観覧車の終点

もるすべ

観覧車の終点

「観覧車の終点って、知ってる?」

 幼なじみのハルカが、また変なことを言いだす。

「観覧車に終点なんかあるかよ、ぐるぐる回りっぱなしじゃん」

「ぶぶ~ ハズレ、一番高いとこが終点なんだよ」

 得意げに、目の前の観覧車を指さすし……

「何だよそれ? だいたい、一番上で降りてどこ行こうってんだ」

「う~ん…… 天国?」

(何で疑問形……)

「じゃあ、確かめに行こうよ。……は~い、乗りま~す」

「おいおい、そんなに引っ張るなって」

「あっ サトシくん、観覧車乗るの?」

 強引なハルカに呆れてると、ユウ姉ぇに呼び止められた。

 ユウ姉ぇは、ハルカの一つ年上のお姉さんなんだけど……

 妹のデートについてくるのは、さすがに過保護すぎないか。

「うん、ハルカにつきあってくる。ユウ姉ぇは待っててくれ」

「あ…… 気をつけてね」

 家が近所で、小さいころはよく三人で遊んでたっけ。



 ユウ姉ぇを振りきって、ハルカと観覧車のゴンドラに。

 やっと、二人きりだ。

「あ~ 学校が見えるよ」

 すこし揺れながら登っていくゴンドラ。

 今しかない。

「ハルカ、大事な話がある」

「何? つまんなかったら、怒るよ」

 もう、今さらだけど…… ハッキリさせたい。

「ハルカ、好きだ。俺とつき合ってくれ」

「にぶちん…… サトシとはつき合えないよ」

 おいおい、ここにきて断るのかよ。何が、にぶちんだ。

「何でだよ? ぜったい幸せにするから……」

「だっから、つき合えるわけないでしょ! バッカじゃない!」

 くっ そこまで言うことないだろ。

「俺は、ハルカが好きなんだよ!」

「もう、ユウ姉ぇが心配してるよ。ユウ姉ぇ、サトシのこと……」

「何で? そんなこと言うんだよ……」

 なんでか、涙がボロボロこぼれて、もうハルカの顔も見えない。

「そろそろ観覧車、終点だから…… 私、行くね」

「だから何言って……」



 ぐるりと回って止まった、観覧車のゴンドラ。

「……ハルカ?」

 一人降りた俺は、ハルカがいないことに気がついた。

「どこ行ったんだよ? さっ 探さねぇと……」

「サトシくん、どこに行くの?」

 またユウ姉ぇに呼び止められて、焦る。

「ハルカがいねぇんだ! そうだ、観覧車止めてもらって中を……」

「サトシくん、ハルカはもういないの!」

 ユウ姉ぇまで泣いて…… 何言ってんだよ。

「ハルカは事故で亡くなったんだよ。半年も前に」

「え? ……だって、さっきまで一緒に観覧車……」

 俺は、何がなんだかわからなくって。

 ぐるぐる、ゆっくり回り続ける観覧車を見上げて。

 ただ…… 泣いていた。

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