第25話 連続殺害シリーズ
それから一週間、瀬名町で新たに二人分の行方不明届が警察に出された。
一人は20代のキャバクラ嬢、もう一人はその彼氏と思われる20代後半のホストの男性だった。
「どちらも家族は元より、勤務先や友人関係から連絡が取れないと通報があったようです。」
刑事の熊谷はメモ帳を片手に上司である大田へ報告する。
「これで行方不明者は、瀬名町近辺で四名か…。」
「一連の流れから、県内で多発している行方不明事件と関わりが深いと思われます。」
「熊ちゃん、今夜一杯どうだ?」
「え?急に何なんですか?こんな事態に…」
「いやいや、最初の古川君が常連だったもつ煮居酒屋が気になってな…」
「え?聞き込みならオープン前の方が良いんじゃないですか?」
「まあ、そんな堅いこと言わずにさ、古川君の気持ちになって考えてみようよ。」
「い、良いですけど…今夜は大田さんの奢りってことで…。」
「え?マジか?調子良いねぇ…くまちゃんは。」
大田は笑いながらも、取り調べから古川の行動範囲で他の三名も姿を眩ましていることに気づいていた。
「こりゃ、飲む日が増えそうだな…。」
二人の刑事が近所での捜査に力を入れ始める頃、山田隼人は今日もインターネットカフェで一日を過ごしていた。
「また二人…行方が分からなくなった…。今度は交際しているキャバ嬢とホスト…。また俺が殺ったのか…?」
山田はインターネットカフェで仮眠を取りながら頭をよぎる殺人シーンを見て目を覚ます。
古川殺害の時に知り合ったキャバクラ嬢とその相方のホストの男性。
アフターに連れ出し、しつこく迫ってくる彼女とホテルに移動しようとする所に、彼氏のホストが難癖をつけてくるが、それを一蹴して首を折る。それを見て助けを求めようとするキャバクラ嬢も背後からバタフライナイフで殺害。
路地裏で二つの遺体を全裸にして組み合わせたまま、その場を立ち去る。
「死んでもやりまくってろ!アーッハッハッハッ!」
その笑い声を耳にして山田は目覚めた。
「古川の時に指名したあの娘か…。良い娘だったのになぁ…。ただの美人局だったのか…。ハァ、馬鹿は死ななきゃ治らないよなぁ…。」
山田は次第に、被害者は全員死んで当然だと思うようになっていた。
「ああ、こないだのラーメン屋で喰った味噌酢モツはかなり旨かったなぁ…。また食いてぇなぁ…。」
山田は味噌もつ煮込みを酢で和えたラーメン屋のもつ煮込みを思い出しながら余韻に浸るが、今回も警察は遺体を発見していないことから、その二つの遺体の行方が気になっていた。
「生きてるはずはないんだ…。もう一人の俺が上手く隠したのか?だが、その記憶はどこにも無い…。」
そんなことを一日考えていると、スマホに新たな連絡が来ていた。
(山ちゃん…元気でやってるかい?約束した最高のモツを食べさせたいんだ…。小林より)
「小林さん…。」
新倉から小林の苦労を聞いた山田は、意識を正常に取り戻し、色々と世話になった小林に会いに行くことを決めた。
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