思い出の武器
俺の名は――一ノ
かつて世界は一度、滅んだ。
それでも俺は、生きている。
見上げれば、雲を裂く青空。見渡せば、海に抱かれた島国。
四つの領土に分かれたこの孤島――
なぜ滅んだはずの世界で俺たちは生きているのか?
あの日、世界が終わったその日に現れた特務機関【4444《クワトロフォー》】。
俺を含む子どもたちは保護され、カプセルに眠らされた。そして目覚めたのは十年後。
目覚めた俺たちだけが、この肆国で生き延びている。
大人たちはほとんどいない――だから戦うのは俺たちだ。
「蒼斗さーん! 海と空からネバー襲来っす!」
声が響いた瞬間、俺の体が熱を帯びる。
ネバー。世界を喰らった未知の怪物。
「全員集合!」
ここ、
カプセルの子どもたちは戦士に鍛え上げられ、討伐に出る。
俺はその学校代表――仲間の先頭に立つ者だ。
「各チーム、いつも通り落ち着いて対処しろ! ……ビックネバーは俺が行く!」
返事を待たずに俺は走り出す。
ネバーは群れで来る。その頂点に立つのが《ビックネバー》。
『メモリアル、起動。』
言葉と同時に、両手のグローブから閃光がほとばしる。
現れたのは二本の刀――右は長く、左は短い。幼き日の記憶が形を取った、俺だけの武器。
「蒼斗さんのメモリアル、いつ見てもピカピカっすねー!」
仲間の声が背に届く。
俺はただ頷き、刀の束から青い光を噴き上げ、空へと舞い上がった。
二刀流、そして飛翔。
この特異な力のおかげで、俺は代表に選ばれた。
――あの日の後悔を、二度と繰り返さないために。
目の前に現れたビックネバーは、羽を持つ巨鯨。
咆哮とともに口から光の砲撃を吐き出す。
「上はがら空きだ。」
俺は刀を構え、叫ぶ。
『メモリアル、解放!』
刀身が閃光を帯び、白青の軌跡を描いて伸びる。
「一刀両断!」
振り抜かれた刃が、巨鯨を空から真っ二つに裂いた。
断末魔の咆哮を残し、ビックネバーは海へと沈んでいく。
『蒼斗さん、こっちも片付きました!』
仲間の声が通信に弾む。
俺は刀を見つめ、静かに誓った。
――もう二度と、あの日の後悔は繰り返さない。
必ず、この世界のみんなを守ってみせる。
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