文字が無くなるまでに。
mio
携帯小説のような誰かの想い。
白く曇った窓ガラスに、指で文字を書く。
ただ思いの丈を書く。
当然、返事は無い。
「あなたが好きです」
行き場の無い、この想いを消化したくて書いてみた。
あまり効果は無い。
報われることが無いことは、わかっていた。
きっと今頃、彼の告白は上手くいっているだろう。彼に彼女ができれば、もう相談にのる必要も無い。
相談にのる仲のいい友達、という立場を利用して浅はかな夢を見た。
自分が彼女になる夢を……。
そんなことは、あり得無いのに。
窓ガラスの文字が消える頃に、私の想いも無くなればいい。
さよなら、大好きな人。
さよなら、ズルい私。
全ての感情を振り払うように、窓ガラスの文字を殴る勢いで消し去った。
無くなれ! 無くなれ! 全て無くなれ!
唇を噛み締め、涙を堪え、席を立つ。
彼女の心情とは裏腹に、向かう扉には光が満ちていた。
文字が無くなるまでに。 mio @jcatm333
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます