第12話
時は少しだけ遡り黒羽の部隊が突破されて悠からルカに通信が入って時にルカは苦虫を噛み潰したような顔になりそして悠の精神面を心配した。そしてそれと同時に悠からの頼みを断る訳にもいかない為ルカは覚悟を決めた。学園内は突然の襲撃により混乱に陥ったが今は生徒会と風紀委員会によってある程度落ち着いてきている。そして臨時指揮所になっている学園長室に悠から頼まれた4人の女子生徒を連れてきた。1人は白髪のロングの髪で可憐な容姿をした生徒会長である御陵ナグサ。剣術、魔術共に今のグリモアの生徒の中なら間違いなく最強だ。
そして2人目はプラチナブロンドの髪の容姿の七稜アヤメ。この2人は生徒会の会長と副会長である。そして3人目は黒髪のショートヘアで風紀委員会の委員長である天地ニヤ。実力は生徒会には一歩劣るがそれでも実力者でありそして策謀家でもある。そして最後に桑上カホ金髪の容姿でニヤに勝るとも劣らない剣の腕を持っている。ルカは呼び出して早々に今回の襲撃の件を話し手を貸して欲しい事を伝える。そして最後に本来なら伝えてはいけない事も話した。
「一馬先生、いや魔導省の天王寺悠君から貴方達だけに頼まれた事なのお願い力を貸して」
「私なんかが役に立てるなら」
ナグサが弱々しそうに、
「一馬先生の頼みなら勿論」
アヤメが意気揚々と
「一馬先生ってあの伝説の悠さんだったんですか〜」
ニヤが興奮しながら
「勿論だ、私達の学園は私達で護らないとな」
カホが決意を込めてそれぞれ了承してくれた。
そして最後に悠なら言うであろう言葉を話した。
「絶対に自分達の命を優先しなさい。敵を屠るのも先に逝くのも全部先生達大人の役目なんだから」
そう言って4人に黒羽家が開発して販売や魔導省に卸しているクワトロレジストが付与されているローブを着用させる。その時また通信が入り敵の弱点が判明した為そこを狙う様にとの事だった。そして敵の幹部クラス全てを悠1人で相手するとの事だった。その時、ルカは少しだけ判断に迷った。敵の弱点がわかったのなら生徒達を戦場に出す必要があるあるかどうかだ。自分だけ出撃して敵を始末すれば良いのではないかと思ってしまったのだ。暫く考えてやはり生徒達を連れて行く事にした。置いて行くより自分の近くに連れて行っていざ危なくなったら自分が守った方が良いと思ったからだ。そして全員の装備が整った所でルカも自身が本気を出す時の装備を出した。それはカラクレナイ。真紅の刀身でありルカの為だけに造られた刀だった。それを腰に差して4人を引き連れ学園で黒羽の部隊が突破された場所まで直ぐに向かった。そして直ぐに4人に指示を出した。
「ナグサとアヤメ、ニヤとカホそれぞれ背中を預ける形で2人1組で行動しなさい。また危なくなったら直ぐに撤退する事。わかった?」
「「「「はい」」」」
4人は返事をするとそれぞれ敵に向かって行く。そしてルカもかなり頭にきていたのでカラクレナイを鞘から抜いて速攻で前にいた2人の敵の首をあっという間に刎ねた。通信で聞いていた通り敵の身体は残らなかったが気にせず次々と始末して行く。そして合間にナグサ達の方も見ながら戦闘を有利に運んでいたなか学園の中に入ろうとしていた敵がいたのでナグサとアヤメがそれを止めようとしたのだが学園に入ろうとしたのはブラフで寸前で振り返って鉤爪でナグサを襲おうとした。しかもこの時アヤメは別の敵を相手にしていて風紀委員会の2人も距離的に攻撃が届かない範囲でルカからもかなり離れてしまっていた。ナグサの絶体絶命の窮地だったその時突然、赤いラインが入った黒いローブで全身を包み込みフードで顔はよく見えずローブに月と炎の意匠が装飾された物を着用した人物が刀でナグサを襲おうとしていた敵の鉤爪を抑え込みそして破壊して周囲にいた敵を纏めて首を刎ねて一掃した。
