天才先輩とコカ・コーラの秘密共有

Yuu

第1話

体育館に入ってバッシュのキュッとなる音を聞くと気持ちを落ち着かせてくれる

この体育館で何万回のシュートの練習をしてきただろう。


高校に進学してからもバスケット部に入部して毎日朝練にきてシュートを打っていた

いつの間にかこれが自分ん中の日常になっているから自己満でも続けている


「おはようございます」


毎日朝の7時に体育館につくように登校する

本来は誰もいない体育館なのに

ボールが床を叩く音がする

そして綺麗なフォームでシュートを放つ。

放たれたシュートはキレイな放物線を描きネットに吸い込まれていく

高校生になってから毎日見ている光景だ


「おはよう。今日も早いね」


たった一言だが俺と3年生の女子バスケ部の先輩が交わす日常だ

先輩は中学時代から「天才」と呼ばれていた人だ。

でも実際は天才は天才でも「努力の天才」だった。




テスト期間で体育館が閉鎖され帰宅途中見覚えのある人をみつけて俺は咄嗟に隠れた

その人は自動販売機の前でキョロキョロしながらある飲み物を購入した

パッケージが赤くて中身は黒い。スポーツ選手の天敵「コカ・コーラ」だ

先輩は周りに誰もいないのを確認して一気に飲む


「ぷはーーーっ」


先輩の予想外のリアクションに驚いて物音を立ててしまう

先輩がこちらをみる


「あっ」


「えっ。今のみてた?」


「いやみていないです」


「嘘つくなぁぁ」


そしてなぜだが近くの公園でブランコに先輩と並んで座っている


「私のイメージってなんだと思う」


「天才でストイックですか」


「そのイメージをもたれると普通にコーラも飲めないんだ。こんなに美味しいのに。幻滅したかい?」


「全然。それにコーラは美味しいです」


「なら君を私の共犯者に任命しよう」


「なんの共犯者ですか」


「コーラ仲間」


俺は少し考えて黙って自動販売機に向かいコーラを購入して一気に飲んだ

何度も飲んでいるのに今日はいつも以上にのどごしがいいような気がする

そして先輩のリアクションうつってぷはーーと言ってしまう


「これで先輩の共犯者です」


「君面白いね」



これは俺と先輩が小さな秘密から大きな秘密を共有することになる物語




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