隙間話「復讐の物語もどき」
激痛で目が覚める。瞬きするよりも先に左手で握っていた刃物で右肩に喰らいついているやつに攻撃する。俺の血なのかそいつの血なのか分からないほどおびただしい量の血が俺の目の前で噴き出す。
「ッ………ハァ……はぁ……………くそっ、おちおち寝られやしねぇ!」
痛みで眠気も吹っ飛んだから体を起こす。眩暈も起こさない事から何となく気付いていたが、さっきの大量の血は全部俺の横で死んだ魔物のものだった。
「……ちっ、離れるしかねぇか。血の臭いで魔物が反応するって可能性があるからな。かもしれない運転って大事だと聞いたのがこんな形で役立たせることになるとはな。」
転ばぬ先の杖みたいなモンだがやる必要があるのかわからん以上やるしかない。必要ないって分かってりゃ絶対したくない。でも既に噛まれてる以上安全地帯はどこにもねぇんだよな……。
「…………はぁ。堂々巡りの日々だな。まずは街へ行きたい。」
仕方ないから夜間行脚を始める。危険だと王都では言われたが、追放された俺はせざるを得ない。とにかく今は生き残ってみせる。
そして、あいつら全員殺してやる。
これは、俺の復讐の物語だ。語り部俺、主演俺。読者無し。…………物語って脳内でも言うのはやめておこう、後で馬鹿だったと悶絶することになりそうだ。
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