「大丈夫か?」
ローブの人物がナグサに声を掛けた。
「ありがとうございました。助かりました」
ナグサがそう言うとローブの人物は周りの敵は居なくなっていたので悠がサイスとレプリカと戦っている場所まで向かった。
ここでまた少し時間を遡る。
ローブの人物はかなり離れた場所から戦況を窺っていた。そしてナグサを襲った敵が学園に入るふりをしてナグサの事を狙っている事を感じ取ったローブの人物はかなり離れた距離がある為普通の方法では助けられない事を受け止めシュトルムの術式を起動する傍らローブの内側から白紙の小説とペンを取り出してある事を書き出す。そして書いたページを本から破いて取り出しシュトルムを発動。通常のシュトルムではまず出せないスピードでナグサの場所まで移動しつつ刀を取り出してナグサの危機を救ったのだった。また破いた小説のページは燃えカスになり消えてしまった。
悠はサイスとレプリカ相手に距離をとりつつある事をしようとしていた。
「オイオイ逃げてばっかりでマトモに相手する気あるのかよ」
サイスが挑発してくるがそれを無視してシュトルムを使い動き回り続ける。そしてある事の準備が出来た為、ズボンのポケットからある物を取り出す。それはカードだった。ただのカードではない。魔導省の八咫烏の隊員だけが持つ事を許される特別なカード、その内の1つだ。そのカードには死神の絵が描かれていた。
「領域展開。デス・ダンス・パレード」
そう言って悠がカードの中に込められていた術式を読み取り発動させた事で周囲の風景が変わった。先程までは学園の正門で空も視えていたのに今は空は真っ暗で周囲は荒廃した荒野が広がっていた。
「これが領域か。確実に我々を仕留めるつもりだな」
レプリカがそう呟いた。
「さぁ死神のパーティタイムだ」
悠はそう言ってさっきまでは持っていなかった大鎌を紅く光らせてレプリカとサイスに言い放ち斬りかかった。
そしてさっきまでとは逆に悠が2対1なのに押し始めた。そして悠の鎌で斬られた部位から魔力が漏れ出しそれを鎌が吸収して悠に還元していた。
「この領域ではなぁ俺と俺の味方が敵にダメージを与える度に魔力や生命力をこの鎌が吸収して俺に還元されるんだ。だからこの領域に入った時点でお前ら詰んでるんだよ」
「ここで更に術式の開示によるギアスで封じていた術式の強化か。今回はここまでとしよう。元々我々は今回の襲撃で死者を出す気は一切無いしな。それではまた近いうちに会おう」
そう言ってサイスとレプリカは互いに首を刎ね合って黒い渦に黒い竜巻をあげて消滅した。
「はぁ疲れた。今回はヤバかったな」
そう言って悠が領域を閉じようとした時、突然領域に入って来た者がいた。先程ナグサを助けたローブの人物だった。突然の侵入者に悠は再び鎌を手に取り戦闘態勢をとるがローブの人物はそれを見ても刀を抜こうとしなかった。
「始めましてだね。天王寺悠君」
「誰だお前。ああずっと遠くから俺たちの戦闘を覗き見してた奴か。それで何の用だ?俺は今から裏門に向かって掃除しないといけないんだがな」
「まぁそんな焦んないでよ。間も無く君が呼んだ八咫烏のお仲間が到着するはずだからさ。それとまだ名乗ってなかったね。俺の名前は和楽巡。和楽でも巡でも好きな方で呼んでよ。それとさっきの奴らphantomはねその組織名と同じ魔術を使えるんだ。君達も見ただろ。あの死体が一切残らないアレ。アレはね魔力で仮初めの身体を作って安全なところから自分の脳でイメージした通りの動きを仮初めの身体で戦わす事が出来る術式なんだ。勿論心臓を破壊されたり首を刎ねられたりしたらその仮初めの身体は消滅して暫くあの術式は使えないけどね。それでここからが本題。裏社会の情報を君にあげるから俺に協力して欲しいんだ。助けたい人が居るんだよ。とても大切な人なんだよ。」
