……」と男は弱弱しく答えました。
「それじゃあ、とりあえず、私たちを食べてよ!」とごはん。
「思い……出したんだ。僕(私)たちは、人に食べてもらうために、産まれてきたんだ」とふたりがハモりました。
「いや……でも……ほんとうにいいのかい?」
「僕は白菜も魚醤もニンニクも唐辛子も全部、国内産だけど本格派でおいしいよ!」
「私は備蓄米で味は新米に負けるけど、キムチと食べるとおいしいよ!」
「ありがとう……では遠慮なく……(ハフッ、ハフッ、ムシャ、ムシャ)」
「大好きなごはんちゃんと、ひとつになれて、とってもしあわせだよぅ」
「記憶が戻らなくても、これからの人生を、E&E(エンジョイ・アンド・エキサイティング)してね」と半分お腹の中のごはん。
やがて、キムチごはんを完食した男は、食器を水場で洗いバッグにしまうと、遠くかすかに見える村に向かって歩きはじめました。
キムチとごはん 談一也 @dankazuya
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