第11話

戦闘が始まって1時間程経つが悠達は戦況は劣勢に傾く一方だった。黒羽の部隊は基本的にスコーピオンを装備して戦闘を行っていて今回の相手は鉤爪で正面からの戦闘となった。ただ何度も何度も鉤爪とスコーピオンを叩きつけ合ううちにスコーピオンが破損してしまいそこから状況が崩れた。そして今回の敵の隊長格の出現がより状況を悪くした。その相手の脅威度がSランクでありそれが4人もおりそしてそれに対応出来るのが悠だけだった為、悠は数的不利を理解した上でそちらの対応にまわった。だがここで更に事態を悪くする状況が起こる何とか黒羽の部隊で学園の外部まで敵の侵攻を防いでいたのが負傷者が出た事により突破されてしまい学園内部に侵入される可能性が出てきたのだった。ここで悠は学園長室に居るであろう義母、晶に通信を入れた。

「義母さん、悪いんだけど頼みたい事が3つあるんだ」

「1つはルカを正門前の部隊と合流させて欲しい。そして2つめは学園内の護りを義母さんに任せたい。そして最後の3つ目は生徒会と風紀委員会のトップの計4名をルカに同伴させて欲しい」

「わかった。直ぐにでも取り掛かるわ。それと貴方も無理はしないでね」

その会話をして晶との通信を切った。

「無理しないで勝てるんだったらそれに越した事は無いけど無理そうだな」

そう言って悠は敵を見据える。

4人のうち1人は双剣使いの男。2人目は大鎌を持った男。3人目は蜘蛛の脚の様なバックパックを背中に背負った女。そして最後の4人目はさっきまで戦っていた敵と見た目の差は無いが強いて言えば鉤爪が少し大きかった。そして悠は瞬時に相手の武装と厄介さや今迄の戦闘中の通信などの情報を整理した

(あの蜘蛛女、アイツが間違いなく今回の戦況での統率役だろうな。固有魔術か魔導具で味方を操っているかコントロールしてるんだろう。それで鉤爪の男、他より魔力量とかが少ないな。近接戦が主な専門でまぁ切り込み隊長みたいな役割だろうな。そしてあの大鎌使いの鎌、恐らくは魔力を乱すか魔術式を無効化するとかのディスペル系が付与されてそうだ。コイツには近接戦の方が良さそうだ。そして最後の双剣使い。コイツだけはわからねぇな。魔力量はコイツが1番高いんだから別に近接戦をする必要は無いはずなのに何故か剣を2振りも持っていやがる。1番危険だな。だがあの鎌使いがいる限り魔術は基本無力化されそうだ。なら多少は不利だが近接戦だな)

分析を終えた悠は風刃を収納魔術の収納空間から取り出し鞘から刀身を取り出した。すると悠の魔力に順応して緑色に光だし悠は速攻で攻撃を仕掛けた。風刃の特殊能力である周囲の風や使用者の魔力を剣に集めそれを斬撃として飛ばす能力である。この攻撃は魔術に該当しない為大鎌使いにも効くと思い25発の斬撃を放つが4人に襲い掛かるが蜘蛛女と鉤爪の男を後ろに押し返す効果があった程度で双剣使いと大鎌使いは斬撃を叩き潰した。

しかしそれを読んでいた悠は更に炎刃を収納空間から取り出し風刃と炎刃を使い炎刃で風刃で双剣使いの2つの剣を抑え込みつつ蹴りで双剣使いを吹き飛ばした。そしてそのまま炎刃を使い鎌の男と斬り結ぶ。

何度か斬り結んだら互いに距離をとって今度は蜘蛛女と鉤爪の男に向かっていき蜘蛛女には炎熱系統の魔法で一般的に使われている中では最強クラスのインフェルノブレイズで牽制して鉤爪の男には強化魔術で強化した自分の腕で思いきり殴った。そしてその隙に懐に隠し持っていた蠍蜘蛛を操り敵の戦闘員を無力化及び殺そうと操って攻撃をした際に攻撃は確かに命中した。だがそこで悠を含めた味方側の人間は驚愕した。腕を斬り落とされた人間は普通は腕が斬り落とされた段階で血が大量に出るのだが今回の相手は血は出ず患部から黒いモヤの様な物が出るだけで特段、痛みなど無かったかの様に振る舞い、首を刎ねられた人間は遺体が残らずその人間がいた場所に黒い渦と竜巻の様な物が発生して体どころか首の1つも残らなかった。だが悠はこれを転機として戦況をひっくり返す鍵になるのではと考えた。

「悠より味方陣営の戦闘員全てに通達。全員近接戦に切り替えて敵の首を狙え。敵の首魁及び幹部は俺1人が受け持つ」

「あらら攻略法バレちゃったみたいだぜリーダー」

大鎌使いの男が双剣使いの男に話しかける。

「黙れサイス。寧ろここまでバレなかった方が以外なんだよ。エース、お前は向こうの援護に向かえ。そしてアラクネ、お前はもう一度統率を執れ。このphantomのリーダー、レプリカとサイスが魔導省の裏の精鋭部隊である八咫烏のNo.13死神の天王寺悠の相手をする。いいな」

「勿論、奴の相手はオレとリーダーでやろうぜ」

「了解しました。先程燃やされましたが直ぐにでも統率して見せましょう」

「自分はレプリカ様の命令のままに」


「おいおい2人も別の所に向かわせて大丈夫なのか?まぁ俺はどっちでもいいがそれじゃあグリモア攻防戦第二幕の幕開けと行くかぁ」

そう言って悠は身に纏っていたローブを脱ぎ捨てた。その瞬間悠から魔力が今までの数倍の魔力が放出された。



そしてこのグリモア攻防戦を遠くから眺める1人の人間がいた。赤いラインが入った黒いローブで全身を包み込みフードで顔はよく見えずそのローブには炎と月の意匠が装飾されていた。

「君は君達はそんなものでは無いだろう」

ローブの男はそう呟きこの攻防戦の第二幕が開かれるのを密かに眺めるのであった。

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