「わかった。で誰を誰から守れば良い?対象がわからないんじゃ守りようが無いんだがな。」
悠にそう言われて巡は胸元からペンダントを取り出してその蓋を開ける。そこには2人の女性を撮った写真が写っていて片方は大人もう片方は子供だった。だが大人の女性の方は顔のあたりが霞んでいて顔はよくわからない。子供の方はしっかりと写っていてとても可愛らしい女の子だった。そして2人が着ている服を見て悠は2人が親子だと思った。
「この2人を守ればいいのか?」
「いや母親の方はもう死んでるよ。子供の方は今だとこの学園の3年生と同い年くらいだ。その娘をバベルの連中から守って欲しい。勿論バベル以外の連中からも守ってくれるに越した事はないし報酬は出す。今回はphantomの術式とphantomの幹部クラスの情報を記録した記録結晶だ。役立ててくれ。それともう一つこれは俺と君だけの秘匿回線として使える通信石だ。毎回毎回、出れるかどうかはわからないがなるべく出られるようにする。それじゃあ俺はこの辺でお暇させてもらうよ。それと俺の存在はなるべく君だけの秘密にしといてくれ。」
「で、お前はこれからどうするんだ」
「今まで通りバベルや危険なテロ組織とか外道魔導士を殺し続けるよ。あと1つだけ助言ね。学園の生徒さん達気にかけてあげなよ。それじゃあ本当に今回はこれで」
そう言って巡は姿を消した。恐らく転移したのだろう。それを見て今度こそ悠は領域を閉じた。そして正門での戦闘が終わっているのを確認してその場に座り込んだ。
悠が領域で巡と対話をしていた間裏門での戦いも佳境に差し掛かっていた。
「悠先輩が領域を展開しました。それと同時に付近の敵反応が消失しました。それと味方の魔力反応が何個かあります。反応は全部で4つ。《愚者》 《魔術師》 《女帝》 《戦車》の4人分です。それと伊黒先輩、1つ提案があります」誠が意見具申する。
「なんだ言ってみろ」
「僕と先輩の魔術を合わせてほぼ全ての敵を始末してしまいませんか?」
「アレやるのかよ。まぁこっちは裏門で学園の生徒も近くに居ない。ただ起動に時間がかかるんだよなぁアレ」
「時間稼ぎ程度なら俺でも出来るが」
そう言って伊黒に傑が発言した。そしてそれに同調する様に水戸坂も発言した。
「守りなら任せろ。アレの発動までくらいなら余裕だ。」
そう言われた伊黒と誠は直ぐにソレの準備に取り掛かる。伊黒が結界の設定を弄りソレに対応した結界に変更した。そして誠は宝石魔術の触媒に使っているアメジストを大量に取り出して術式を刻み込んでいく。そしてそれを結界が張られた上空に全て転移させた。
「先輩やりますよ」
「おうタイミングミスるなよ」
「「スターダストジャベリン」」
その術式が発動された瞬間結界内の上空から大量の雷が落ちてきて次々と敵を殲滅していった。
「やりましたね先輩」
「ああそうだな」
丁度そのタイミングで八咫烏からの援軍が到着した。
「さっきの見てたから何となくそんな気してたけどもう終わったんだ。それで敵の死体は?幾らアレが威力高いとはいえ死体残さないなんて事はないだろ」
「その件については後で報告をしますので。外川室長」
「ねぇ私達を急かして呼び出しといて敵はもう居ないってどういう事喧嘩売ってるの私達だって暇じゃないんだよ。無駄足踏みに来た訳じゃないんだから」
「落ち着いて志穂ちゃん。それに戦いだけが私達の仕事じゃないよ。負傷者の治療だったり破壊されたインフラとかそういうのの確認だって立派な仕事だからね」
「ボクは志穂に賛成。だけど瀬奈の言う事も一理ある」
大量の銃火器を持った敦がそう言って八咫烏のメンバーはとりあえず臨時指揮所になっている学園長室に向かった
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