5話 港町と心のもやもや


 王宮の外。

 港町への小旅行です。

 アミーナは、アリーとともに初めての海を見にきました。

 風は心地よく、空は広い。

 けれど、姫の心は晴れませんでした。



 王女アミーナの目は、海ではなく、遠くの王宮を見ていました。

「やはり、父と母は仲が悪いのだろうか」



 精霊アリーがそっと答えました。

「今日は港町で遊べる一日ですよ。一緒にアイスでも食べましょう」

「……うん。そうだね」



「……でも、なんだか楽しくないんだよ」

「姫様、それは……心が疲れているのです」

 風が吹いても、姫の心は揺れたままだった。



「ずずーん……」

「姫様、擬音で落ち込まないでください」

 精霊のツッコミが、少しだけ姫を笑わせた。





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